アメリカと中国はEコマースの世界では市場規模も1位2位を争う巨大な市場をもっている。越境ECにおいては、まず、この2カ国を抑えることが成功の鍵である。昨年に続き、越境ECはトレンドキーワードの上位にランクされ、その越境ECの中でも特に注目されている国、中国の税制度が変わろうとしている。
今回は、この“爆買い”でも象徴される中国の越境ECの現況と新たに始まる中国の新税制度についてまとめてみた。
2014年の日本、中国、アメリカの越境ECの統計図が記した。これは経済産業省の2014年の発表によるものだが、中国が日本から越境ECで購入している額は6064億円、アメリカからの購入額は6290億円となっている。 2012年では1199億円であり、2014年で5倍以上の市場規模に成長している。中国の越境EC規模は2018年までに1兆3千億円規模にまで達すると予測もある。
中国の越境ECは、日本やアメリカと比べどの程度利用されているのだろうか? 2013年の調査資料によると中国は35.4%と最も高く、ついでアメリカ24.1%、日本が一番低く10.1%で中国消費者は越境ECの利用率が高いことがわかる。 また、利用するメディアの意向についてもパソコン、タブレット、スマホいずれについても70%を超えている。
中国消費者の特徴としては「爆買い」と言われるように、購買力が旺盛だ。 特にプロモーションに対する反応が高く、打ち出すキャンペーンによって売り上げは大きく作用する。送料無料キャンペーンなどの施策は大いに行うべきである。
中国消費者の越境 EC における購入商品は、「アパレ ル・靴・カバン・帽子」が 16.0%でトップである。 2位は「化粧品・スキンケア」(12.9%)、3位は「ベビ ー・マタニティ用品」(12.6%)、4位は「IT 関連商品」(9.4%)、以下「デジタル製品」(7.7%)、「食品・ 健康食品」(7.1%)となっている。
日本から購入されているものは、「食品、飲料、酒類」が38.5%と最も多く、「衣料、アクセサリー」で32.9%、「生活家電」で27.8%となっている。 中国の実店舗や EC サイトでの商品で、相変わらず問題となっているのが、コピー商品(模 倣品)が蔓延している問題である。
代表的な中国のECサイトといえば、アリババグループのCtoC(個人間取引)であるタオパオ(淘宝網)、BtoC(企業と個人間取引)である「T-mall(天猫)」がある。越境ECモールサイトで、日本の製品を扱っているサイトとしては、銀聯在線商城(日本館)、JCHere、Buy-Jなどがある。
中国で越境ECを利用し商品を売る場合は、仕入れ商品価格に行郵税、諸費用を設定する必要がある。 現地で商品を売る場合の商品価格と越境ECで商品を売る場合の商品価格を比較すると、商品にもよるが越境ECでの商品価格ほうが安い場合がある。
だが、今年4月8日より、中国は越境ECで従来からの行郵税は廃止となる。つまり、中国の消費者が越境ECサイトで商品を購入する場合、行郵税ではなく、関税、増値税、消費税が商品価格に上乗せされる制度になるわけだ。その他変更のポイントは6つあり下記に記した。商品によっては実質、増税になるものや、減税になるものなど様々あると思われるが、中国向け越境ECにとっては大きな影響を与えることは間違いないだろう。
日本では何か欲しいものがあれば、Googleなどで検索するか、決まったamazonなどモールサイトで検索するなど、様々な手段で欲しい商品を探し購入する。中国の場合はGoogleやYahooで商品名を検索するという行動はほとんどなく、モールサイトで商品を検索して購入するというのが一般的である。つまり、モールに出店するだけで集客出来るというわけだ。
中国では日本製品に対して品質、価格においてはこれまで大きな信頼を得てきている。4月8日から税制度が今回変わることで、越境ECから購入する商品価格は一般貿易での関税+増値税+消費税と同等になることで、越境ECでの商品価格は大きく変動し、販路にも影響を与えると思われる。
参考:【詳報】中国でついに始まる越境ECの新税収制度。増税? 減税? 日本企業への影響は?