越境ECにおける”売れるサイト構築”のゴールとは?


何かに取り組んでいるときに、はたして私はこれを続けていて本当に正解なのだろうか?
このように感じたことはないでしょうか?

勉強には正解が用意されていて、ある程度勉強法が確立されているため、ゴールにたどり着く方法は個々人のやり方によって選べます。

ビジネスの場合、どのやり方ならうまくいくのか、こればかりは理屈で色々考えるように、体当たりでやってみないとわからないというのがあります。

例えば、私たちがやっている越境ECというビジネスモデルを例にした場合、誰もが売れる越境ECサイトを手に入れたいわけです。では、売れる越境ECサイトとは、どのようなサイトを作ることであり、それを作るために、具体的に何に対して手を動かせばよいのか?この定義があいまいで、人によって意見が分かれるため、余計に分かりづらくなっているわけです。(別に定義されたからと言って、「これが正しい!!」というものでもありません)

例えば、健康を維持すると言えば

  1. 朝日を浴びる
  2. 30分程度の散歩をする
  3. 7時間以上の睡眠をとる

というのがありますが、これらの3つは科学的な根拠のある健康習慣であり、多くの医師が主張しています。

では、越境ECにおける”売れるサイト構築”のゴールを(私が)定義するとすれば、

  1. 正確な納期を提供する
  2. 信頼を提供する
  3. 確実に届ける(ためのポリシーを提供する)

これが、越境ECサイトですべて満たされていればよいということになります。
では、1つずつ順を追って説明します。

1、正確な納期を提供する

英語でウェブサイトを公開した場合、越境ECサイトでは不特定多数の国からの訪問があります。例えば、先日はあまり聞いたことはないと思いますが、フランス領ポリネシアから購入がありました。タヒチやモルディブなどからも購入があります。一般にアメリカやイギリスなどの先進国はもちろんですが、越境ECサイトというのは、あらゆる国からのアクセスがあるのです。

これを前提とした場合、ウェブサイトに絶対に表示しなければならないのは以下のような情報です。すべて、当たり前の情報ですが、私の経験だと、これらの情報がほぼ95%のECサイトでは表示されていません。

  1. 今日注文した場合、いつ届くのか?
    Amazon や eBay などの大手サイトでは、訪問者の国に応じて、商品がいつ届くのかを自動計算します。 Amazon プライムが最も分かりやすいと思います。
    なぜ、お届け日時をユーザーのアクセスポイント毎に動的に表示するかというと、配達日時を「約束」することが、購買を誘発する強いインセンティブになり得るという実証があるためです。つまり、売れる越境ECサイトではいつ届くのかを正確に定義することは、成約を獲得するための重要な作業になるわけです。これを定義するには、注文から出荷までの準備日数(締め時間等)、訪問者の国別にカスタマイズされた出荷からお届けまでの配達時間を自動計算する仕組みが必要です。Live Commerceではこれをストアマネージャーですべて設定することができるようになっています。ちなみに、Google広告を出稿するときに必ず登録が必須となるGoogle Merchant Centerでも同様の内容を登録する必要があり、Googleではユーザー体験を最大化するために広告上で納期を正確に提示するようになっています。

    商品購入画面に、配送に関するお届け情報が詳細に記載されている

  2. 支払方法は何が使えるのか?
    納期が理解できたら、どうやって支払うことができるのか? 例えばクレジットカードのロゴや、ローカルペイメントのロゴを表示することです。ペイメントのロゴを見るだけで、ユーザーは希望する支払い方法があるかどうかをすぐに理解できます。
    → Live Commerceの支払い方法を有効化するだけで、支払いロゴが商品ページに表示されます。
  3. 表示価格以外に関税・手数料はあるのか?
    ユーザー体験を悪化させないために、カートに入れる ボタンの前に、商品価格以外にどんな費用が掛かるのかをあらかじめ定義しておくことは重要です。
    → ストアマネージャーを設定するだけで、関税に関する説明表記が商品ページに表示されます。
  4. 返品や保証はどうなっているのか?
    同じくユーザー体験を悪化させないために、 カートに入れる ボタンの前に返品と保証に関するポリシーのリンクを表示しておくことも重要です。
  5. この商品の評判はどうなのか?(外部SNSや購入者のレビュー)
    これは言うまでもありませんが、レビューの★が多いほど購入する強いインセンティブになることが実証されています。
    → レビューが投稿され、承認すると商品ページに表示されます。

    elfsight.comのGoogle Review ガジェットを利用して、簡単に越境ECサイトに統合できる。

     

    ストアマネージャーを活用し、自社サイトにレビューが投稿された例

  6. 販売者はこの商品に対して知識や経験があるのか?
    消費者は、専門性の高い売り手・発信者だと感じると、その主張・説明をより信じやすくなるという仮説(“信憑性ヒューリスティック”)が、説得理論で広く採用されています。これを越境ECや小売りの現場に当てはめると、「この売り手は本当にその製品・カテゴリーに詳しい/経験がある」と消費者に感じてもらえることは、購入する強いインセンティブになることが実証されています。
    → about us のテンプレートを作成することにより、商材における権威や専門性をアピールできます。

    自社ブランドを顧客に伝えるには、 storybrand社が提供するテンプレートを活用して about us を作成することがおすすめ。ハリウッド映画がなぜ2時間も飽きさせずに顧客を映画の世界にとどめておけるのかのヒントがわかる。

2、信頼を提供する

信頼を提供するには信頼を獲得し、それを可視化する必要があります。現代においてそれはレビュー★の数で評価されます。ネット社会では 信頼 = レビューの星 と言って良いでしょう。

レビューは待っていても書いてくれませんし、勝手に書かれてしまうとネガティブなレビューを書かれてしまうリスクがあります。

そこでレビューを積極的に書いてもらう仕掛けが必要です。ここで重要なのが、最適なタイミングでレビューを書いてもらう通知をユーザーに送ることです。
→ ストアマネージャーを設定するだけで、最適なタイミングでポジティブなレビューを増やすことができます。

当社ではストアマネージャーを活用して自社サイトのレビューを増やし、カスタマーサポートを活用してGoogle Review を増やすという2つの対策をとっています。

  • 商品を買ってくれたお客様: 主に商品に対するレビューを書いてくれる。
  • カスタマーサポートを受けたお客様: 主にWEBサイトに対する価値に対してレビューを書いてくれる。

当社が運営する越境ECサイトでは、獲得したレビューを検索エンジン対策を行うことで、検索結果にレビューの評価を掲載することに成功しています。結果、検索エンジンからのクリック率の上昇に役立っています。

3、トラブルなく確実に届ける

トラブルなく確実に届けるには、徹底した配送ポリシーの策定が何よりも重要です。
これは自社配送をするにしても、外部の物流パートナーを利用するにしても物流に関するポリシーを定めておくことです。そしてその配送ポリシーを基本に社内のオペレーション体制を組み、以下のような事案に対して適切に処理することが重要です。

ここで、いくつか越境ECで想定される物流事故に関する事例と対応策をポリシーをベースに解説します。

トラブル発生ケース1 顧客から通関で保留になっていて、いつ届くのかわからないと連絡があった

→ 通関が長くなる理由は、それなりの理由があるからです。以下の事項についてあらかじめ対策が必要になります。

  • 商品の名称、内容が不明瞭にならないために、汎用的な商品名をインボイスに記載する。
  • 正確なHSコードをインボイスに記載する。
  • 商品に含まれる毒物指定や貨物安全シートの提出が求められる可能性がある場合は、電子インボイスにあらかじめ添付しておく。

トラブル発生ケース2 顧客が関税を払わないため、保留になっている

→ 顧客が関税を払わない理由は、顧客の倫理観以前に、WEBサイトに問題があるからです。

顧客の中には、そもそも関税という言葉すら知らない人がいることを理解しておくことです。

当社が運営するチェックアウト画面の例、注文最終画面に関税と返品/交換に関する同意をした上で注文するようになっている。また、このスクリーンショットは自動保存されており、顧客が関税を払わないといった場合に、このスクリーンショットに加え、関税ポリシーのメールを提示している。これでほぼ99%の顧客は支払い拒否から折れる。

  • 関税を払う必要があることが分かる表記を、チェックアウト画面に掲載し、チェックさせる仕様にする。
  • 関税を支払わない場合、どのような処置になるのかを、関税ポリシーに沿ってメールする(このやり方で関税徴収率99%)
    関税請求は、「払え」の一方通行ではなく、関税を払わなかったときに受取人が受ける二次的ダメージを正確に伝える。

トラブル発生ケース3 商品を受け取っていないと言われ、PayPalにクレームが入った

→ 商品を受け取っていないと主張する理由を根本から対策するには、これも配送ポリシーが重要になります。

  • 一定金額以上(例えば5万円などの、高価格帯)は、必ず署名必須条件を付帯したうえで出荷する。
    署名があることで、PayPalやクレジットカード会社にクレームが入ったとしても、紛争に勝つ可能性が高くなります。
  • 一定金額以上は、配送キャリアをDHLに署名とGPSによる追跡ログを必須化する。
    GPSログを添付すると、PayPalやクレジットカード会社にクレームが入ったとしても、紛争に勝つ可能性が高くなります。

トラブル発生ケース4 商品が紛失した/壊れていた

→ 商品が紛失した場合は、配送ポリシーに従い、調査→補填(または保険適用)を提示します。

  • 一定金額以上(例えば5万円などの、高価格帯)は、物流保険を必須条件としたうえで出荷する。
  • 壊れていた場合は、即座に返金対応をするのではなく、返品ポリシーに沿って対応することで、利益を守りつつ顧客の要求を受け入れます。

上記配送にかかるトラブルの一例ですが、これ以外にもまだ多数のトラブルが越境ECでは発生します。配送ポリシーを定義しておき、これらのトラブルに対してどのように対応するのかをあらかじめ告知しておくことは、ユーザーへの信頼性アップにも繋がります。

まとめ

越境ECにおける”売れるサイト構築”のゴールにたどり着くには、紹介した3つのポイントに沿ってサイト構築をすればよいのです。

当社のLive Commerceではなく、Shopify や他社のEコマースを利用して越境ECサイトを立ち上げた場合や、ウェブ制作会社に越境ECサイトの構築を依頼する際には、これらの3つのポイントをどのようにして対応したのか、ぜひ聞いてみてください。

これらの対応がされていないということは、越境EC事業をやった経験のない人がサイトを作っていることになるため、ECサイト公開後に想定されるトラブルに遭遇してしまうかもしれません。

今回提示した越境ECにおける「売れるサイト構築」ノウハウについては、当社の経験とノウハウのすべてをストアマネージャーという新ツールに落とし込んだため、これらのことをほとんど考えなくても、ステップバイステップでサイト構築を行うことで、専門家が監修した高度にリスクが排除された越境ECサイトを構築することができます。

なを、125,000円で提供している開店代行サービスを利用すると、これらの設定を当社自身がお客様に代わってすべて設定することができます。越境EC事業をスタートしようと思った時に弁護士や専門家に聞いてもよくわからなかったことが、このサービスを利用すれば、お客様の販売する商品に沿って、最適なポリシーを策定したうえで、越境ECサイトを安全にスタートとすることができます。

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