最近のECサイトは越境ECであることが求められる時代だ。越境ECサイトを構築するは多言語対応、多通貨対応にする必要がある。
今回はひとつのECサイトで多言語、多通貨切り替え対応しているECサイトで、日本から海外に発信している越境ECサイトと海外から日本などに発信している越境ECサイトに別けて見ていき、その特徴と多言語対応にする際のデザインや文章などで留意すべき点などを整理してみた。
日本から海外へ向けて商品販売する際には、どのような点に注意が必要なのだろうか?
日本のECサイトと同じ内容をそのまま言語を切り替えだけで、言語が切り替わる、つまり翻訳された内容が表示されるだけでよいのだろうか?
今回は4つのサイトを取り上げ、どのようなところに配慮されているかなど、海外向けに越境ECサイトを構築する上での注意点を見ていこう。
「Wabi Japan」は日本の伝統工芸品をはじめとする隠れた逸品や厳選した商品を海外に向け紹介する越境ECサイトである。
特徴はトップページのスライドビューは海外を意識して、大きめにデザインされている。また、トップページ上部にお問い合わせ、年中無休、海外配送対応を表示し、ページ下部では配送についての詳細情報など「Wabi Japan」の安全性や信頼性についてしっかり明示されている。
商品ページの英訳も文章量を意識して長くならないように簡潔に整理され、配慮された英訳文となっている。
「WOAH!JAPAN」は訪日外国人観光客をターゲットにした、日本国内のお土産や人気の高い工芸品、日用雑貨品を販売するECサイトである。
こちらも、トップページ上部に海外配送、お支払い方法、海外発送料金を明示し、海外を意識したつくりになっている。
また、サイト全体のレイアウトも整然とデザインされ分かりやすい。トップページに戻るボタンが富士山アイコンデザインされ、日本的イメージをサイト全体で特徴づけている。
「JAPANSQUARE」は日本の美味しい食品や名産品・匠の技が光る工芸品やモダンな雑貨を海外に販売するECサイトである。
「JAPANSQUARE」の特徴は商品販売以外に各地方の観光情報や伝統行事、商品に関する、ためになるコンテンツを展開しているところだ。
デザイン的な特徴としては、カテゴリメニューなどにシンボルアイコンをデザインしフッターにgifアニメを使用したり、さらに商品ページにはパンくずリストも設置されユーザビリティに気を配っている。
「アバクロンビー&フィッチ」はTシャツやデニム、ポロシャツ、ジャケットなどを扱うファッション系ECサイトである。
ターゲットとなる中心は海外販売にあるので、トップページから海外サイトを意識したデザインになっている。
つまり、文章を極力なくし、大きめの写真をレイアウトする。文字情報も最小限にし、余白を充分とり、シンプルにこだわったサイトデザインである。
次に海外の多言語対応のサイトも参考になればと考え、2つのサイトをとりあげてみた。
海外の多言語、多通貨対応のECサイトでは、日本の多言語ECサイトと違って、どんなところに気を配っているのか、その違いを見てみよう。
「Wiggle」はイギリスの自転車関連商品の通販サイトである。自転車のさまざまなパーツや商品を扱い、特徴は豊富なアイテムと低価格であるところ。
トップページではショップの特徴である価格帯、無料配送、セキュリティをPRしている。PRはヘッダーに設置され、前ページにわたり表示される。
また、商品検索窓も目立ち、分かりやすい。セレクトで言語設定以外にも、通貨設定、配送先設定ができる。
さらに、驚いたのは日本語訳がしっかりしている点だ。文章量も適度で、ユーザーレビューまである。さすがにレビュー内容は翻訳されていないが、ただ、商品説明、サイズ表、配送、返品に関しての情報は商品ページ毎にしっかり明示されている。
「Strawberrynet」はスキンケア、化粧品、香水、ヘアケア用品を扱うECサイトである。豊富な品揃えと海外無料配送などが特徴である。
このサイトは英語ページと日本語ページによる言語、通貨を切り替え対応であるが、切り替えがスムーズで、言語を切り替えるとトップページに遷移するのではなく、ページ毎に言語対応しているのは、便利である。
また、メニュ-の連絡先を選ぶと連絡先ページにはお支払いや配送、配送時間、課税、セキュリティやFAQなど商品購入に関してユーザーが不安に感ずることをまとめて1ページに記載されている。全体的に日本語翻訳も適切で分かりやすい。
多言語、多通貨対応のECサイトを構築する際は、今回のサイトを見ても分かるようにローカライズという視点が重要であることが分かる。
たとえば、デザイン性で見ると、ビジュアルを中心にシンプルなデザインにすることや、配色では日本をイメージさせる色彩にするなどだ。また、ユーザーの不安感を払拭するために、連絡先や配送内容、セキュリティなどは、どのページでも目につく位置にあること。文章量でいえば、和文を単に英訳するのではなく(英訳は和文の文字量より多くなるため)、その文字量を考え簡潔な英訳を行うことなどが、留意点と言えるだろう。