企業にとって競争力を高め、優位になるためには、技術力や営業力、さらに生産力など様々な要素が必要であるが、とりわけ重要なのがブランド力を高めることだといわれるようになった。”ブランド”とは一昔前はファッションやバッグなどの高級品のことを意味し、商材など扱うの企業には関係ないという認識があったが、”ブランド”という意味はユーザーや社会にとって価値あるもの全てを指し、商品だけではなく、サービス、空間、人や街までも、さまざまなものが”ブランド”になりうるという考えが広まっている。
今回はこの”ブランド”を取り上げ、ブランド構築に必要なものは何かを見てみよう。
ブランド構築とは、企業が他社と比較したときの優位性や強み、差別化といった要素を明確にすることである。つまり、ブランドの構築とは企業の「社会にとっての有用価値、魅力ある個性=らしさ」作り出すことである。
企業の埋まっている「強みや差別化の要素」を掘り起こし、それを明確化、明文化することである。
そして、ブランディングとはブランド構築したものをingする、つまり継続することである。会社らしさや持ち味といったものを特定し、その価値を感じてもらう”活動”がブランディングである。
会社のもつ”共通イメージ”といったものをユーザーに持たせる活動をブランディングといい、”共通イメージ”とは会社名、ロゴ、コピーやポジショニング、製品デザインなどすべてである。
ブランド力は自社の強み、競合との差異、顧客ニーズを明確化し、他社製品との違いがはっきり差別化されているかが重要である。平均的なものや無難なものではブランドとして成立しにくく、顧客のロイヤリティは育ちにくい傾向にある。独自性つまり、オリジナリティを強く打ちだすことでブランドしての価値、存在意義を高めなければならない。
ブランドらしさを”形”にする。企業の独自性ある象徴物、スタイルとして重要なのは「CI(Corporate Identity)」である。ロゴやコーポレートカラー、コピーなどは、企業の独自性をうち立たせるための大切な要素である。さらにサービス、お店であれば空間デザインなどもブランドイメージを具体的にスタイル化、可視化する要素である。
企業ブランドが浸透するためには、ユーザーから”いいね”と共感されることが必要である。共感する人たちが顧客となり、ファンとなり、ブランド信者となる。共感が集まれば集まるほどブランド力は強くなり、製品を購入しまた、SNS、口コミで広まっていく。そして、新たな消費者が共感することによって、良いブランドサイクルが生まれるのである。
フィリップ・コトラー教授は、”ブランド”とは、「個別の売り手または売り手集団の財やサービスを識別させ、競合する売り手の製品やサービスと区別するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはこれらの組み合わせ」と定義している。
他社との差別化、企業個性の明確化といえるブランディング。これが継続できれば「高い利益率の確保」、「販売促進の効率化」、「成長戦略の可能性の拡大」など様々なメリットを得ることができる。