クレイグズリストをご存じでしょうか?元々、アメリカが発祥ですが、世界中でおよそ50か国、570都市向けのウェブサイトを持ち、毎月20億ページレビューを超えるアクセスがある、世界最大のクラシファイド・コミュニティサイトです。
クラシファイドとは、目的や地域によって分類された募集広告や告知を、一覧形式で掲載する広告媒体のことです。クレイグズリストの場合、一部の大都市での求人情報および不動産情報の投稿に対して広告料を徴収するのみで、その他の広告情報は無料で投稿できます。
Craigslist(東京のページ)
個人でも売りたいものに関する情報を広告として投稿でき、買い手が売り主に直接連絡して、手数料を支払うことなく売買を完了できます。仕事やアパート、家具、洋服、ペットなどあらゆるものをクレイグズリストで見つけ、購入することができるため、アメリカでは知らない人がいないくらい有名な便利サイトです。
このクレイグズリストの中国版とも言える58.comというサイトを運営している58同城が、10月31日、ニューヨーク証券取引所に株式を上場しました。公開価格の17ドルから一時は27ドルまで上昇し、初日の終値は24.12ドルと上々の滑り出しです。
58.comは中国で8年前に開設され、クレイグズリスト同様、仕事から不動産、中古車、家具、イベントのチケットまで、ありとあらゆるものについて広告を掲載でき、売買のやり取りができます。
58.com(上海のページのうち家具のページ)
中国全土の380もの都市から、毎日200万件の新しい広告書き込みがあります。また、小売店主向けに、有料会員サービスとしてオンライン店舗の設置、リスティングメリット等を提供しており、こうした有料会員からの会費が主な収入となっています。
2010年に1700人だった有料会員数は、2012年には187,000人にまで急伸しました。有料会員数及び広告収入等の増加に伴い、2013年第2四半期の売上高は3,511ドルと前年同期比61%増、純利益は496万ドルに達しています。
58同城社が投資家向けに行った説明では、今後、約5300万の中小企業がこのサイトの有料会員になる可能性を秘めており、ますますの成長が見込めるとしています。
また、サイトはスマートフォンやタブレットからも見られるように対応しており、今後も中国でトップのクラシファイド・コミュニティサイトであり続けるとしています。
前述のように本家クレイグズリストは、一部の求人情報と不動産情報からしか使用料を徴収せず、個人売買を助けるコミュニティサイトとしての色合いが強いのに対し、58.comは小売店のビジネス参入に伴う会員収入増を今後も見込んでおり、ECサイトとしての役割を強化したい意図が見えます。
中国のB2C市場は、淘宝(タオバオ)が運営するモール型EC、天猫(tmall.com)が約50%のシェア占めており、家電製品に強い京東商城(jd.com)、Amazonが続いている状況です。また、C2C市場においても淘宝(タオバオ)が運営する淘宝網(taobao.com)が90%以上を独占しています。タオバオがほぼ独占しているといってもよい中国のEC市場、はたして、58.comは急伸するEC取引をどの程度取り込めるのでしょうか。
ニューヨーク証券取引所での58同城の株価は、その後も26ドル前後で推移しており、投資家からの評価は上々のようです。うなぎのぼりにECでの取引数が増加している中国、今後もその情勢から目が離せません。
参考:
China’s Craigslist set for US IPO next week, will raise up to $190 million(http://www.techinasia.com/china-craigslist-style-58com-nyse-ipo/)
苦節8年 58同城がついにNYSEに上場 初日の株価が約42%増(http://chaimaga.com/archives/2152)
画像:
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タグ: 58.com, amazon.com, B2C, C2C, クレイグズリスト, 京東商城, 天猫, 淘宝網