
バナー広告をデザインし、高いクリック率をあげるにはビジュアルであったり、色彩であったり、サイズでなどを見直す必要がある。その中でも重要なのがキャッチコピーである。思わずクリックしたくなるような仕掛けとしてのコピーフレーズは一番印象に残り、アクションを起こさせるものでなければならない。
また、キャッチコピーはバナー広告だけではない。メルマガのタイトルや、リスティングの広告文等、キャッチコピー的な文章を作成する機会はたくさんあるだろう。
今回は、このキャッチコピー作成時に意識すると良い心理学テクニックをまとめてみた。
「バンドワゴン」とは行列先頭の楽団車のことで、バンドワゴンに乗る、つまり時流に乗る、多勢に従うという意味である。
「バンドワゴン効果」とは多数派に集まりたくなる心理、人気商品や流行や流行商品が欲しくなったりする心理である。
これは、群集心理における同調心理の一つで、「流行している」という状況を作り出せれば、その製品やサービスへの支持がさらに増長され、「人気があるから良いものに違いない」「みんなが利用しているから大丈夫だ」と感じ、自分も購入するという心理である。
バンドワゴン効果を基に作られたコピーフレーズは多い。コピーには「人気がある・流行している」というフレーズ、「売上No.1」や「顧客満足度No.1」といったことを第一に歌わなければならない。
例としては
など、コピーの中で、「みんなが使っている」「今、流行っている」というアピールができれば、クリック率アップにつながるだろう。
同じような商品、製品が世の中に氾濫すると、自分を他人から差別化したい、希少なものを求めたくなるという欲求が生まれる。「スノップ効果」とは「他人とは違うものが欲しい」「人が持ってないから価値を感じる」という心理で、簡単に入手できないものの需要が高まり、誰でも簡単に入手できるものは逆に需要が減少する消費現象をという。
スノップ効果を使うには、その商品が希少性の高いもの、限定品であることを明示し、他人と同じものは消費したくない、他人とは違うものが欲しいという行動心理になるように誘導できれば良いのである。
バンドワゴン効果の大衆心理の逆で希少性、限定品などである場合に有効である。コピーに盛り込むときは、「完売間近」「残りわずか」というように、人気が高く、入手するのが難しそうな印象をフレーズ化するとよい。
例としては
商品の希少性による「価値」をアピールし、消費意欲を高めることがポイントである。
スノップ効果と似ている「ヴェブレン効果」は価格が高いほど顕示的消費が増加する現象のことを言う。自己顕示欲・誇示欲により、他人に見栄を張るために消費するといった消費傾向で、高級車、宝飾品、高級ブランドを所有することによって優越感を得ることができる製品を購入するという心理である。
優越感のベースには「高額である」という点がある。「値段が高いもの=良いもの」という判断をする顧客には「ヴェブレン効果」を利用するのが有効である。しかし近年、バブル崩壊後は、消費者は身の丈にあったものを購入するようになり、この「ヴェブレン効果」はあまり、使われない傾向にある。
人は少し違った体験や商品を所有することで、他人と差別化したいという欲求に訴えるなかで、ブランド価値やその威厳をアピールする方法だ。最近ではプレミヤム商品のイメージで訴えるフレーズが良い。
例としては
など、高いブランド性、高品質性、価格が高いことに価値を求めるターゲット層に向けたフレーズにすることが重要だ。
人は行為を禁止されると、それを破ってみたくなる気持ちになるものである。この心理を心理学では「カリギュラ効果」という。
これは、かつての「カリギュラ」という映画がもとになった心理だ。この映画の内容が過激過ぎたため、一部の地域で上映禁止なり、かえって注目を集める結果になったことから、このように呼ばれるようになった。
人は禁止されたらその行動をとりたくなる。強制されると反発心が生まれ、余計にその行為をやってしまう心理で、昔話の鶴の恩返しの「決して中をのぞいてはいけませぬ」や浦島太郎などは、まさに「カリギュラ効果」の典型である。
カリギュラ効果を使ったキャッチコピーは印象度が高く反応率を高めると言われている。禁止されると、ついつい人はその行為をやってしまうものらしい。
下の例のようなフレーズはよく見かける。
など、カリギュラ効果はWEB広告のランディングページなど冒頭に、インパクトのある否定的な文章を入れ、ユーザーの関心を引きたいときに効果がある。
短いフレーズで強いインパクトを残す使命があるキャッチコピー作りには、今回取り上げたような心理学が応用されている。
他にもたくさん応用できる心理学テクニックはあるが、あくまで、それら心理学要素はベーシックな部分として捉え、ユーザーに気づきを与える、響くコピーを考えることが重要である。
心理学テクニックに走り、過剰表現ならないように、まずは商品のメリットをしっかり把握し、ユーザーをイメージし、そのうえでどのような表現が効果的かを模索するのが基本である。