個人によって収集された画像を共有するソーシャルメディア上でのEコマースがにわかに盛り上がってきました。楽天の出資で話題になったPinterestや、ハンドメイド商品のマーケットプレイスとして海外で盛り上がりをみせているEtsyなど、3つのサイトとEコマースの関係性についてみてみましょう。
Pinterestは、インターネット上で見つけた写真をテーマごとに分類し自分のボード上で共有することができるSNSです。アイテムの画像に説明文や価格をつけることもでき、商品カタログのようにも利用できます。Pinterestの画像はクリックすると投稿者のサイトに遷移するので、センスの良い画像や、その商品に惹かれてサイトに自然に誘導することが可能です。このEコマースにからめたビジネスモデルに目をつけたのが日本国内で最大のコマース市場を握る楽天です。2012年5月、楽天はPinterestに1億ドル(当時の日本円で80億円)出資しました。楽天のEコマースノウハウが活かされた日本語版Pinterestの登場が楽しみでなりません。
Etsyは、元々ハンドメイド商品を出品、販売できるマーケットプレイスとして2005年に登場しました。Etsyを利用するユーザーは2012年、全世界で2200万人を超え、売上高は前年比70%増の9億ドルに届くにまで成長しています。Pinterestと同様に印象的な画像で商品が紹介され、販売者からのメッセージに共感し購買されることが多いようです。Etsyには、Pinterestへの投稿機能があり、多くのEtsyユーザーがPinterest上にボードを持ち、集客・マーケティングの場として活用されています。ユーザーの相互流入も多く、両メディアに相乗効果が出ています。日本国内でもEtsyをロールモデルとしたハンドメイド商品のマーケットプレイスが多くローンチされていますが、まだ成功事例は出ていません。
FANCYは、2012年にアメリカで誕生した画像共有のSNSです。Pinterestとの違いは、投稿された商品のほとんどが購入できることです。コマースサイトという点ではEstyに近いですが、Estyはハンドメイド商品が中心なので、あらゆる商品が対象となるPinterestと比較されるのでしょう。FANCYは友人を招待したり、シェアした商品が購入にいたると手数料がもたらされるなど、ユーザーを熱狂させる仕組みも豊富です。実際にFANCYのユーザーは、Pinterestのユーザーに比べると22倍投稿しているという数値も出ています。FANCYは、2012年夏、米Apple社からの買収を噂されましたが、Google+との提携を発表しました。ユーザー増とGoogle Walletを使った決済への対応も見込まれ、さらにコマース規模の拡大に期待が膨らみます。またInstagramとの連携、iPhoneやAndroidアプリの提供など、モバイルユーザーの獲得にも積極的で、FANCY JAPANの代表はソーシャルモバイルコマースを目指すと明確に宣言しています。 急成長を遂げるモバイル市場にソーシャルコマースが加わり、ソーシャルモバイルコマースという新しいトレンドに期待が集まります。
画像共有サイトのEコマースの可能性についてみてきましたが、Amazonや楽天市場でのショッピング体験とは全く異なる世界観に驚いた方も多いかもしれません。画像共有サイトは、自分が好きな画像や商品を友達同士で共有しやすいソーシャル性と、ブラウザをスクロールするごとに新しい画像が次々に表示され、いつまでも眺めていられるサイト作りが特徴です。目の前にあわられる印象的な画像に刺激され、即ショップへと直結できるモバイルのスピード感を加味したソーシャルモバイルコマースの可能性に注目していきましょう。