IoTとはあらゆる”もの”をネットワークでつなごうというのがコンセプトとなっている。つまり、クラウドやビックデータを活用してデータ分析し、フィードバックする構想である。
IoTビジネスは今後、社会や環境、経済に大きな影響力を持つものと考えられる。Google社のグーグルグラス、Apple社のアップルウォッチ、Microsoft社はクラウドサービスへのビジネス転換など、IT関連事業主はいち早くIoTビジネスに乗り出している。
今回はこのIoTでどのような取り組みがなされているのか、その現状などを調べてみた。
"IoT"とは「Internet of Things」の頭文字をとったもので、ものがインターネットとしてつながり、"もののIT"化とも呼ばれる。
昨年4月に発売されたApple Watchは代表的なIoT技術の製品である。iphoneとの連携で、電話、音楽再生ができたり、心伯センサーによる健康状態の把握できたり、腕時計とIT技術の融合と言える製品である。
これからのIoT技術として考えられるのは、ウェアラブルデバイス内のセンサーでユーザーの健康データを収集し、そのユーザーの健康データをインターネットで病院に送られることで、医者が患者の健康状態をリアルタイムで把握し、診断できるといった近未来のイメージを具現化することができる。
また、これまでも、携帯電話がインターネットにつながるなど、IoTによる製品はあるが、これからはインターネットとは無縁だった、テレビやエアコン、照明などがインターネットでつながることで、ものが相互に関連、通信し、遠隔からの制御や計測が可能な時代になる。
ある調査によると、IoT技術を希望する”もの”についてのリサーチ結果では1位が家電・テレビ、2位が家庭用品・エアコン、冷蔵庫、3位が自動車であった。
今回はそれらがインターネットとつながることでどのようなことが実現できるのか、事例を調べてみた。
世界の自動車メーカーは今、「自動運転システム」の開発に力を注いでいる。自走走行を目指すロボットカーであるが、いくつかのメーカーでは自走可能なレベルで自動運転を実現化している。自動車が通信機能を持ち情報を処理すれば、自動車自身が事故を避けられ、人的誤運転による事故は格段に減るだろう。また、自動車通信を利用した別の事例として、ドイツのハノーバー大学の研究者チームによる、局地豪雨ポイントの割り出す仕組みがある。それは自動車のワイパーのセンサーを取り付け、リアルタイムに、局地豪雨の発生している場所を特定するというものだ。これは自動車によるクラウド情報を分析することで、リアルタイムに、より正確な局地豪雨を捉えようとする試みだ。
農業においてもIoT化は進んでいる。経営者の経験と勘で行われていた、水や肥料、収穫のタイミングをIoT化することで、より効率化した生産が可能となる。
米国の農業機器メーカーJohn Deere社は、環境センサーにより温度、風速、湿度、日射、農地などのデータにより、そのデータを分析することで作物の収穫タイミング、季節の変化による水分の保持率などを把握するField Connectシステムを開発している。
また、TempuTechの穀物貯蔵庫監視システムは、貯蔵庫の設備の故障を検知したり、内部の湿度や温度を調べたり、収穫されたデータは農場経営者に送られたりとビックデータを活用するシステムを提供している。
家電もインターネット化は進んでいる。帰宅前にスイッチをONしておくができるスマート照明。人口知能のがついたNest Thermostat社のサーモスタット(空調調節)。インターネットが使えるスマートテレビや食材の種類、賞味期限を管理する冷蔵庫や調理レシピをダウンロードし温度・時間などの調整を自動で行うオーブンレンジなどさまざま家電がインターネット化されようとしている。
そのような中、家電ではないが昨年4月、米Amazonでは「Dash Button」と呼ぶ小型機器を使って日用品を手軽に注文できるサービスを米国で開始した。
個人向けIoT製品はスマートフォンを中心にした展開が多いが、このDash Buttonはチューインガムほどの大きさの端末で、製品にDash Buttonごとに商品種類、数を設定し、端末にあるボタンを押すと、スマホを通して、アマゾンのECサイトに注文が届き、家まで配送してくれる、というものだ。
今のところアメリカのみの日用品が対象であるが、将来的には洗剤用の洗剤が残り少なくなったら、自動的に洗剤が注文される注文の自動化を目指している。
小売りではBluetoothビーコンを使ってプロモーションや販売分析を行うIoT化が始まっている。
お客様が入店するとその人に合った商品情報やおススメ商品、イベント情報などをお客様のスマートフォンに送信したり、複数のセンサーにより、来店したお客様の行動を追跡しその行動データを分析し、店内の商品レイアウトを改善するなど、販売促進に役立てる試みが行われている。
ブラジルのアパレル会社C&A社ではSNSと連携したハンガーに商品をかける試みを展開している。ハンガーには商品がかかっているのだが、ハンガーには電光板があり、かかっている商品がFacebook上でどれだけ「いいね!」を獲得しているか、その総数を表示し、その商品の人気レベルがリアルタイムで分かるというものだ。このようにじわじわと小売業においても、ものとインターネットが融合しつつある。
※Bluetoothビーコンとは低電力の電波を使用し、位置情報やその他のデータを近くの端末に通知するもの
今回取り上げたものほかにも"IoT"は医療・ヘルスケアに関するもの、防災・防犯分野、交通インフラや輸送機関、自律ロボット、物流など多義にわたって具現化されようとしており、IoT化は無限大といったところだ。
“IoT”による高度化は「インダストリー4.0」または「次の産業革命」と呼ばれるほど大きなものである。
今年もどのような新しい製品やビジネスがIoTにより生まれるのか、ものインターネットにより、IoTがどのような進化を遂げるのか目が離せない。
写真出典:無料写真素材 「写真AC」