経済産業省は6月14日、 「平成27年度我が国情報経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備」 (電子商取引に関する市場調査)の結果を発表した。内容は日本の電子商取引市場の実態、日米中3か国間の越境電子商取引の市場動向についての調査結果である。
今回はこの結果を元に国内のEC市場や越境EC市場規模が、2014年からどのように推移しているかをまとめてみた。
昨年、2015年の国内のBtoC市場規模は13.8兆円、前年比7.6%増と拡大した。(図−1)
また、国内のBtoB-EC(企業間電子W商取引)市場規模としては、狭義BtoB-ECは203兆円(前年比3.5%増)に、広義BtoB-ECは288兆円(前年比3.0%増)とともに拡大している。
EC化率(すべての商取引のうち、電子商取引が占める割合)はBtoC-ECで4.75%(前年比0.38ポイント増)、狭義BtoB-ECで19.2%(前年比0.7ポイント増)、広義BtoB-ECで27.3%(前年比0.8ポイント増)と増加傾向である。
平成27年、日本の消費者が、アメリカ、中国から越境ECで購入した金額は2,229億円で前年比は6.9%増。アメリカの消費者が日本、中国から越境ECで購入した金額は9,037億円で前年比11.1%増となっている。 驚くべきは中国で消費者が日本、アメリカから越境ECでの購入額は1兆6,398億円で32.7%と金額、伸び率も大きい。(図−2、図−3)
図−4は、2012年から現在、そして、今年と来年の越境EC規模を試算したものであるが、これら数値をみると、越境ECは中国を中心に大きく拡大する可能性がある。
試算によると2019年には越境ECの市場規模は日本が1.5倍、アメリカが1.6倍、中国は2.9倍の規模に達するだろうと言われている。また、2019年には日本、アメリカ、中国の越境ECによる購入総額は6.6兆円まで拡大する可能性がある。
図−5はアメリカと中国の消費者が越境ECでの購入品の多いものからグラフ化したものだが、アメリカ、中国はともに、衣料品・アパレルが1位である。また、共通品として電化製品、旅行が4位、5位なっている。
全体として2015年も国内EC市場、越境ECは順調に伸びていることが結果として示され、今年もこの傾向は続くものと予想される。特に越境ECにおいて、中国は2019年には日本とアメリカからの購入額が4兆8,145億と現在の約2.94倍になると予想されている。
そして今後、越境ECで成長するにはアメリカの消費者、中国消費者のニーズを読み取り、訪日観光客がどんなものを買って帰るのかアンテナをはり、購入品などもチェックし、越境ECサイトに反映させることも重要である。
参考:平成27年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)