10月5日(月)TPP「環太平洋パートナーシップ協定」の交渉が大筋で合意に至った。この協定締結後には関税率が大きく変わることが予想される。
近い将来、特に参加12カ国のなかでもアメリカ、オーストラリアなどでは扱う物品、商品により現時点より関税率が低く統一されることになるので、海外販売を行っている企業では目が離せない状況といっても過言ではない。
そこで、今回は越境ECを開設するにあたって覚えておかなければならない、関税について見ていこう。
関税とは、その国のさまざまな産業、農業などの自国の物品、商品を保護、守るするために海外から輸入する品目に対して課せられた租税で、宝石や高級車には多くの関税が課せらている。
国内に向けて商品をECサイトを通じて販売する場合は、商品以外に消費者が支払う料金は消費税と送料だ。
しかし、越境ECで商品を海外の消費者に販売する場合は、関税がプラスされることになる。この「関税」は一般的には輸入者である消費者が支払うため、しっかり明記しないと、関税支払拒否からの受取拒否や返品に繋がる場合ある。
そのため、消費者には各商品の関税見込み額の表示することが重要なポイントとなる。関税は国・品目によっては高額になってしまうことも多い。
中国の越境ECでは規定数量以内の個人使用目的の輸入品に関しては関税徴収免除規定というものがあり、越境ECでは関税を免れていることが多いが関税の他に増値税が課せられるのが特徴だ。関税と増値税を明示する必要がある。
例えば、100円の商品で関税率が10%、増値税が17%の場合だと、(100円+10円)×17%となり総額で128.7円が価格となる。日本は今、円安で商品は中国製より安いと思っても、商品に対して30%近く、価格が上がってしまうということである。
また、中国では2015年6月1日から日用品の一部の輸入関税を大幅に引き下げられた。引き下げられた関税の中には、中国消費者に人気の紙おむつ、スキンケア商品、靴・衣類などが含まれている。
今後、中国では関税引き下げの対象品目がさらに拡大される可能性もあり、関税引き下げの動きが中国向け越境ECを手掛ける海外通販にどんな影響を及ぼすか注目されるところだ。
詳しい中国の関税制度についてはこちら
アメリカの場合は$2500以下の場合、簡易税率が適用される。関税率は物品の種類により異なり、アメリカの場合は物品のHTSコードで8桁の番号から構成されている。
このコードを入力することで関税率を調べることができる。また、$100未満の場合は関税などは免除される。
アメリカの関税率分類:
各章ごとに分類が一覧表になっており、各項目別にPDFファイルで関税率と、HTSkコードが閲覧可能。
米国際貿易委員会による関税率検索データベース:
HISコードを途中まで入力することで、品目ごとの具体的な関税率を調べることができる。
詳しくアメリカの関税制度について知りたいかたはこちら
「関税」は海外販売する国や商品によって税率が違ってくる。越境ECで海外販売する場合は、商品本体価格の他に、消費者が支払はなければならない金額をしっかり算出し、明示する必要がある。
Live Commerceではサイトを構築する際に、この関税を自動計算するプラグインが用意されている。
商品登録する際に関税カテゴリも一緒に登録することで、各国の関税率を商品単位で計算するものである。これにより、消費者は商品購入時に関税率による価格を知ることができる。越境ECサイト構築の際は導入することをお薦めする。
Live Commerceの関税計算プラグインはこちら
写真出典:photoAc / ぱくたそ-フリー写真素材より
[…] 国内での商取引では関税については意識をする必要はないが、日本から海外に発送する場合は商品を受け取る購入者に関税を支払う義務が発生する。関税とは物品の輸出入に際し、支払う必要が発生する税金である。つまり、購入者が払う金額は「商品代金 + 消費税 + 送料 +関税額」となり、サイト内にそのことをしっかり明記しないと、場合によっては関税支払拒否や受取拒否・返品といったクレームにつながる可能性がある。米国のeBayでは商品単位ごとに関税がいくらかかるかを表示されるが、日本のサイトでは記載のあるケースは少ない。Live Commerceでは海外各国に販売する際の関税額を自動計算する「関税計算プラグイン」を追加することができる。越境ECを展開する上では各国での関税に関する制度について知っておくことは重要である。アメリカと中国の関税に関してはlive-commerceブログ「越境ECの関税はどうなってるの?」で解説している。 […]