新型コロナ禍 アメリカ「巣ごもり消費」で売れてる商品

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新型コロナ禍の中、アメリカでは5月6日よりジュージア州を皮切りに、各州ごと徐々に経済再開が始まり、5月15日には延べ47の州で外出制限措置が緩和され、限定的な経済活動再開がはじまっている。
アメリカでは外出制限により、新型コロナ禍にあっても消費者の巣ごもり消費増加を受け、アメリカ主要IT企業の収益は軒並み好調となっている。
Amazonでは、今年1月から3月までの売上高が、約755億ドル(約8兆700億円)と前年の同じ時期に比べ26%の増収と公表している。これは、インターネット通販の利用が増えたことが大きな要因である。
アップル社も増収となっている。主力のiPhoneは製造、販売とも停滞しているが、音学配信やアプリ販売が好調だったようだ。
今回は、「Adobe Digital Economy Index(Analytics | April 2020)」と「eBay Japanの2020年第1四半期の越境ECトレンド」からアメリカの売れ筋商品トレンドを紹介する。

新型コロナ禍で変化したアメリカの消費行動

新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界各国で消費者行動に変化が生じている。むろん、消費大国、アメリカも例外ではない。
小売業者が売り上げを圧迫される一方で、オンラインショッピングの売上は急増している。
「Adobe Digital Economy Index」2020年4月版によると、3月から4月にかけて、米国のEコマースは49%増えたと発表している。
「Adobe Digital Economy Index」とは、米国の小売業者上位100社のうち80社のEコマース取引をモニターしているアドビの分析ソリューション「Adobe Analytics」のデータによる集計結果である。
ここでは、Adobeの集計結果を元に、新型コロナウイルス禍でアメリカのオンラインショッピングの行動に変化のあった、オンライングローサリー、エレクトロニクス、アパレル、BOPISの分野の内容の変化を紹介する。

新型コロナの影響で売り上げの上がっているものは、どの国も同じでマスクや殺菌消毒液などの衛生商品だが、このレポートを見るとその特徴として、オンライングローサリーの売り上げ増加が大きく貢献しているとある。
オンライングローサリーとは、食品雑貨のオンライン販売である。
オンライングローサリーのInstacartに関しては、新型コロナ感染拡大で需要が大幅に増え、初めて黒字になったとしている。
アメリカのオンライングローサリー大手は、Walmart(ウォルマート)、Instacart(インスタカート)、Amazon(アマゾン)である。
これら企業は、増大するグローサリー需要に対応するため、新たに多くの従業員を採用している。
下記のグラフを見ても2020年4月に入り、グローサリー価格はこれまでに無い上昇を示しているのがわかる。
オンライングローサリー増大は、ロックダウンが解除され、規制が緩和されても続くと思われる。
なぜなら、いったんオンライングローサリーの利便性と「不必要に大勢の人と接触しなくてよい」という安全性を経験した消費者は、引き続きオンライングローサリーを利用すると考えられるからだ。

オンライングローサリーの増加

新型コロナの影響で、アメリカの電気製品、オーディオ関連商品の価格下落が止まったとしている。
「Adobe Digital Economy Index」によると、オンラインのエレクトロニクス製品価格は2014年以来デフレとなっていたが、新型コロナウイルスにより価格下落傾向が止まり、コンピューターの価格は需要の増加により4月は上昇に転じている。
中でも、テレワークによる、オーディオミキサー、マイク、マイクケーブル、他のオーディオ関連機器の販売は4月には459%の増加となっている。

アメリカの電化線品価格

4月のアパレル購入は、オンライン販売では34%の上昇を示しているが、売り上げは下がっている。アパレルの価格は月間で過去5年間で最大の落ち込みである。通常4月はマイナス2.9%だが、今年の4月はマイナス12%だったとしている。
これは、コロナ自粛での小売販売の落ち込みを、在庫を一掃するために早めに小売セールを行ったことによるものだろうとしている。
また、どのアパレルも売り上げが減少しているとは言い切れないようだ。
外出制限、テレーワークによる、快適アイテムとしてのパジャマなどは143%売り上げ増加となっている。
さらに夏服としての、ショートパンツやTシャツはそれぞれ、67%増と47%増となっている。

アメリカのアパレル価格

さらに、新型コロナの影響で加速しそうなものに「BOPIS」オンラインシェアの増加がある。
「BOPIS」とは、Buy Online Pick-up In Storeの頭文字を取った略称で、「ECサイトで購入した商品をリアル店舗で受け取るショッピングスタイル」のことである。
3月の下旬から4月にかけてこのBOPISオンラインシェアが大きく上昇している。このスタイルの注文は前年比208%増となった。
「BOPIS」は、ショッピング時の3密を避けることに繋がり、ソーシャル・ディスタンスを維持する買い物行動である。今後もこのスタイルの消費行動は、普及すると考えられる。

アメリカのBoplsの増加

ここではAdobeの4月のレポートの一部を紹介したが、アメリカのネットショップでは3月は生活必需品が売り上げがアップし、4月に入り、ここで取り上げた商品以外にもおもちゃ、ゲーム、エンターテイメント、スポーツグッズ、ペット商品などの商品の売り上げも増加している。
これらは、新型コロナ禍の外出制限による巣ごもり消費からくるものだが、アメリカで特徴的なのは、Adobe Digital Insightsのディレクター、タイラー・シュレイナー氏によると、オンラインがオフラインの小売経済を吸収するにつれ、ここ数年なかったインフレが見られること。特に、エレクトロニクス製品など、オンラインでデフレが続いていた部門に顕著に現れていると指摘している。

新型コロナ禍で分かる越境ECで売れる魅力ある日本商品とは

新型コロナの影響で海外旅行者は減少し、インバウンド、観光業・商業の収益に大きな打撃を与えていることを、前回のブログで記した。
しかし、「WEBインバウンド」越境ECでの売り上げは伸長している。
そして、4月30日、イーベイ・ジャパンでは2020年1月から3月の売り上げで、日本の「越境EC」に関するデータから、「カテゴリー別成長率ランキング」「カテゴリー別取引ランキング」「商品別売れ筋ランキング」を公表した。
ここでは、eBay Japanが公表した「2020年第一四半期越境ECトレンド」の内容を紹介する。

アメリカでは日本アニメキャラは不動の人気

「カテゴリー別成長率ランキング」のBEST3は、以下の内容となっている。

1位:コレクティブル(アニメ、フィギュア類)
2位:宝飾・装飾・腕時計
3位:ビデオゲーム(本体、ソフト類)

日本の人気商品

eBay.comの「Japanese, Anime」のカテゴリーは、特に日本セラーの競争力が高く、eBay.com内でも高い割合を占めている。
日本アニメの影響で、コレクティブルはカテゴリーの中でも継続的に人気が高く、特に「ねんどろいど」という人気アニメやゲームキャラクターをデフォルメしたフィギュアも日本セラーから多く販売され、バイヤーの購入意欲が高い商品となっている。
また、アメリカの自宅待機に伴う、巣ごもり消費として、日本のPS Vita やNINTENDO64のゲーム機ががより一層活発に取引されている。

日本のウォッチブランド商品に人気が集まっている

「カテゴリー別取引ランキング」BEST3は、以下の商品となっている。

1位:レディース、アパレル、シューズ&ファッション雑貨
2位:腕時計、パーツ&アクセサリー
3位:アニメ、キャラクターグッズ

日本の人気商品その2

2位の宝飾・装飾・腕時計はeBay.com内のジュエリー&ウォッチカテゴリーとして、日本からの売上が急成長を見せているカテゴリのひとつである。
中でも実用時計のシェアでは世界一ともいわれ、近年は高級腕時計の分野においても、日本独自のウォッチブランドの商品に高い人気が集まっている。
特に「SEIKO MECHANICAL SARB033」はセイコーメカニカルシリーズの名機ともいわれ、「グランドセイコー」に似たフォルムを持ちつつ、かつ、リーズナブルな価格に加えて廃盤になった現在、アメリカでは高い需要を誇っている。

商品別ランキングでは生産終了した商品が人気を持続

「商品別売れ筋ランキング」のBEST5は、以下の商品となっている。

1位にソニープレイステーション「PS Vita」本体
2位に「セイコー メカニカル」(SEIKO SARB033)
3位には「任天堂 ゲームキューブ」のコントローラー
4位は「ドーナッツ型 ふわふわペットベッド」
5位は「水槽用 UV滅菌ランプ」(ちょっと意外なものがランクインしている。)

日本の人気商品その3

1位と2位にランクインした製品は、いずれも生産終了しているものだ。
「PS Vita」はライバル機種の発売をきっかけに操作性の良さが再評価され、人気を博している。
新型コロナの影響により、巣ごもり消費が増えた結果の人気でもあるだろう。
「SEIKO SARB033」は価格以上の価値があるムーブメントを搭載していることで、世界中で高い需要がある。この商品は生産中止モデルのため、価格は現在高騰している。
3位のゲームキューブコントローラーはSWITCHのゲームタイトルでも使うことが出来ることもあり、売れ筋上位に入ってきている。
そして、4位、5位の商品はペット商品である。アメリカでは今、犬、猫、小動物を引き取り、里親として育てるケースが増加していることから需要が拡大している。

アメリカでは日本のどんな商品に人気があるのか。
新型コロナ禍でも売れる日本の商品として、このレポート内容は参考になるだろう。
巣ごもり消費として日本のゲーム機など人気が高くなることは予測できるが、それ以外に日本のアニメ、フィギュア関連、日本の高級腕時計、バックなどの日本のレディースアパレル商品など、このような時期でも購入される商品こそ、アメリカ消費者にとって真に魅力ある日本の売れ筋商品と言えるのではないだろうか。

まとめ

新型コロナ禍は、ビジネスにおけるデジタル化を加速させているようにも思える。
世界的なEコマースの需要の増加は、オンラインショッピングが商業の重要な手段にとなったことを示している。
さらに、これまでなかなか浸透しなかったオンライングローサリーの拡がりやオンラインで予約して商品を店頭で受け取る販売形式「BOPIS」は前年比208%となり、リアルとデジタルの融合が加速している。
また、仕事のあり方や授業のあり方についてもリモートワーク、リモート授業などデジタル化を加速させている。フィットネスクラブなど、3密な業界でもオンラインフィットネスの需要が増大していると聞く。
今後は新型コロナ禍から、生まれる新しいトレンドをキャッチし、売れる商材を見極め、ビジネスに生かすことが重要だろう。

画像は「Adobe Digital Economy Index(Analytics | April 2020)」と「eBay Japanの2020年第1四半期の越境ECトレンド」から引用した。

参考:

 

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