今回は日本とヨーロッパ諸国におけるEコマースの決済方法についてさまざまな比較、分析をしてみました。
データにしてみるとわかりやすいのですが、イギリス、フランス、ドイツの3カ国の総人口は2億人を超え、EC市場規模は27兆円(2013年時)ということで、日本の約2.3倍ほどになっています。
2016年の訪日外国人社数は3000万人とも言われるなかで、外国人を対象にしたビジネスを始めるにあたっても、こうした現状をまずは把握しておきましょう。
イギリスではクレジットカードでの支払いが最も人気でスーパーでもネットショップでもどこでもクレジットカードが使える。 オンラインでの買い物の40%はクレジットカード決済、30%はデビットカードで決済されている。あとはPaypalーこちらもクレジット決済、デビットカードどちらでも選択できるが、カード決済がこれにより96%という結果である。
スポーツやファッション用品は非常に人気があり、続いて旅行、家庭用品である。さらに映画、音楽、書籍、雑誌も購入されている。英国の新聞社Daily Mailの記事によると82%のイギリス人のインターネットユーザーはオンラインで買い物をしており、ヨーロッパ28か国中で第一位。イギリス人の70%は携帯を持ち、2013年の調査では3分の1が携帯でのショッピングという結果が出ている。
イギリスのオンライン小売業調査でイギリスのECマーケットは、10.7%でこれは1100億5000ユーロに相当する額である。(IMRG/Capgeminiの調査)。イギリスの大手のオンラインストアはアマゾン(シェア16%)、Tesco(9%)、Ebay(8%)である。小売業はAsos、Argos, Play.com,John Lewisである。
人口 | 6370万人 |
インターネットユーザー | 82% |
オンライン総売上 | €110.5 billion (2013) |
大手のオンラインショップ | Tesco, Asos, Argos |
フランスでもクレジットカード決済は人気である。Carte-Blue、デビットカードも使われている。 Carte-Blueはデビットカードとクレジットカードを併用できる。 他はVisaとPaypalです。フランスでは800万人のペイパルアカウントユーザーが存在しヨーロッパでは第3位の規模である。 一般のフランス消費者は他の決済方法を好まず、CM-CIC Palement, Hipay, Moneo, paysafecard, および銀行振り込みが好まれる。
人口 | 6510万人 |
インターネットユーザー | 68% |
オンライン総売上 | €65 billion (2015) |
大手のオンラインショップ | 3 Suisses, Cdiscount, Vente-privee.com |
ドイツの支払い方法は請求書システムである。2013年の調査では60%の顧客がオンライン決済で購入後に支払いを済ませている。 34%のドイツのオンラインユーザーはクレジットカード(マスターカード、VISA、AMERICAN EXPRESS)を使用している。 その他にはPaypal、ELV, ELV, GAnotherである。63%は請求書での支払いになり、ペイパルが56%、デビットカードが46%、クレジットカードが29%、銀行即振り込み(Giropay)26%、前金制、代金引換など。
ドイツではファッション系の買い物がもっとも人気である。続いてメディア、電化製品(書籍、音楽、映画、ゲーム)ドイツ65%のドイツ人が2012年でオンラインショッピングし、2008年と比較して53%増加した。 現在のヨーロッパでの平均ガ45%であるのに対し85%がインターネットユーザーである。
さらに、ドイツは返品も多い国で、50%の返品率と出ているいる調査もあるくらいである。 Eコマースヨーロッパの調査によると、ドイツの小売総売り上げは500億ユーロ、wwd.comによると2017年までに毎年12%の増加を見込んでおり、他のヨーロッパ諸国よりも急速に伸びることが予想されている。
ドイツのEコマースの収益は2013年に44%伸び、83%の全収益はオンラインでの買い物である。 2017年までに国内総生産の53%の収益がオンラインになると予想されている。 ドイツのオンラインショップのマーケットシェアは現在は6.6%である。 さらに、 Deutsche Card サービスの調査によりますと, ドイツ国内の旧東ドイツ・西ドイツとの差はなくなり、ネットショップに関してボーダーレスである。小売業の調査データによると、小売業の8%はオンラインである。 ドイツのECサイトの大手はアマゾン、Ottoである。ほぼこの2社で全マーケットシェアの半分を占めている。 したがって残りの半分のシェアの奪い合いとなり、厳しい状況である。2013年の資金回転率をベースとした大手トップ10企業: アマゾン (57億 ユーロ), Otto (11億ユーロ), Zalando (7億ユーロ), Notebooksbilliger.de (5億ユーロ), Bonprix (4億ユーロ), Cyberport (4億ユーロ), Tchibo (4億ユーロ), Conrad (3億9千万ユーロ), Alternate (3億6千ユーロ) H&M (3億ユーロ).などである。
人口 | 8020万人 |
インターネットユーザー | 85% |
オンライン総売上 | €49.7 billion (2013) |
大手のオンラインショップ | Otto, Zalando, Mediamarkt |
ロシアの消費者はオンラインでの決済を信じない傾向があり、代引が主流になっている。(80%)、銀行カードはあまり使われておらず、 実店舗では使われていない、最も人気の電子決済は、Yandex Money,Webmoney, QIWI Wallet. ペイパルはロシアでは2013年後半に国内での決済サービスが開始されただけである。 オンラインでの国内販売の93%は代引きである。SPSR Express. ロシアで最もオンラインで販売されている製品は家電、電化製品、服飾、靴、コンピューター、ノート、車部品、携帯、家具、インテリア、 B2B (ビジネス=ビジネス)機器、建築資材などである。
ロシアでは書籍やDVD(8900万ユーロ)より車部品(3億5千万ユーロ)が売れている。車部品はDVDや書籍よりも売り上げが高い。 SPRS Expressの調査によると電化製品やファッション関係は全オンラインショップの57%に相当する。
Moscow's Data Insightの分析によると,ロシアは1千億ユーロのオンラインマーケットが存在するといわれている。モルガンスタンレイーの予測によると、 ロシアのEコマースは2010年までに350億から500億ユーロに伸び、10年以内に750億ユーロになるとの見通しだ。ロシア大手のオンライン企業は、Ulmart.ru、 Ozon, Amazon, KupiVIP (a copycat of Venteprivee.com), Biglion, Avito,ドイツの Otto グループである。
人口 | 1億4300万人 |
インターネットユーザー | 59% |
オンライン総売上 | €10.5 billion (2013) |
大手のオンラインショップ | Ozon, Ulmart, KupiVIP |
オランダは人口の92%がインタ―ネットユーザーである。 オランダではiDeal決済が人気でこれはオランダ独自のシステムだ。他にはペイパル、マスターカード、VISAである。 他にはAftrpayやacceptgiro(振込用紙)、Klarnaが使われている。 オンラインで購入されているのは旅行チケット(38.96%),続いてテレコミュニケーション、電化製品、PC関係、服飾関係、メディアである。 少なくとも1100万人のオランダ人がネットショップの経験者で、1176万人が2014年の上半期でオンライン購入をしているとの調査結果が出ている。
オランダのEコマース市場は推定139億ユーロで2015年度末には165億ユーロになるといわれている。これは全小売販売の11%である。
オランダの大手オンライン企業といえば、Wehkamp.nl, Bol.com, Zalando, Coolblue, H&M, Hema Thuisbezorgd.nl. である。これはすべてZalando (Germany) and H&Mを除いてオランダ国内企業である。アマゾンとEbayはオランダでは主流ではない。 オランダでは15年以上続くWehkamp.nl and Bol.comが強く根付いているからである。また、オランダ人は安全なiDeal決済を好む傾向があるからだ。
人口 | 1680万人 |
インターネットユーザー | 92% |
オンライン総売上 | €16.5 billion (2015) |
大手のオンラインショップ | Bol.com, Wehkamp, Coolblue |
ヨーロッパの主要国であるが、それぞれの国で独自の決済方法があり、ロシアは代引きがまだ主流である事、ドイツは返品率が高い事、オランダではIDealなどの独自の決済方法が根付いていることが分かる。しかし、今後は越境サイトに対応してPaypalなどが幅広く使われるようになると想定するが、やはり手数料などの負担をどうするかという課題は残される。Paypalは海外決済だと5%超える手数料を支払わなければならないのは大きい。今後、安価な手数料の海外決済、各国独自の決済に合わせた対応ができるのが望ましい。
最後に、2013年当時の日本とヨーロッパ諸国の売上比較である。