小さなEコマースサイトを運営する企業にとって、アマゾン・楽天といった巨大なサイトにどうしたら対抗できるのか?という悩みは尽きないものです。対策として、ここでしか買えないものを売るといった、「商品そのものを差別化」するアプローチと、購入過程で何か顧客の印象に残るものを残すという「顧客体験の差別化」というアプローチがあります。
今回は2つ目の「顧客体験の差別化」について、いくつか方法をご紹介したいと思います。
1. ブランドを支える「個性」をアピール
ハーバード・ビジネススクールの調査によれば、「好きなブランドがあっても、その企業からのコンタクトを求めているわけではないし、頻繁なアプローチはわずらわしいことすらある。ブランドへの愛着を深めるのは、アプローチの頻度ではなく、共有できる価値観である」と、ブランドへの愛着に潜む心理を明らかにしました。
ブランドへの愛着は、顧客がその企業特有の価値観に魅力を感じたときに生まれるものなのです。男性向けのサプライズギフトを販売するMan Crateは、マッチョで陽気な個性を全面に出しています。例えば、ビール好きの男性向けのビールセットでは、ビール、おつまみのピーナッツ、栓抜き付きのコースターなどが木箱に入れられ、木箱を開けるためのかなてこ付きで送られてきます。商品説明には「リボンや綺麗な包装紙などはついていません」とわざわざ添え書きされ、プレゼントを開ける快感を高めようと木箱に詰めていると説明されています。つい友達に送りたくなるような、面白い演出が満載のサイトです。
このように、自社が大切にしている価値観がウェブサイトでもわかるように、各ページでアピールするという工夫が大事なのです。
Personalized Barware: Man Crate
2. 顧客の疑問に応えるコンテンツ
ある調査では、何か問題が生じたとき、カスタマーサービスに電話をかけたり、メールで問い合わせたりするよりも、自分で調べて解決するほうが良いと答えた人が7割にのぼるという結果が出ました。商品に関する疑問について、解決策がその販売サイトで示されていれば理想的です。
顧客が抱いた疑問を自分で解決できるように、FAQを増やしたり、商品の扱い方をブログ記事に載せるなど、顧客が知りたい情報を充実させれば、ウェブサイトに対する好感度や信頼度も上がります。
吉田カバンでは、「ストラップの調節方法」といった商品の使い方を動画で説明しています。このように動画を用いれば、商品の使い方、ケアの仕方等をわかりやすく説明でき、顧客にも喜ばれるでしょう。
How to:吉田カバン
3. 定型メールだからこそ行き届いた気配りを
自動配信メールや取引時の定型メールは、どのEコマースサイトでも採用されているものです。だからこそ、こうしたメールに消費者が必要とする情報を細かくかつ要領よく記載すれば、販売者に対して抱く好感度に大きな違いが生じます。
商品やその商品を買うに至るプロセス上で発生した疑問についての問い合わせ先、発送状況の確認方法、返品する際の手続き、予期せぬトラブルが発生した際の連絡先、担当者からの一言メモなど、消費者が必要とする情報を簡潔にまとめて、痒いところに手が届くような内容にすれば、消費者も安心して商品を購入することができます。購入直後の返信メールは開封率100%ですから、消費者との関係を密にする絶好のチャンスです。気配りの行き届いたメールを配信することで、消費者の満足度を高め、リピーターを増やすことにもつながるのです。
4. 「凝縮コンテンツ」でアピール
定期的なブログ記事の更新は、小さな企業にとって負担が大きく、導入には及び腰になりがちです。そこで、なるべく労力をかけずにたくさんの人をひきつけるコンテンツとしておすすめなのが、画像を中心にした視覚に訴えかけるコンテンツです。
発信の回数が少なくても、一気にたくさんの顧客に見てもらえ、見る価値があったと思ってもらえればよいのです。「新生活応援グッズ」「2014年春のトレンドファッションアイテム」など、販売する商品に応じてテーマを決め、多くの人が関心を持つような、中身がぎゅっと詰まったコンテンツを作成することがポイントです。
まとめ
小規模なEコマースサイトであっても、顧客の印象を良くしてロイヤリティを高めるためのアイデアを4つご紹介しました。規模が小さいからこそ、商品数が少ないからこそできることも多いです。一見デメリットのように思われることを逆手にとって、強みとして活かす工夫が大切です。
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参考:
・Creative Ways To Improve Ecommerce Customer Experience(That Also Boost Royalty And Sales)
タグ: ECサイト, ブランディング, 海外向けマーケティング