アメリカ、トランプ新大統領の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱宣言に対し、オーストラリア、マルコム・タンブル首相は「わが国はアメリカ抜きでもTPPを推進する。中国の参加を呼びかける。」などと語っている。
日本は、アメリカ抜きでもTPPを推進するのかが、注目されるところだが、今回はこのオーストラリアについて、越境ECの利用状況など調べてみた。
日本と同じアジア圏に属するオーストラリアだが、オーストラリアはインターネットの普及率、ECの利用率の高い国であることは意外と知られていない。
オーストラリアのインターネットユーザーは2016年1月時点で約2118万人。オーストラリアの人口が2405万人とあるので、インターネット普及率は88%、スマートフォン利用も77%となっており、インターネット普及率は高いと言える。
また、人口の66.5%がEC経験があり、オンラインショップの購入で人気商品はファッション関連商品、ジュエリー、音楽、DVD、書籍、家電などとなっている。 下記にオーストラリアの基本情報についてまとめた。
オーストラリアの越境ECでの取引数、越境ECを通じて海外から商品を購入する国としては、世界6位となっている。越境ECで商品購入した経験者の割合については約69%と非常に高い水準となっている。
越境ECで商品を購入する年代は、18歳から39歳の年齢層で、この層の割合は54%をしめており、どの国の商品を多く買うのかを調べてみると、アメリカが40%、中国32%、イギリス20%となっており、日本は第4位に入っている。
オーストラリアの人の商品購入の傾向は、まず、商品を購入する時、まず母国のオンラインショップサイトで扱っていないか検索し、自国サイトに商品が無い場合は、アメリカのECショップサイトに誘導されるという仕組みがある。
そのため、越境ECでは米Amazonなどのアメリカのサイトの利用率が高くなっている。越境EC利用で多いサイトは、豪eBay、米eBay、米Amazonとなっている。
また、オーストラリアの関税については、個人輸入の関税が輸入額1,000豪州ドル(約79,000円)までに対しては非課税となっている。そのため、越境EC利用の割合も高い。
越境ECで人気の商品は、家庭用品・電化製品が多く21%を占め、次に食料品・酒類が18.2%、3位が映像・音楽媒体等の16.1%、4位がファッション関係の15.5%となっている。
オーストラリアはクレジットカードによる支払いが進んでおり、現金はほとんど必要がない国として有名だ。
ECサイトの取引での決済では、約85%の人がクレジットカード・デビットカードを利用が主となっている。WEBオンライン決済サービスでは、PayPalの利用率は約13%、 地元企業のPOLipaymentsによる決済が、約2%程度となっている。
越境ECでの購入の特徴としては、当たり前だが、母国で販売されている商品より安いモノを購入する傾向があり、越境ECでの販売においてはオーストラリアでの販売価格を調べておいたほうが良い。
Amazonの豪州サイトAmazon.com.auは書籍中心のサイトとなっているため、書籍以外のAmazon利用者は米国Amazon(Amazon.com)の利用となっている。
米国発のインターネットオークションサイトのオーストラリアバージョン、米国と同様に商品が豊富、価格が安いなど人気サイトである。
Lazadaは「東南アジアのAmazon」と言われる越境ECサイトである。 2012年にシンガポールで設立された、オンライン物販のプラットフォームで、日本の楽天や中国のタオバオなどの東南アジアバージョンである。
シドニーを拠点とした服、靴などファッション用品とスポーツウェアなどの通販サイト。ブランドでは700以上、約20,000点の商品を取り揃え、財布や時計なども扱い、海外ブランドも多く取り揃えている。
オーストラリアトップのオンラインデパートメントストア。様々なブランド商品が低価格で手に入る人気のサイト。
オーストラリアは越境ECポテンシャルは高いが、日本製品を買うチャンスが少ないというのが実情のようだ。
オーストラリアで越境ECを開設するには、まず、利用頻度が高いAmazon、またはeBayで輸出にトライし、売れる商品を選定する。越境EC構築後は、Google Adwordsでインターネット広告を出稿し、集客を行うことが重要である。
また、訪日旅行中に自社製品を購入し、帰国後も越境ECを介してリピーターになってもらうために、チラシなどには越境ECサイトのアドレスも記入しておくと良い。商品が気に入れば、口コミでの広がりを期待できる。
参考: EC・海外販売でオーストラリアに売るために知っておくべきこと
参考: 越境EC、海外進出における主要6か国の比較~各国基礎情報編~