11月1日、日本郵便は世界的な航空便の減便の影響により、11月2日(火)より、アメリカ合衆国およびオーストラリア宛ての航空扱いの普通小形包装物の引き受けを一時停止すると発表した。
これは、これまで日本郵便が行っていた、航空小型包装物と国際eパケットで配送する2kg以内の小型荷物、書留郵便の一時停止を意味している。つまり、アメリカ、オーストラリア向けの小型の海外配送は、すべてEMSサービスの配送となる。
海外配送においては、これまではEMS配送が主流だったが、コロナ禍でEMSが配送を一時休止することがあった。その間、海外配送においてはDHLやFedExなど海外宅急便を利用する事業者も増えた。
今は、海外配送においては、日本郵便のEMS、海外配送事業社であるDHLやFedEXを上手く使い分ける時代になったと言える。
そして、もう一つここに登場してきたのは、UPS海外配送サービスである。
UPSサービスはこれまでは海外配送においては、他社と比べると信頼性、品質は良いが、価格が高いと言うイメージがあった。
今回、紹介するのは、そのUPSがリリースした「ワールドワイドエコノミー」というサービスだ。
ここでは、料金比較としてUPSの「ワールドワイドエコノミー」と日本郵便の「EMS」サービスを比べ、同様に「FedEx」、「DHL」の最新価格帯も調べてみた。
UPSは、アメリカでは最大規模を誇る、世界220以上の国や地域でサービスを展開する宅配事業者であり、一般航空・海上輸送、通関、倉庫管理・フルフィルメント・配送サービスを含めた国際総合物流サービスを提供している企業である。
UPSはFedExやDHLと並ぶ国際貨物航空企業であり全世界で、一日あたり、1400万個以上もの荷物を扱っている。
日本ではヤマトホールディングスと業務提携しており、ヤマトの海外配送便はUPSネットワークサービスを通じて輸送されている。
次に、UPSが新しく提供を始めた「ワールドワイド・エコノミー」について解説する。
2021年10月、UPSの「ワールドワイドエコノミー(WWE)」がリリースされた。
ここでは、UPSの新サービス「ワールドワイドエコノミー(WWE)」の内容と、さらにその配送料において、越境ECの配送では主流となっている日本郵便の「EMS」を比較した。
UPSの「ワールドワイド・エコノミー(WWE)」とは、世界210を超える国と地域へ、信頼と手頃な価格で配送するUPSの新サービスであり、現在のところ、日本から海外配送で利用できるWWEサービスは、アメリカ合衆国のみとなっている。
「ワールドワイド・エコノミー」は、小型で軽量な商品を低単価で日本からアメリカの消費者に発送できるサービスとなっており、このサービスはアメリカ向け越境EC事業者にとって、EMSと比較しても時間に余裕があれば、今後、利用してみる価値のあるものと言えるだろう。
以下が「ワールドワイド・エコノミー」の特徴である。
また、日本郵便の「EMS」配送サービスとは、日本から世界各地に比較的安価で、スピーディーに荷物を届けられる方法として、越境ECでは重宝されている配送手段である。
「EMS」は、対象国として120以上の国と地域をカバーしており、配送可能な荷物の重量も最大30kgまで設定されている。
また、最近(2021年6月)では、輸送コストの上昇のため、「EMS」において一部料金改定があった。
これは、特別追加料金と呼ばれるもので、オセアニア・北米・中米・中近東宛てにおいては特別改定料金が適応され、割増となる。
下の表は東京~ニューヨークの場合の「新EMS」の料金と「ワールドワイド・エコノミー」を比較した場合のものだ。
UPSにおいては、「ワールドワイド・エコノミー」以外のサービスとして、最短1日~3日で海外配送できる「UPS Worldwide Express(ワールドワイド・エクスプレス)」や、最短1日~3日でコスト重視の「UPS Worldwide Express Saver(UPSワールドワイド・エクスプレス・セイバー)」、さらに配送に4日ほど要するが、割安な「UPSワールドワイド・エクスペダイテッド」がある。
UPS配送サービスを利用するには、まずは、企業アカウント登録から行わなければならない。企業IDを取得し、WEB上で配送依頼を行う。
UPS 「ワールドワイド・エコノミー」による荷物到着までの流れは以下のようになっている。
注意点は、国内集荷は佐川急便と連携して行われ、集荷料金が発生するということ。
集荷料は関東地域で2kgで480円、5kgで580円、10kgで680円程度の料金がかかる。
海外配送には、UPS以外にもアメリカの「FedEx」、ドイツの「DHL」といった世界的な運送会社を日本国内から利用することもできる。
いずれも、早いもので1営業日、それ以外でも数営業日で海外に商品を配送できる。
各社とも税関での手続きをサポートする通関サービスを提供しており、EMSでの配送が休止の地域やEMSの配送エリア以外のエリアもカバーしている。
フェデックス・コーポレーションは、世界中の法人および個人顧客に向けて各種輸送業務のほか、幅広いEコマース、及び、ビジネスサービスをグローバル規模で展開している。
また、フェデックス エクスプレスは世界最大の総合航空貨物輸送会社で、迅速かつ信頼性の高い輸送サービスを世界220以上の国・地域でサービスを提供している。
下の表は、フェデックス(フェデックス・インターネショナル・プライオリティ)について、現在、公表されている資料により、日本~アメリカまでの料金を表にまとめたものだ。
FedExの東京〜ニューヨークの配送時間は、11月9日(火)の集荷で通関に問題なければ、通常なら、早くて11月11日(木)、または、遅くとも12日(金)には到着すると回答があった。ただ、現在アメリカでは、年末商戦に向かい、貨物の遅延が多く発生しており、時間に余裕をもって発送していただきたいとも言われていた。
DHLはドイツに拠点とした国際宅配サービス企業であり、世界228の国・地域に展開している国際輸送物流会社である。
DHLは世界中にネットワークをもち、国際宅配便会社の中では、一番歴史が長く、アメリカは勿論、ヨーロッパに強みがある。
日本では、DHLジャパン株式会社、DHLグローバルフォワーディングジャパン株式会社、DHLサプライチェーン株式会社の3社がある。
DHLの海外配送料金は重量が15kg以内であれば、ボックスサイズにより配送料が決定されており、日本~アメリカへのサイズ毎の料金体系は以下のようになっている。
DHLの場合の配送時間は11月9日(火)集荷の場合、東京〜ニューヨーク着は11月12日(金)となると回答があった。
また、DHLにおいても、アメリカ便は混雑しており、多少の遅延を生じているため、時間に余裕をもって配送されることをお勧めする。
アメリカにおけるネット販売は、アフターコロナとなった現在でも好調である。UPS、FedExの第3・四半期決算売上、利益は、市場予測を上回る需要拡大を維持した。
そして、アメリカでは今、一年で最大の年末セール期に入っている。日本〜アメリカへの越境EC配送サービスにおいて、UPSの「ワールドワイドエコミー」は、日本郵便のEMSに対抗するサービスとして大いに検討の余地はあるだろう。
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