越境ECで商品を販売するとき、中国進出は大きな課題である。中国にはインターネット検閲があり、独自ドメインで中国サーバーを使用し販売するか、中国大手のTmallなどに出店するなどの方法で商品販売するのが正攻法となっている。
しかし、その他にも方法はある。中国の人たちが今、もっともよく情報収集に使用しているのはPCではなくスマートフォンであり、そして、その情報収集はSNSの「Weibo(ウェイボー)」を利用しているのだ。
中国人は「Weibo」から多くの口コミ情報を得ることが多く「Weibo」を活用した中国進出も一つの方法だ。
今回は、中国人をターゲットとしてビジネスを行う場合、「Weibo」をどのように活用できるか、その活用方法を紹介する。
中国ではFacebookもTwitterもInstagramもGoogleも使えない。その代わりに中国で利用されているSNSは「Weibo(微博)」である。「Weibo」はFacebookとInstagramとTwitterとAmebloとYahooを合体させた、中国で7億人もの人が利用している中国最強のSNSなのである。
1日のアクティブユーザーは1.39億人。ユーザーは、所得の高い大卒以上のユーザーが76%。ユーザー属性は男性56.3%・女性43.7%と、男性がやや多めである。
年代も17歳~33歳の最も消費意欲が高いユーザーが80%を占めている。利用ディバイスはスマーフォンが92%を占める、今、中国で最も利用されているSNSなのである。
Weibo人気の理由は、投稿コンテンツ形式の幅の広さである。たくさんの写真を盛り込んだ投稿、長文やライブ動画、ショートムービーといった形式など、さまざまなコンテンツが投稿できるようになっている。
さらに、Weibo人気は投稿できるだけではなく、Weiboから様々な日常の情報を収集できるところだ。また、Weiboで口コミ情報を入手し、そこから気に入ったものを購入リストに含める人も多い。
Weiboで商品を見つけ、気に入った商品を購入リストに入れ、その場で購入することもあれば、日本など海外旅行に行った先で購入することもあるようだ。
日本ではgoogleで検索し、モールまたは独立サイト遷移し購入という流れだが、中国では百度(バイドゥ)で検索し、Weiboへ遷移し、自社ECサイトで購入するという流れである。 中国で商品を販売するには、中国に独立サイトとしてのドメインが無くとも、Weiboアカウントを取得し、Weiboで情報提供し、ECサイト(中国語)へ誘導すればよい。
このように「Weibo」は中国市場を開拓したいと考える際には欠かせないツールとなっている。
Weiboを利用するにはアカウントを取得する必要がある。Weiboには誰にも簡単に取得できる「一般アカウント」と、Weiboに承認されなければ取得できない「公式アカウント」がある。
一般アカウントでは、タイムラインの閲覧や、メンション機能を使ったメッセージのやりとり、いいね、コメント、 テキストや画像、動画、音楽など14種類の投稿を行うことができる。
公式アカウントは、Weiboを運営するsina社の審査を通過し、認証されたアカウントである。 公式アカウントには「V」のチェックマークが与えられ、チェックマークには色の違いがある。
アカウントマークは色により違いがあり、大きくはオレンジ色と青色に大別される。
「オレンジ色チェックマーク」は個人で、「達人」と呼ばれるインフルエンサーや専門分野を持つ著名人、自社メディア(中国語:自媒体)」や、自身の身分証明書を提出し、審査を通過したアカウントである。 「青色のチェックマーク」は企業、政府、媒体、公的機関、学校、公益団体などとなっている。
公式アカウントが認証されれば、ターゲットをしぼった 広告配信や、フォロワー分析などの自社アカウントの分析、クーポン発行、決済サービスなどが使えるというメリットがある。
さらに、中国の検索エンジン「百度」の検索結果に優位に表示されるなどのメリットがある。中国でSNSを使って情報の拡散、集客する場合は、この公式アカウントは企業としては取得したいところだ。
「Weibo」は中国の検索エンジン「百度」と親和性も高く、中国で情報拡散するためには、Weiboを活用するのが有力な手段となっている。
中国マーケティングにおいて、Weiboの魅力はその情報の拡散性にあり、Twitterのようなオープンなサービスであることから、ターゲットに対し情報を拡散し、関心を集めることができるツールなのである。
「Weibo」では情報発信や様々な形式での投稿、さらに、広告出稿など、ビジネスに活用できるツールが用意されている。
ビジネスに活用するためには、まず、企業の公式アカウントを取得し、そのページ上で新商品情報の掲載や各種値引き情報、キャンペーン情報など、ユーザーに対して有益な情報を配信していくというのが基本だろう。
以下に5つの具体的な方法についてまとめた。
Weiboの公式アカウントでは、商品情報やキャンペーンの告知、スタッフのつぶやきをFacebookやTwitterのように毎日、情報を投稿してゆくことが重要だ。
そして、ユーザーコメントの受付けもできるので、コメントに対しては、コミュニケーションをよく行い、ファンを増やすことが第一である。
投稿の際は「ハッシュタグ」を添付するのが基本で、「ハッシュタグ」から、検索流入を増加させたり、潜在顧客の目に留まる機会を増やしたりすることができる。
さらには、他のユーザーへ自分の投稿について通知を送る「メンション」機能や他者投稿をシェアする「転送」機能などで、多くの露出を期待でき企業が公式情報を発信しやすいSNSとなっている。
Weiboを活用して、ユーザーに商品を購入していただくには、まず、多くの商品画像まとめたページ、またはランディングページのような商品を掲載したページを作成し発信する。さらにそのページから、商品購入ページにリンクを貼ることで、中国人ユーザーは購入サイトに遷移し、商品を購入する流れをつくる。
Weiboから自社ECサイト(中国語)という流れで、中国人ユーザーは多くの海外商品を購入している。
日本企業の中には、クーポン配布やプレゼントキャンペーンの企画を実施しているところも多い。
特にクーポンの配布は実店舗やECサイトへとスムーズに誘導することができるため、集客の流れとして重要な施策となっている。
キャンペーンを実施することで来店客数や新規顧客が倍増したなど、成果を上げている店舗は多くある。
中国の人たちにとって、企業の情報より信頼がおける有力な情報は、KOL(キー・オピニオン・リーダー)による口コミ情報である。
中国のKOLは1,000万級のフォロワーを持ち、KOLにキャンペーンについて、情報拡散を依頼したり、商品ブランド情報のPRを依頼すれば、テレビCMなどより露出が拡大し潜在顧客へのリーチが可能となり、その効果は絶大である。
Weiboでは、ユーザーターゲットを絞りこんだ広告を配信することができる。 タイムライン上に配信される「Weibo Feed広告」を活用すれば、ユーザーを効果的に自社ECサイトや自社キャンペーンサイトへと誘導することが可能となる。Weibo 広告はターゲットを絞り込めるため、商品ターゲットに合わせたユーザーの獲得ができるのが利点だ。
利用できる広告の種類には「インフィード広告」、「リスティング広告」、「ディスプレイ広告」がある。
インフィード広告は、ユーザーのタイムラインに広告を配信するもので、ユーザー属性(性別、年齢、地域、趣味)を狙った広告を配信できる。
リスティング広告は、ユーザーがWeiboの検索時に使用するキーワードに連動させた広告で検索ページの上部に広告が表示されるものだ。
ディスプレイ広告には、「おすすめ動画」と「起動時のポップアップ広告」の二種類ある。
「おすすめ動画」はユーザーが視聴した動画後の放映コンテンツとして掲載される広告で、「起動時のポップアップ広告」はモバイル端末のアプリ起動時のページジャック広告で、この広告は1日で1.5億人へのアプローチになると試算もあるほどだ。
こちらもインフィード広告同様に、ユーザー属性を狙った配信が可能となっている。
「Weibo」は中国人ユーザーが、内外の企業から投稿される情報を収集したり、中国人ユーザーの口コミ情報を確認できたりできる、オープンなSNSである。
日本企業も公式アカウントを次々に開設しはじめており、Weiboを活用し様々な情報を発信し、マーケティング施策を行っている。
「Weibo」で自社アカウントを取得し、多くのフォロワーを獲得できれば、ユーザーエンゲージメントも生まれ、効果的なマーケティングを展開できるだろう。
さらにECサイトや自社サイトなどへの誘導、実店舗への誘導も効果的に行えるため、中国マーケティング、中国をターゲットにした売上の増進に期待ができるだろう。
「Weibo」は中国の主要SNSとして、今後も新機能をリリースし、ユーザーを拡大してゆことだろう。
「Weibo」を活用し、新しい情報の発信、中国向けプロモーションや越境ECでの需要拡大、インバウンドによる需要拡大など、効果的に運用していきたいものである。
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