新たな年度に入り、コンテンツマーケティング戦略を改善したい経営者の方も多いのではないでしょうか。そこで、そのための有効な手法のひとつとして、購買層のペルソナ(=商品・サービスにとって、最も重要で象徴的なユーザーモデル)を作成してみる、という方法を試してみましょう。
購買層のペルソナを把握するためには、すべての顧客に対して、その購買行動の特徴やパターンなどを分析する必要が生じます。その過程において、「購買するまでにどのようなところで商品のリサーチをするのか」「どのくらいの期間リサーチするのか」「購買の決め手は何か」などといった情報を詳細に知ることができます。
こうして得られたペルソナの行動パターンに合わせて、どのようなコンテンツを見せることが最も効果的かを把握することが可能です。また、ペルソナが複数見つかることも多いので、ペルソナ別にターゲティングしながらコンテンツを作成することもできます。ペルソナを把握する最大のメリットは、このようにコンテンツ作成におけるガイドとなるような情報を具体的に得ることができる点にあります。
それでは、実際にペルソナを把握する方法を3つご紹介しましょう。
まず1つめは、顧客に対してアンケート調査を実施する、顧客登録時にあらかじめ入力してもらった個人情報を活用するなど、顧客から直接提供された情報をペルソナ分析に用いる方法です。余裕があれば、直接電話をかけて顧客の声を集めてもよいでしょう。
顧客の意見を聞く際には、年齢・性別といった統計的な情報だけでなく、次のような購買行動に関する質問を投げかけましょう。
・なぜこの商品を購入したのですか?
・購入した商品について、決め手となったポイントは何ですか?
・商品についてのリサーチをする前は、どの程度商品のことをご存知でしたか?
・この商品を見つけるまで、また購入すると決めるまで、どのくらいの期間を要しましたか?
ただし、質問数が多いと答える気持ちを削ぐ場合もありますので、あまり多くを聞きすぎないように注意することも大切です。電話でのアンケートなら5分までに終わらせるように心がけましょう。
一般消費者から顧客へと導くプロセスを、広い口がだんだんと狭まる形状に例えて、「マーケティング・ファネル(漏斗)」と言います。特にEコマースでは、Attention(注目)→Interest(関心)→Search(検索)→Action(購買)→Share(共有)というプロセスをたどるとされています。
2つめの方法は、顧客から得られた情報から、マーケテイング・ファネルの各プロセスに存在する顧客像を特定し、その分析結果をマーケティングに活かす方法です。例えば、Action(購買)に至る顧客像を特定できれば、ターゲットを絞って広告を打つなど効率的なプロモーションが行えますし、Search(検索)までは行くけれどもAction(購買)に至らない顧客像を把握できれば、その層にだけ理由を尋ねるアンケートを実施することもできます。
3つめの方法は、顧客が情報を収集したり、購入を決定したりする際に重視しているコンテンツから、ペルソナを分類するという手法です。例えば、動画サイトYouTubeのコンテンツを見て購買を決める人、画像投稿サイトInstagramでの人気を比較して商品を選ぶ人など、顧客によって購買の参考とするコンテンツはさまざまです。
たいていの場合、1の手法で分析したペルソナグループごとに、重視するコンテンツも似通っていることが多いので、そうした情報も意識的に念頭に置いておきましょう。グループごとに発信するコンテンツを絞れば、より効果的にアピールでき、さらなる購買につながりやすくなります。
最後に、やや旧聞に属しますが、ペルソナ分析を活用して、ヒット商品が生まれたアサヒビールの事例をご紹介します。アサヒビールが「第3のビール」の影響を受け、縮小を続けていた発泡酒市場に、「クールドラフト」というヒット商品を出すことができた背景には、ペルソナ分析に基づくマーケティングがありました。
消費者アンケートから、「最近自分たち向けの発泡酒が発売されていない」と認識している人が多いと知ったアサヒビールでは、定量的なデータ分析から、対象を30代後半以降の男性に絞り込み、10人から家族構成・ライフスタイルなどを詳細に聞き取りました。そして「年収900万円の44歳の自営業者で、家族は1歳下の妻と長男16歳、長女13歳の4人家族で都内在住」といったペルソナを4つ作り上げ、より具体的でイメージのしやすいターゲティングが行えた結果、ヒット商品の開発につながったのです。
以上のように、購買層のペルソナが把握できれば、コンテンツマーケティングの戦略もぐっと立てやすくなるのです。この機会にぜひペルソナ分析を実施し、その結果を活用してみてはいかがでしょうか。
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