EC業界では専門用語やさまざまな独自のIT用語が日々飛び交っている。IoT、オムニチャンネル、O2O、など。今回はそんなEC業界で仕事をするうえでの、最近のトレンドとも言うべき、代表的なキーワードについて説明する。皆さんも一つでも聞いたことない用語などあったら、チェックし、詳しく調べてみると良いだろう。
まずは、キュレーションECサイトからみていこう。
キュレーションとはキュレーター(学芸員)からきている言葉で、専門知識をもった者が作品を選別し、展示を企画し運営することをいう。
インターネットの世界では、情報を収集、カテゴリにわけ分類し、新しい価値を持たせることをキュレーションという。つまり、キュレーション型ECサイトとはそのサイトを運営する者が、キュレーターとなり独自の視点で取り扱う商品を収集し選別、セレクトし展開することで、新しい価値を展開するサイトのことを意味する。
キュレーターが選んだおすすめの商品やサービスなどを紹介し、その中から商品を買ってもらうECサイトである。ユーザーは予想もしなかった商品に出会えるチャンスやECキュレーターとセンスが合えば、商品選びに労力を使うことなく、自分にあった商品を購入や商品の新しい出会いがあるなどのメリットがある。
例えば、HATCHというキュレーション型ECサイトがある。
ネットによるマーケッティング手法の一つである。Online to Offline(オンライン・ツー・オフライン)を略した用語で、インターネット(オフライン)から実店舗(オフライン)へお客様を呼びこむ手法である。典型的な例としては、ネットから入手した店舗情報評判を参考にしながら、ユーザーは実店舗へ足を運び、実店舗で買い物をするパターンだ。
手法としては割引クーポン利用があげられる。たとえば、お客様はネットで実店舗で有効な割引クーポンを入手し、そのクーポンを利用して実店舗で買い物をする。また、ECサイト上で商品を注文し、実店舗で受け取ることなどはO2Oである。O2Oの潜在的な市場規模は大きく、野村総合研究所によれば2017年度には約51兆円に拡大すると試算されている。
今後はますます、スマホの普及とSNSの浸透により、ネットとリアルを相互に行き来する購買活動が拡大するであろう。
O2Oの逆パターンとも言えるショールーミング(Showrooming)化という用語は、実店舗で商品を見定めた後、店舗ではなくECサイトで商品を購入するという購買行動を意味する。
これは実店舗の購入者が他のECサイトで流入することを意味し、ショールーミング化と呼ばれる購買行動は実店舗にとって、大きな課題となっている。
ECサイト利用に慣れた消費者の消費スタイルとも言われ、お客様は実店舗で商品を見定め、値段を確認し、安く手に入れることができるamazon等のECサイトで購入する消費行動である。特に家電や書籍などECサイトの方が価格が安いケースにこの消費スタイルは多く、実店舗は単なるショールームと化し、お客様はいるが、商品は売れない。実店舗の売り上げが大きく落ち込んでしまう大きな要因となっている。
ショールーミング化は今後ますます、進むことは避けられない状況であるが、今後は実店舗とEC業界が、この課題にどのように対応していくのか、動向をチェックしていきたい。
「フリマ」はフリーマーケットからきている用語で、個人個人間で行われるモノの売買を指し、ユーザーはフリマアプリをダウンロードしてアプリサービスを介して、個人個人で商品を売買する。
似たようなものにオークションサイトがあるが、いくつかの特徴がある。ヤフオクなどは入札によるものだが、フリマは固定価格である。フリマアプリは売買の際の手数料で運営されているなどだ。使い方はユーザーが売りたい商品をスマホで撮影し、値段や商品説明を加えて出品。それを他のユーザーに購入してもらうという簡単でお手軽なシステムである。
オークションサイトにはない手軽さが人気を呼び、ユーザーを増やしている。有名なサービスではメルカリ、フリル、ラインモールなどがある。
ソーシャルコマースはSNS、ブログ、簡易ブログなどのソーシャルメディアを使った小売のことをいい、ソーシャルメディアでの商品紹介や、ソーシャルメディア内部にECサイトを設置するやECサイトにソーシャルメディア機能を追加することもソーシャルコマースにあたる。
また、O2Oの購買活動でSNSで知った商品を実店舗で購入するなどもソーシャルコマースであり、ソーシャルメディアが小売りに連動していれば、ソーシャルコマースと言って差しつかえない。
SNS上で「この商品いいね」など友人や知り合い、有名人の書き込みでその商品を購入したなどは、ソーシャルコマースのケースと言える。ソーシャルコマースサイトでは海外ではPinterest、Fancy、日本ではOrigamiなどがあり、ソーシャルコマースでは必ずしも面識は必要なない。その人の趣味、価値観などに共感することにより、その人が薦めているから買ってみようという購買行動である。
オムニチャンネルとは実店舗、ECサイト、モバイル、イベント、テレビなどマスメディア、カタログ、SNS,コールセンター、デジタルサイネ-ジ、屋外広告などあらゆるチャンネルを使って顧客と接点もち、すべてのチャンネルを連携させて顧客にアプローチする戦略である。
マルチチャネル、O2Oもオムニチャネルの一部とみなすことが出来る。もともとはamazonの躍進への対抗手段として、アメリカの既存小売企業が、既存の店舗を活用したEコマースの戦略を取る中で生み出されてきた概念である。
オムニチャンネルとは、お客様に商品を選んでもらう体制を、企業側が整えることで、お客様はご自分の都合に合わせて都合の良いチャンネルから商品やサービスを選んでもらうことが目的であり、WEBとリアル店舗の融合などと呼ばれたりしている。
IoTとは「モノのインターネット」等と言われ、もともとは機械と機械がネットワークでつながるM2M(Machin to Machine)の考え方から来ている。
モノがインターネットプロコトルでネットワーク化されているといった意味合いである。IoT「モノのインターネットは」はクラウド、ソーシャル、ビックデータに続く重要トレンドである。
モノ同士が人の操作を介さず、自動的に最適な制御が行われるシステムで、個別に稼働する。機器同士がネットワークでつながり、相互にやり取りし、各々の機器で生成されたデータをリアルタイムに統合、制御、活用できるシステムである。
たとえば、サッカー選手のすね当てにセンサーから、選手の疲労度を測定し戦術の示す事例や公共の建物にセンサーを取り付け、適切なメンテナンスや事故を未然に防止するなど、今後この分野は、市場は爆発的に大きくなると言われている。
移り変わりの早いWEBの世界では、EC業界の新しい動向を常にチェックしていないと、すぐに遅れをとってしまう世界でもある。今やIoT、オムニチャネル、越境EC、ソーシャルコマースといった新しいキーワードがEC業界でも飛び交うようになった。
いつも、新しい流れに商機を逃がさず、めまぐるしい変化にいかに対応してゆくかが、ECサイト運営者の取り組むべき課題である。