WEBデザインに有効なインクルーシブデザインとは

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5月27日東京都墨田区錦糸町駅周辺では、大規模パレード「インクルーシブパレード2022TOKYO」が行われた。 これは、障害者など多様な人々が使いやすい商品デザインに取り組む一般社団法人「インクルーシブデザイン協会」が開催したもので、140名からなる車椅子ユーザーなど障害者と健常者が一緒に錦糸町の街を闊歩した。
また、最近では「都立砧公園」や「としまキッズパーク」など、インクルーシブ公園が日本で広がりを見せている。 インクルーシブ(inclusive)とは「包括した」や「すべてを含めて」という意味である。
今回は、企業のイノベーティブな製品開発として、注目されている「インクルーシブデザイン」について見ていこう。

インクルーシブデザインとは

インクルーシブデザインとは、イギリス発祥のデザイン思考で、これまでデザインの中で除外されてきた高齢者や障がい者・外国人などを含めた多様なの人々をデザインの製作過程の中から視野に入れる考え方である。
インクルーシブの「除外(Exclude)」の対義語である「Include(含める)」が語源となっている。 インクルーシブデザインの特徴は、デザインプロセスの中で、軽視されがちな障害者、高齢者、外国人を「リードユーザー」として捉え、プロダクトやWEB、建築、サービスなど、企画開発の段階から巻き込む手法をとっているところである。

ユニバーサールデザインとどう違うのか

インクルーシブデザインとほぼ同一のワードとして、ユニバーサルデザインがある。 ユニバーサルデザインとは「誰ものが、みんなが使えるデザイン」という概念でこれはアメリカ発祥のデザイン思考である。
両方とも障害者、高齢者、男女、外国人、大人、子供などの問題を解決するという目標に変わりはない。 違いがあるとすれば、リードユーザーという視点である。

ユニバーサルデザインは、万人向けのデザインを最初から目指す健常者の視点であるのに対して、インクルーシブデザインはこれまで、視点から排除された人を「リードユーザー」としてデザインのプロセスに巻きこんで開発する点にある。

例えば、下の写真はユニバーサルデザイン思考で考えられた絆創膏(左)とインクルシーブデザイン思考で開発された「肌の色に囚われない絆創膏」(右)である。
ユニバーサルデザインで発想すると、肌の色に関係のない万人向けのデザインとして、透明な絆創膏を製品化するだろう。
しかし、インクルーシブデザインでは、これまで肌の色で排除された人に主眼を置くので、多様な肌の色に対応した絆創膏ができるのである。

インクルシーブデザイン事例

WEBデザインでは、インクルーシブデザインと呼ばれる以前からアクセスビリティと言う概念がある。
アクセスビリティとは「近づきやすさ」からきて「利用のしやすさ」や「便利であること」を意味し、iPhoneではアクセシビリティ、Androidではユーザー補助という設定項目があることは、ご存知のとおりである。
ここでは、インクルシーブデザイン事例として、マイクロソフト、ナイキ、筑波大学の取り組みを紹介する。

□マイクロソフト

マイクロソフト開発チームは、テクノロジをよりインクルーシブでアクセシブルにするための数々の製品や機能を発表している。
「Xbox Adaptive Controller」は通常のコントローラー操作に制限あるプレイヤーに対して、一人ひとりが自分に合うコントローラーをカスタマイズすることができる。

□ナイキ

Nike初のハンズフリーシューズ「ゴー フライイーズ」は、手を使わずに着脱できるシューズである。
このシューズは、障害を持つアスリートや靴の脱ぎ履きが多い日本文化からインスピレーションを得て開発された。
一部の人向けに開発されたシューズは、赤ちゃんを抱っこして手を使えないママやしゃがむのが面倒な高齢者にも便利でデザイン性もあり好評である。

また、ナイキがロンドンの旗艦店に多様な体型のマネキンを登場させた。

これはナイキばかりではなく、ターゲット(Target)、オールドネイビー(Old Navy)、ノードストローム(Nordstrom)なども同様に見られた。
写真にあるようなプラスサイズのコレクションは「インクルーシブであることを示し、女性の消費者をインスパイアする」ためとして注目を集めた。

□筑波大学 デジタルネイチャー研究室

シースルーキャプションズ(See-Through Captions)は話し手の音声を音声認識によって文字変換し、聞き手との間にある透明ディスプレイにリアルタイムでテキスト表示するシステムである。
このディスプレイ装置は、ろう・難聴者とのコミュニケーションのために開発されたもので、手話通訳者の不足、負担軽減にも効果があり、発生した言葉とが文字でも表示されるので、対面者の誤認識も解消できる。
現在はまだ、開発中の製品だが、2021年のダイソン国際エンジニアリングアワード2021では日本国内最優秀賞を受賞した。

なぜ、インクルーシブデザインが必要なのか

インクルーシブデザインのアプローチは、WEBサイトのデザインにも有効である。
これまでの排除されていた、ユーザーをリードユーザーとして捉え、WEBサイトをデザインすることは重要なポイントである。

インクルーシブデザインの開発は、デザインを行う際ユーザーが疎外されてしまう場面を探し出し、そこから、インクルーシブな解決案を見つけることである。
排除されるターゲット視点でWEBサイトを見ると、問題は文字の大きさであったり、色であったり、入力フォームであったり、ボタンやアイコン、画像であったりする。
また、インクルーシブデザインはそのアプローチが重要であり、デザインする過程でユーザーテストに視覚や聴覚など障害のあるユーザーを招いて、さまざまな問題点に気づき、ユーザー体験を改善する手法をとる。

インクルーシブデザインは「極端なニーズ」から、マジョリティが気づかないような、潜在的ニーズを掘り起こす手法である。
競合他社との差別化できるユニークなデザインを開発するには、平均的なユーザーニーズばかりではなく、ナイキの「ゴー フライイーズ」ような障害を持た人を視野に新製品を開発するという手法が、結果として多く人により良いユーザー体験を創出することができる。

参考:

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