Webサービス・ECの海外展開における最適化戦略

インターネット上のサービスは、日本に居ながら簡単に海外の方へリーチできるという素晴らしい特徴を持っています。しかしながら、海外展開というのは難しく、自国で上手くいっているものをそのまま海外へ展開するだけでは成功しないことが多いのです。

日本ではトップクラスの存在力を誇る楽天ですら、インドネシア、中国でパートナーシップを現地企業と結び、市場開拓を試みたが2回とも合併事業を解消という結果となっています。この結果には様々な理由が考えられ、ノウハウを持った楽天をもってしても成功するのは難しいことがわかります。今回はこの困難な海外展開において、まずは抑えておきたい必須の基本事項をご紹介します。

1.決済システム

日本ではキャリア決済、クレジット決済が普及しており、ネットでの買い物時に代引きや銀行振込をする方は徐々に減っています。
しかし、海外では国や地域ごとにかなり差があります。 例えば、上記でも触れたインドネシアでは未だに代引きや銀行振込が高い割合を占めています。最近ではクレジットやPaypalといった決済システムを主に採用しているECサイトやWebサービスが多くなっていますが、このような地域では他の決済ソリューションも用意しなければいけません。逆にアメリカではクレジット決済が多いので、こちらに軸を置くことが良いでしょう。

これらの決済システムは全部組み込めば良いだろうという考えではいけません。トップページや商品ページで決済ソリューションを提示する際に、何を目立たせれば良いのかを考慮するためにも重要なポイントなのです。

2.配送システム

次に抑えておくのは配送システムです。日本に住んでいると、注文した翌日には確実に商品が届き、トラブルもほとんど無いことが普通に思えてしまいますが、決済システム同様にこの点においても海外では同じではありません。
再度インドネシアを見てみると、バイク便が多く、商品が届かないケースも起こります。自社が商品を配送するならば、責任を持って購入者に対し料金を払い戻すという基本的な対応ができますが、CtoCのマーケットプレイスを展開している場合はユーザー間のトラブルとなり、その対処方法を事前に細かく決めておかなければ、スムーズな成長ができない可能性があります。なので、展開する国々の配送システムはどのような方法があり、その精度や信頼性はどうなのか、また、起こりうるトラブルにはどのように対処するかを事前に考えておかなければなりません。

3.土地固有の文化

最後に、サイトの成長の鍵を握るポイントをご紹介します。
土地固有の文化とは例えば、日本では原宿を拠点とする「kawaii」文化、やアニメ・AKB48を代表する「ヲタク」文化がその土地によって存在します。
これは国単位で見ても同じです。小さなことで普段は気にされないことが多い、サイトに掲載する文言ですら本来ならば国によって最適化すべきです。
例えば、Facebookは日本とアメリカで登録ページの文言をガラっと変えています。日本語では「プライバシー設定が充実しているので安心」ということを前面に押し出していますが、英語では「人々と繋がることができ、ライフをシェアできる。そして無料だ。」ということを強調しています。
このように土地固有の文化を理解し、その人々は主に何を気にしていて、どのように語りかければ興味を持ってもらえるのかも考えなければいけません。

以上の3つが、海外展開する際にまずは抑えておきたい基本事項です。 この3つを考えることが商品、デザイン等を選択する材料にもなるでしょう。
また、これらの情報を調べるための競合サイトがあれば徹底的に調査したり、その国のニュースサイトやTwitter・Facebookユーザーの投稿内容、プロフィール等を分析してみましょう。

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