
Amazonなどで商品を調べ、他のサイトに移動した時に、「さっきAmazonで見ていた商品と関連した商品広告が表示される」といった経験があるのではないかと思う。
この広告を見て、「そうだ、買い忘れていた」と広告をクリックしてAmazonで商品を購入することもあるだろう。
これは、リマーケティングのひとつ、「動的リマーケティング広告」と呼ばれるものである。
今回は、ディスプレイ広告運用担当者なら押さえておきたい、Google AdWordsの「リマーケティング広告」の種類や「動的リマーケティング広告」についてまとめてみた。
※なお「リマーケティング」とはGoogleの機能名であり、Yahooの場合は「サイトリターゲティング」と呼ばれている。
リマーケティング広告とは、一度サイトを訪問したユーザーやアプリを利用したことのあるユーザーに対して、広告を配信する機能である。
広告をクリックしてもらい、再来訪していただき、コンバージョンにつなげるという、マーケティング執念の結果広告とも言える。
自社の商品、サービスを知っている又は、興味をもったユーザーに対しての広告なので、コンバージョンに繋がりやすいく費用対効果が高い広告である。
次に具体的なメリットについて見ていこう。
ECサイト運用者にとって、コンバージョンレート(CVR)は重要な指標である。
コンバージョンレートは通常、10%を超えているというサイトは少ないだろう。 逆に言うとECサイト訪問者で90%以上はコンバージョンせず離脱しているということになる。
gooogleの統計によるとコンバージョンに達することなくサイトを離脱する割合は96%にもなるらしい。
大部分のユーザーは一度の訪問ではコンバージョンには至らず、いろいろ比較検討した上で、コンバージョンに至るということが多いのである。

リマーケティング広告はそのような離脱してしまったユーザーに対してもう一度リーチできるというメリットがあるが、以下のように大きくは5つのメリットが考えられる。
Googleのリマーケティング機能には用途に応じて5つの種類がある。標準タイプ、動的リマーケティング、検索広告向けリマーケティング、動的リマーケティングなどである。
Googleのリマーケティングヘルプから抜粋したものだが、下記にまとめた。
お客様のウェブサイトにアクセスしたことがあるユーザーが、ディスプレイネットワークのサイトやアプリを利用しているときに広告が表示される。 また、ユーザーの行動を行動別にセグメントし、リマーケティングリストを自動的に作成し、リストユーザーと類似した特性をもつ新規ユーザーにも配信できる機能もある。
動的リマーケティングは、リマーケティングのさらに一歩進んだ機能で、ユーザーがお客様のウェブサイトやアプリで見た商品やサービスの情報を含めて広告を表示されるもの。
お客様のウェブサイトを訪れたことがあるユーザーが、Google検索を行っている際に、お客様の広告が表示されるもの。
お客様の動画やYouTubeチャンネルを視聴したユーザーが、その後、YouTubeを利用しているときやディスプレイネットワークの動画、ウェブサイト、アプリを閲覧しているときに広告が表示される。
カスタマーマッチ機能を使った広告の配信方法で、お客様が持っている顧客のメールアドレスを登録することで、そうしたユーザーが、Googleにログインして、Googleの各種サービスを利用しているときに広告が表示されるもの。
前述したリマーケティングの種類の中で、Googleが推奨している広告機能は、「動的リマーケティング」である。
動的リマーケティングとは、GDR(Google Dynamic Remarketing)とも呼ばれるパーソナライズドな広告である。静的バナー広告を表示するリマーケティング広告に比べ、CTR(クリック率)、CVR(コンバージョン率)が高く、費用対効果の高い施策とされている。
どこがすごいかというと、動的リマーケティング広告は、ユーザーが過去に閲覧した内容や行動パターンによって、広告の内容を自動的に生成し表示するというものである。
広告に表示する情報はマーチャントセンターのデータフィードが利用される。 「テキスト」「画像」「ランディングページのURL」などの情報をデータフィードに集約し、Google AdWordsと連携させるだけだ。
フィードに入稿した情報を組み合わせることで、幾通りもの表示パターンの中から最適なクリエィティブをユーザーが閲覧しているサイトに表示するものである。 また、動的リマーケティングには相性の良い業種が8つあり、下記の8つの業種にはGoogle AdWordsの専用フォーマットが用意されている。

求人サイトで仕事を探しているユーザーや旅行先の宿泊先を決めるために価格を比較している検索ユーザーなど、ユーザーの年齢や性別、立場、検索内容などの履歴で、マッチするものが大きく違ってくる。
商品、サービスをにも似たものが多く、条件毎にいろいろなものを比較検討したいのがユーザー心理である。
そうしたユーザーに対して、確実にターゲッティングするなら、「動的リマーケティング」が適切な選択となるだろう。 動的リマーケティング広告の作成方法についてはこちらを参考にしていただきたい。
動的リマーケティング広告の作成についてはこちら
最後にリマーケティング広告を設定する上で、最大限に効果を出すためのポイントを紹介する。
リマーケティング広告はサイトに来たが、コンバージョンに至らなかったユーザーに足しての広告配信なので、コンバージョンユーザーは配信対象外にする。 また、リピート購入を促す場合は、コンバージョン後、30日以上経ったユーザーのみに配信する。
サイトに訪れるユーザーの閲覧ページ遷移によって、ユーザーのモチベーションは違ってくる。
ECサイトであれば、トップページを見て離脱したユーザーとトップページから、商品カテゴリーページ、商品購入ページまで来て離脱したユーザーでは、その購入に対するモチベーションが違う。そのようなユーザーモチベーションに合せて配信する広告やLPページ、入札額を変更することができる。
ユーザーモチベーションに合わせて細かく設定することにより、表示回数は同じでも、コンバージョン率は8倍、コンバージョン単価は92%減少したというレポートもある。
広告グループをテキスト広告とバナー広告で分けることで、広告実績を可視化でき、効果改善を行い易くなる。
同じ配信内容であってもテキストと画像では効果が大きく違うため、リマーケティング広告に限らず、ディスプレイネットワークを運用する上でも広告グループはテキストとバナー広告では分けて運用すべきである。
広告実績はディバイス毎でその実績を確認しその入札単価を設定する。
PCとスマートフォンの入札単価を同じに設定しているとスマートフォンに広告が大量に配信される場合がある。これは、スマートフォンの入札競争がPCほど激しくないためである。
もし、LPがスマートフォン対応でなかった場合、離脱率が大きくなり大損失となる。 このような結果にならないように、PCとスマートフォンは分けて実績を定期的に確認し入札金額を調整する。
GoogleAdwordsには、目標コンバージョン単価という機能があり、この機能を使うと、コンバージョン率が1.9倍アップするという。
これは、設定した目標コンバージョン単価でコンバージョンを最大限に獲得できるよううに、キャンペーンの過去の情報やオークション時の状況を基に、広告が表示されるたびに最適なクリック単価が自動的に算出されるためである。
目標コンバージョン単価を使用すれば、広告主は入札単価を調整する必要がない。広告主は目標とするコンバージョン単価のみを設定すればよく、あとはGoogleのシステムが管理運営してくれる便利な機能である。
ただし、この機能を使用するには、GoogleAdwordsのコンバージョントラッキングを使用していること、過去30日間で30件以上のコンバージョンが発生している実績が必要である。このコンバージョン実績は多ければ多いほど、Googleシステムの精度は上がる。
今年7月24日Google AdWords は「Google広告」と名称を変更し、新しいブランドロゴをサービス管理画面などに導入した。
「Google広告」のリマーケティング広告はサイト来訪ユーザーへの広告配信である。 サイトを訪れたユーザーには様々なモチベーションがあり、そのようなユーザーに対してどのような広告が最適であるかは、奥が深い内容である。
そして、動的リマーケティング広告は商品データフィードを利用した広告で、今後も増えてくると考えられる。
是非、この費用対効果の高いリマーケティング広告を積極的に施策し、効果的な広告運用を行っていただきたい。
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