越境ECとは、国、地域の垣根を越えて、インターネットを通じて売買を行う国際的な電子商取引のこと。2022年は国内越境EC市場は大きな盛り上がりを見せた。
要因は先進国ばかりではなく、新興国のITインフラの普及、国内越境EC代行サービスの拡大、さらには急激な円安など、プラス要因が越境ECの需要を大きく押し上げた。
今年も引き続き越境EC市場は拡大すると予測され、アフターコロナではインバウンドとの相乗効果も期待できる。今回は越境ECで売上好調な日本の企業サイト10選を整理した。
BENTO&COは京都発の弁当箱やキッチン食器など日曜雑貨を世界60カ国に販売している。 ECサイトには日本のキャラクターを中心にかわいい系商品が並ぶ。
越境ECでは、日本語・英語・フランス語対応しており、チャット機能もあるのが特徴。
カキモリは高品質な文具、特にオーダーインク、オーダーノートや筆記具を取り揃え、東京都台東区に店舗も持っている。
越境ECサイトは、日本の高品質・高級文具という世界観を全面に出しており、海外のファンも多い。
越境ECを2002年から始めているサムライストアでは日本の甲冑(レプリカではなく本物の鉄製の鎧兜)をはじめ刀剣類(居合刀・装飾刀)を販売している。
日本人にはあまり知られていないが、海外のコアなファンが多い。 サムライストアの成功のポイントは、世界200以上の国や地域で利用でき、100通貨以上に対応しているPayPalを導入したこと。 現在では52カ国に納品しているという。
オタクモード・ドットコムは、日本のアニメ・漫画・コスプレ、ゲーム、音楽、ファッションなど日本のポップカルチャーを世界に発信、販売している。
アメリカやカナダ、フランスなどの欧米圏を中心に、100カ国以上の国々で売上を伸ばした。 SNS集客ではFBを活用し、日本のポップカルチャー情報を発信しながら、海外ユーザーを自社越境ECサイトに誘導している。
https://www.hokkaido-omiyage.com/
2010年から全世界に向けて北海道の土産品を販売している北海道お土産探検隊は、販売商品は北海道の銘菓が中心で、20ブランド・600種類以上の商品を取り扱っている。
北海道お土産探検隊の特徴は、自社で運営するネットショップだけではなく、様々なECプラットフォームへの出店している点にある。 海外向けでは、Rakuten GlobalMarketやAmazon.com、Yahoo台湾、eBay、WeChatなどに展開している。
北海道お土産探検隊のような地域の特産品などのお土産品は、アフターコロナにおけるインバウンドによる越境ECを通じたリピート購買の観点からも優位性が高いと言える。
https://yamengdq.world.tmall.com/
中国の大規模セール、11月11日の「独身の日」に着目し、越境ECで大きな成功を納めたのが美顔器で知られるヤーマンだ。
2021年の独身の日では、ヤーマンの美顔器「YAMAN Professional MAX」は12億円以上を売り上げ、2位の資生堂化粧水よりも約5億円の差をつけた。
高品質・高機能の化粧品・美容系の日本商品は、世界中でで人気の商品である。独身の日では、美容に関心を持つ中国女性をターゲットに、女性達の興味を引くライブコマースを展開した。
国内外で約250店を展開する、靴下専門ブランドのタビオは、2021年10月、海外の顧客が自社サイトから買える越境ECを導入した。
越境ECサイト、トップページは、高級ファッションブランドを意識した上質なビジュアルにより、職人の技術や品質の高さを表現している。 2022年10月の越境EC売り上げは、中国、台湾の顧客を中心に流通総額が前年同期比で2割以上増加した。
レトロアジアは日本の中古のゲーム機・ゲームソフトを販売している越境ECサイトである。
海外で高く評価される日本のゲームだが、レトロアジアでは入手困難とされる中古ゲームに特化しているところが成功の要因である。 運営はフランス人が行っていることも特徴で、海外顧客のニーズやカテゴリー選定、商品の見せ方など参考になる。
Saqura Martでは、日本の人気がある食品・菓子を中心に理容・美容関連商品、おもちゃ・ゲーム、文具にいたる様々な商品を世界に向け販売している。
サイトにはかわいい系のイラストをふんだんに盛り込み、豊富な商品も見やすくレイアウトされていて、ブランディング、ビジュアル戦略も優れている。
また、注文した海外顧客へ商品の到着時間が早く、梱包も丁寧と好評である。
https://fishing.asian-portal.shop/
2017年6月より、スタートアップした「ASIAN PORTAL FISHING」は、日本の釣り具メーカー約300社を集約し、Fishingに特化した商品を海外に販売している。
日本の釣具メーカー300社に及ぶ商品を1つの越境ECサイトに集約させたところが成功の要因である。 世界中の釣りファン、日本の釣具に関心の高い海外ユーザーは、このサイトひとつ見るだけで、お目当ての釣具を購入できるユーザーメリットは大きい。
ここまで見てきて、海外から求められる日本の商品は、日本の文化的背景のある物や製品技術の高い商品であることが分かる。
越境ECを開始するには、海外、現地ニーズに合った商品を選ぶこと、集客・マーケティング施策を行うこと、カスタマーサポートを万全にするなどがポイントと言えるだろう。
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