2015年 ヨーロッパの越境サイト消費者調査から考察する


ヨーロッパの越境ECサイト消費者アンケート調査​ ​ ヨーロッパ22か国、4000人ネットショップ消費者を対象としたANEC調査結果によると、EUの消費者の63%は国内のサイトのみネットショップで買い物、ヨーロッパ他国のサイト利用は10%であった。この 調査結果で分かることは、欧州委員会では、越境ECサイトのネットショップの利用を推奨しているが、まだ消費者 側は、海外通販には壁が厚いと感じているようである。

 

アンケートの結果内容

越境ECサイトでのネットショップー経験から学ぶ」は本日(12月3日)出版され、様々な体験に基づいたポイントが 指摘されている。海外ネット通販経験者の3分の2のうち15%が問題を指摘、その内容は、納期が遅い(27%)、注文 が届かなかった(22%)であった。 さらに海外からの注文であると、サイト上で価格が自動的に調整され、不明瞭 で、誤解を招きやすいとの事である。

EUの消費者は、まだ海外ネット通販にともなう法的保護措置と納期や商品に問題があった場合の解決法にも疑問 があるようである。

 

ANECの見解

ANECの事務総長のステファン ラッセルは、「私たちの調査では消費者と業者との取引についての規定を相互に 理解することが海外通販に欠かせない重要ポイントだ」と指摘した。 ヨーロッパでは、ヨーロッパが定める基準は もとより、国際基準がこの海外通販規定を定める大きな役割を担うことになり、地域別の郵便サービスや取引の注 意点、レビューの設置など、信用性を判断できる機能が必要、越境ECサイトの国際規定を定める必要がある。と述 べている。

*ANECー欧州消費者協議会(標準化における欧州消費者の声)

ドイツの対応

この欧州消費者協議会を受けて、ドイツでは、問題解決に対応し、ドイツ郵便局(Deutsche Post)が、RFIDタグを利 用したドイツのECサイトに特化した国際郵便の追跡サービスを開始。

これは、急速に需要が高まる越境サイトへ対応するためで、発送側と消費者がドイツ郵便局のサイト上で、発送品 の状況確認ができるというものである。このRFIDタグは商品の表か内側に張り付けられる。業務用もしくは小口発 送の必要性に応じたものらしい。

レターは国際メールセンターでスキャンされ、まとめてドイツから発送、そして、さらに到着地で国際小包センターへ 転送、アメリカやスイスでは通関でさらにスキャンされている。このようなトレーサビリティーの向上は消費者にとっ ては重要な安心材料になる。

ビジネス目的の小口の発送のLandernachweisは、料金が安く、追跡も可能で、従来の書留と普通郵便の間のサー ビスとなり、選択肢が増え、海外発送もしやすくなる。

ドイツは、このサービスを16か国に拡大。さらに、アメリカ、スイス、アジアなどサービス拡大予定である。利用する にはRFID tags を購入する必要があり、大口の顧客に対しては、レーザープリンター用のRFIDタグが入ったラベル を提供している。

このように、現在、越境ECサイトへの対応に関して、急速な認識が全世界で高まっており、その対応に各国が動き 始めているようだ。そして、このように国際郵便の配送料金が下がり、さらに追跡サービスなどが提供されれば消 費者が安心して国境のないショッピングを楽しめるようになるだろう。

 

まとめ

今後の越境ECサイトのテーマは、ドイツのような業者向けのリーゾナブルな料金体 制と追跡機能(トレーサビリティー)に世界各国が対応することはもちろんの事、越境ECサイトに特化した​システム を利用するかで、顧客のサイトの印象や信用度は大きく変わってくると思われる。日本の優れた商品を海外に紹介 できるプラットフォームとして是非利用してみてははいかがでしょうか。

参考サイト:
http://postandparcel.info/69732/news/deutsche-post-offers-cross-border-track-and-trace-service/
http://www.eubusiness.com/Members/anec/ecommerce

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