越境EC 中国配送モデル「直送モデル」と「保税区モデル」とは?

イメージ画像

中国越境EC市場は急拡大を続けており、経済産業省の発表によると、2016年日本から中国消費者が越境ECを利用し購入した金額は1兆366億円に達したとしている。
中国へ進出する手段として、越境ECへの注目度は高く、昨年から天猫国際(Tmall)や京東全球購(JD Worldwide)など中国ECサイトに出店するケースが多くなっている。
中国消費者は日本製品に信頼があり人気が高く、今後、中国EC市場はますます活性化が予想される。中国市場に向け越境ECを考えるのであれば、その市場の動向を知ることは必須だろう。
今回は中国越境ECと関わりが大きい中国の配送モデル「直送モデル」と「保税区モデル」と新税制度度の関連についてまとめてみた。

 

●中国越境ECの新税制度は2017年末から始まる

越境EC購入先

図はペイパルの調査により、中国消費者が過去1年間に越境ECで1度でも利用したことがある国を調べたものだが、トップはアメリカの27%、2位は日本18%、3位はカナダ14%となっている。
これは、越境ECビジネス環境(WEBサイトシステム)、インターネット環境の向上に加え、越境ECに対する税制度の優遇があったことは否定できない。
つまり、中国消費者が、中国の小売店で海外商品を購入するより、越境ECで購入したほうが割安で購入することが出来たからである。ところが昨年、中国政府は越境ECに関する税制度を見直し、新たに新税制度の導入を決めた。
この新税制度は昨年2016年4月に施行される予定だったが、先送りされ、現況では2017年末まで延期され、本格的なスタートは2018年となっている。
この新税制度の特徴は中国越境ECの配送が、「直送モデル」タイプか、「保税区モデル」タイプにより、適応される税率が異なってくるという点である。
今回は、配送タイプが「直送モデル」か「保税区モデル」により、新税制度の内容がどのように違ってくるのかを整理してみた。

 

●中国の税金の種類

まず、具体的な説明の前に中国の税の種類と内容についておさえておく。
下記は中国の税についは次のようになっている。

  • 消費税:特定の嗜好品、贅沢品に対して課せられ流税金で、品目によっては3%から45%が課税される。
  • 関税:中国に輸入される商品に対して課せられる税金。
  • 増値税:日本での消費税にあたる、流通段階で商品に課せられる税金。
  • 行郵税:個人が海外から買ってきたものや、個人輸入された商品に課せられる税金。商品ジャンルによって税率が違う。

商品を購入する際にかかる税は、上記の消費税、関税、増殖税、行郵税の4つであり、この4つの税が、新税制度では配送方式により、商品にかかる税の種類や税率が違ってくるのである。 新税制度ではどのように違ってくるのか。配送モデル別に見て行こう。

 

●直送モデルではどう変わる?

直送モデル

図のように「直送モデル」は中国消費者から注文が入り、中国消費者に直接、日本から直接、商品を配送する方式のことをいう。
デメリットとして、通関手続きなどに時間がかかり、送料は高くなるケースが多い。
そして、直送モデルで配送される場合、新税制度ではどうなるのか? 下記に整理した。

  1. 直送モデルでは税の種類は「行郵税」が適応される。
  2. 50元までの行郵税は免税。
  3. 行郵税率は「10%、20%,30%、50%」の4段階から、「15%、30%、60%」の3段階へと変更。
  4. 越境ECでの購入金額は2,000元まで引き上げ。
  5. 年間購入金額も20,000元まで引き上げ。
  6. 直送モデルでも輸入許可書(通関単)が必要。

 

具体的な商品別の税率は、おおよそ下記のようになるだろう。

直送モデルの場合の税率

 

 

●保税区モデルではどう変わる?

保税区モデル

保税区モデルは、2013年9月に上海に設けた規制緩和の実験区「中国(上海)自由貿易試験区」をはじめ、広州等の保税区で試験的に始まったモデルである。
このモデルは越境ECでの販売事業者がコンテナ船等を利用し、一度にまとめて、大量の商品を中国に輸送し、通関手続きをしないで、中国国内の保税倉庫に商品を保管する。 中国消費者から注文が入ると、その都度、保税倉庫から出庫され、通関手続きは、出庫の際に行われるというものだ。
中国消費者にとっては、物流コストをかけずに、安く早く商品を購入できるケースが多い。さらに、返品先やお問い合わせなどが中国国内にあるため、安心して利用できるメリットがある。

保税区モデルは販売量が多い、売れ筋商品などの場合はメリットが大きいが、このモデルの場合は「関税」「増値税」「行郵税」の3つが課せられる。

新税制度になると保税区モデルは、大きな変更が行われるようだ。
新税制度に変わりどのように内容が変更されるかは次のようになっている。

  1. 1度の購入金額上限は2000元までに引き上げる。
  2. 年間購入金額(累計)上限は20,000元。
  3. 購入金額の上限以下の購入商品に関し関税率は0%。
  4. 輸入に関する増値税を30%減額し、全てに適用(増値税17%×70%=11.9%)
  5. 消費税がかかる場合(商品によっては消費税がかかるケースがある)、30%減額で適用する(消費税30%の商品の場合、30%×70%=21%となる)。
  6. 保税区モデルにおいても、輸入許可書(通関単)が必要。
  7. 保税区モデルの場合、具体的な商品別の税率はおおよそ下記のようになるだろう。

 

保税区モデルの場合、具体的な商品別の税率はおおよそ下記のようになるだろう。

保税区モデルの場合の税率

 

●まとめ

2018年から本格的にスタートするだろう、中国の新税制度は、配送モデル「直送モデル」「保税区モデル」によって内容が違ってくる。
日本の売れ筋商品である化粧品や健康食品などは、従来より、課税されコスト高になることが予想され、越境ECにおいては影響がでてくるだろう。
さらに、中国の越境ECを取り巻く環境は、今後、新税制度だけではなく、今後も政策変更など、起こりうる可能性がある。
中国越境ECに取り組まれている企業やこれから中国販売に乗り出す企業は、まず、新税制度への対応が急務であり、中国の最新の情報や動向にも留意することが必要である。

 

関連する記事

越境ECにも影響するEUの「GDPR」対策行ってますか?...   先日、フェイスブックが保有する5000万人のユーザー情報の外部流出に関して、CEOであるマーク・ザッカーバーグは正式に謝罪した。この事件は、フェイスブックへのデータへのハッキングや、データ管理の不手際で個人情報が漏れたものではない。 しかし、ザッカーバーグは「faceb...
海外販売に関する補助金・助成金情報(2018.August)... 2018年も8月。日本各地、梅雨明け以降、連日の猛暑日が続いている。台風も発生し、関東沿岸を通過するなど荒れ模様だ。今年の夏は立秋を過ぎてもまだまだ猛暑日が続くと予想されている。猛暑日は水分補給を充分行っていただきたい。今月も補助金・助成金情報をまとめた。 補助金・助成金とは国や地方自治体...
新しく立ち上げたEコマースサイトに人を集めるには?その2... 前回は、新しくEコマースサイトを立ち上げる際には、人気ブロガーなど自社商品の購買層に影響を与える「インフルエンサー」を探して、トラフィックの増加につなげよう、とお伝えしました。今回は、そのコンセプトにしたがって、さらに細かくソーシャルネットワークを利用する方法をお伝えします。 ソーシャルネ...
ドローン宅配は実現するのか? アメリカ、中国、日本の現況...   7月23日より東京オリンピックが開幕となった。開期直前まで紆余曲折あった東京オリンピックだが、大会経費は1兆6,440億円と史上最高額と大きく膨らんだ。 そして、このオリンピックの開会式で一際、式を盛り上げ注目されたのは、1824台のドローンが東京オリンピックのシンボル...
企業の取り組みは大丈夫? デジタルマーケティングの現状... スマートデバイスの普及により、企業のマーケティング戦略は大きな変革期を迎えている。 つまり、デジタル化の大きな波により、デジタルマーケティングを認識し、取組んでいかない企業経営は成り立たない時代になってきているということだ。 今年1月、「先進技術による新事業創造委員会」より『企業の成長シ...
今年も驚愕! 中国の「独身の日」の物凄さ ... 11月11日(ダブル11)は、中国ではシングルを意味する「1」が並ぶことから、「独身の日」と呼ばれており、中国EC最大手、アリババが2009年よりこの日にバーゲンセールを開始したことが始まりで、中国全土で、この日は1年でもっとも、大きなバーゲンセールの日として定着している。 この日の「アリ...

コメントをどうぞ