2018年5月、経済産業省が発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、2017年における日本からアメリカ向けの越境EC規模は前年比15.8%増の7128億円。
日本から中国への越境EC規模は、同25.2%の1兆2978億円。アメリカと中国の合計は前年比21.7%増の2兆106億円となっている。
アメリカ向けと中国向けの越境EC市場規模は、2020年には合計2兆9761億円となる見通しで、市場規模は2017年比で約1.5倍のとなる予想だ。
アメリカと中国はEC消費額の伸長とともに、日本からの越境ECの規模拡大を牽引している状況が、今後も続くとみられている。
今回は、このアメリカのEC市場を牽引しているAmazon、アメリカのユーザー向けに越境ECを行う際に活用できる、Amazon USのメリット、デメリットについてまとめてみた。
AmazonはアメリカのEC市場で、圧倒的な市場規模と販売力を誇っている。それは2017年の売上高1778億6600万ドル(約1兆3335億円)、純利益30億3300万ドルという数値をみれば、その存在の大きさは明らかだ。
そして、アメリカ向け越境ECモールで多くの日本企業が活用しているのがAmazon USとeBayであるが、2017年の売上高を見ると、アメリカAmazonは1778億6600万ドル(前期比30.8%増)、一方、eBayの売上高は7%増の96億ドル、取扱高(GMV)は同6%増加の884億ドルでその差は大きい。
アメリカではAmazonが圧倒的なシェアを占めており、越境ECモールを活用するなら、まず、Amazon USで商品の市場動向を見るのも一つの方法である。
https://services.amazon.co.jp/services/global-selling/services-overview.html
Amazon USへ出店は、日本ですでに出品用のアカウントがある場合は、Amazon.co.jpのセラーセントラルから在庫>グローバルセリングと進み、必要情報を登録すればよいだろう。
Amazonマーケットプレイスは参入障壁が低い分、価格競争は激しいとうデメリットがあるが、ここではAmazon出品のメリットについて見ていこう。
海外Amazonで販売を始めるためには、出品者登録を行う必要があり、登録料は39.99$(約4,452円)/月となっている。
アカウント取得も比較的簡単で、法人情報や支払い方法を入力すれば2-3日でアカウントが開設できる。Amazon USではの日本の銀行口座では登録できない事が多いので、Payoneerなどの外貨受け取りサービスを使用して、海外の銀行口座を取得できれば、アメリカに向けて商品販売を開始できる。
そして、他モールでは自社ECショップを出店する必要があるが、Amazonではその必要はなく、商品を出品するだけなので非常に簡単である。
初めて海外に向け商品を販売するときに重要なポイントとなるのが集客である。 Amazonは世界No1ECモールなので圧倒的な知名度、集客力を期待できる。
アメリカのECユーザーの43%はアマゾンサイト内から購入しているというデータもあり、Amazonを通じて販売すれば、その集客力をフル活用できる。
アカウント登録や商品開催が完了すれば、基本的には商品が売れるのを待つだけだが、商品に関する質問に答えたり、商品情報をより、充実させることで、売上のチャンスを増やすことも可能だ。
さらに、Amazon内に広告を出稿し、集客することもできる。 売上が増え、良いフォードバックが集まると、Amazonから評価され、売上も安定する好循環が生まれる。
Amazonはお客様第一主義なので、商品価格の他にユーザーの口コミや星の数、トラブルの有無が大事な評価基準となっているので、出品の際は丁寧な接客や梱包、発送を心がける必要がある。
FBAとはAmazonが行なっている物流代行サービスで、商品の梱包や発送などをAmazonが行ってくれ、このFBAを活用することで出店者の負担が大幅に軽減される。
このシステムを利用すれば、出店者は、より海外販売事業に集中できるようになる。
以下の内容が、活用できるサービスである。
Amazon USへの出店は、簡単に始められ、集客もでき、アメリカ向け商品をAmazonに登録すれば、直ぐに売れるように考えがちだが、Amazonという巨大な越境モールを利用する為、様々な制約や課題もある。ここではそのデメリットをまとめてみた。
Amazonに’出品した商品が売れると、販売手数料と呼ばれるコストが発生する。販売手数料はどこに出店しても支払いは生ずるが、Amazonの場合、他のECサイトに比べると少し高い傾向にある。
具体的にはその商品により異なるが、Amazonの場合、商品代金の8%~15%が目安となっている。販売手数料が高い商品となると、その分、利益が減ってしまうので、この手数料を支払っても赤字にならない価格を設定する必要がある。
Amazonは参入障壁が低い分、販売商品が売れ筋商品であればあるほど、ライバルは増え、価格競争が起こりやすい状況となる。
一人が価格を下げると、皆が連動して価格を下げるなど価格破壊が起こる可能性が高い。
そして、Amazon自身が販売者であり、どの商品がどのくらい売れているのか、最も把握しているのはAmazon自身である。Amazonが強力なライバルとなることも想定し、販売する必要があるだろう。
Amazon FBAを利用すると海外販売を効率的に行うこともできるが、商品を倉庫に送った後は、ショップ運営に関する業務はほとんど不要となる。
その為、将来、独自で越境ECを開設したいと思っても、そのEC販売ノウハウが蓄積できない。 Eコマースを運営するには、商品の販売、販促活動、注文処理、受注作業、商品の発送、顧客対応などの業務経験が必要となる。
その為の経験やノウハウといった重要なスキルを得ることができない。
Amazon FBAを利用すると、作業は軽減されるが、その分、手数料が発生する。 デメリット①の販売手数料の他に、FBA利用の倉庫保管費などの手数料がかかるのも事実だ。 FBA利用に関する手数料は次のようなものがある。
である。 商品によっては手数料で赤字になる場合もあるので、必然的に、利益率の高い商品でないと販売は厳しいと言える。 Amazon販売をする場合、売上額のおよそ30-40%ぐらいが販売手数料やFBA手数料など、差し引かれるイメージである。
Amazon USで海外販売するには、まず、アメリカで入手できないもの、アメリカのショップには売られていない商品であることが前提である。
日本の商品で人気があるものは、日本文化が感じられる商品で高機能であることや、コンパクトな商品である。日本の家電、日用品、消耗品などで競合が少ない商品である。
一昔前なら、人気アニメのフィギアやおもちゃなどであれば、商品選定をそれほど厳しく行うこともなく、売れた時期もあったが、今は何を売るか、商品をしっかり選定することがとても重要なポイントである。
商品選びのポイントは下記の内容だ。
下に参考として、2018年5月、経済産業省が発表した「電子商取引に関する市場調査」に掲載されている、アメリカの越境ECユーザーが購入経験のある、商品カテゴリーのデータを記した。
国内消費の縮小が懸念される中、越境ECによる販路拡大に注目が集まっている。 そして、海外販売では”Amazon USに出品して、アメリカ販売を開始したい”という声も耳するようになった。
Amazon USを利用すれば、手軽にアメリカで販売をスタートできるのも事実である。 しかし、Amazon USには他のECモールにはない、いくつかの特徴あり、その特徴を理解した上で、経営戦略を練る必要があるだろう。
今回、紹介したメリット、デメリットを参考にしていただき、海外販売にチャレンジし、販路を拡大していただきたい。
デジタルスタジオでは来週8月13日より夏季休暇のため、休業となります。
詳しくは下記内容となります。
夏季休暇中は、ご迷惑をお掛けいたしますが、
何卒、ご了承いただけますようお願い申し上げます。
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