越境ECで商品を販売する場合、商品の仕入れにかかった消費税は、条件が揃えば、申請することにより還付される。海外販売は消費税免税となるのである。
越境ECや海外輸出の場合、申請すれば、消費税は還付されるという「消費税還付」というキーワードは身近なキーワードであるが、実際に消費税還付を受けるには条件があり、書類では何を用意しなければならないのかなど、十分把握されていないケースが多く、書類不備で還付を受けられないというケースもある。
つまり、「越境EC(海外販売をしている)」=「消費税の還付を受けることができる」訳ではなく、
一定の条件を満たしたうえで、税務署へ申告しなければならない。
今回はこの「消費税還付」のポイントについて解説する。
消費税とは、日本で適応される税金であり、この消費税は商品やサービスを購入した際に消費者が負担する税金で、日本では8%であるが、10月より10%になる。
この消費税は、消費されるのが日本国内であるというのが条件であり、海外で消費される場合は、課税されない。
越境ECなどで、日本の商品を海外へ販売する場合、この消費税は免除される。
「輸出免税」とは消費税が免除される輸出取引を言う。
「輸出免税」が行われる理由は、主に2つある。
一つは、日本の消費税を輸出先の国の人に負担させないため。もう一つは、輸出される商品の国際競争力を維持するためである。
「輸出免税」を受けるためには、貨物が輸出されたことについて証明書が必要なので、注意する必要がある。
日本で商品やサービスを仕入れ、越境ECなどで海外販売し、売れた商品の消費税額は「輸出免税」され、税務署に後日、税務申告すれば、「還付」を受けることできる。
つまり、消費税を支払って商品を購入し、海外に販売する場合の消費税は後で還付されるというのが「消費税還付」である。
「消費税還付」という制度は海外へ輸出販売されている越境EC事業者にとっては有利である。
仕入れなどで支払った8%分(10月より10%)の消費税額分が、還付されるので薄利多売のビジネスでは非常に重要な利益源となるだろう。
「消費税還付」があることから、越境ECで販売する際に事業者は消費税を加算する必要がないということ、さらに輸出業務の為に支出した諸経費に関しても消費税を支払っていれば、この諸経費で支払った消費税に関しても還付を受けることができる。
輸出業務や事業のために支出した諸経費とは、例えば事務用品などの消耗品費や交際費、広告宣伝費などである。
それらにかかった消費税、商品の仕入れや経費は一定の条件を満たした上で、申告することで還付される。
さらに、海外販売ECモール(Amazon、eBayなど)などで、販売の際にかかる消費税についても還付される。
つまり、Amazon.comに支払う出品手数料(FBA手数料)には消費税が加算され、Amazonより請求されるが、この加算された消費税についても還付を受けることができるのである。
消費税還付を受ける条件として、「消費税課税事業者」である必要がある。
ここでは、消費税還付を受ける条件について見ていこう。
還付を受けることができるのは、消費税の申告をしている「課税事業者」である。
「免税事業者」は還付を受けることはできない。
「消費税課税事業者」の定義は下記内容の法人または個人事業者で、消費税を納める義務が発生するものを指す。
・事業年度の前々事業年度(以下、「基準期間」)における課税売上高が1,000万円を超える法人事業者。
・前々年の暦年(基準期間)における課税売上高が1,000万円を超える個人事業者。
・新設会社のうち、その事業年度の開始の日における資本金の額、または出資の金額が1,000万円以上の法人事業者。
「消費税課税事業者」に該当する事業主は、すみやかに所轄の税務署長に「消費税課税事業者届出書」をに提出する必要がある。
また、「免税事業者」とは、前々年の課税売上が1,000万円以下の個人事業者もしくは法人のことをさし、消費税の納税の義務が無いものである。
「免税事業者」は輸出商品の仕入れ等にかかった消費税額の控除ができないので、還付は受けられないので注意していただきたい。
還付を受ける為には、消費税課税法人事業者は「還付申請書類」を揃えたうえで、「課税期間の末日の翌日から2ヶ月以内」に所轄の税務署長へ提出し還付申請しなければならない。
還付申請書類は下記内容である。
1.については税理士に作成を依頼することになる。
2.については郵便やFBAなどへの発送の際のインボイス等の発送控を全て保管しておく。
「消費税還付を」受けるためには、海外に商品を輸出した事を証明する書類であるインボイスなどを保管しておく必要がある。
このように、消費税還付には保管すべき書類があり、期限を過ぎると入手が出来なくなる書類もある。
「消費税還付」を申告する越境EC事業者は、1年後にまとめて税務対応をするのではなく、事前に申告の際に必要な書類情報を入手したうえで、必要な発送控えや支払い書類などを保管できる環境を整えておく必要があるだろう。
また、消費税還付の申請は、一般的な企業では、12か月に1回とすることが多いが、還付申請は3ヶ月に1回でも毎月でも消費税還付の申請は可能である。
申請手続きの手間を考慮しないのであれば、毎月でも消費税還付を行なった方が、資金繰りには有利である。
ここでは、国内で商品の仕入れを行い、Amazon.comで出品販売を行おうとする方に「消費税還付」を受けるメリット、デメリットについて解説する。
先に解説したように、海外販売では、仕入れに支払った商品、経費の消費税分は税務署に申告すれば、支払った消費税は還付される。
Amazon輸出で商品が売れれば、商品仕入れの際に、日本で支払った消費税が後から戻ってくる。
例えば、100万円で商品仕入れを行った場合、8%の消費税分、8万円は最低でも還付される。さらに仕入れ費以外にも輸出事業を行う上での必要な経費にかかる消費税も還付の対象となる。
したがって、輸出事業者にとっては、消費税率が上がれば上がるほど、消費税還付によって受けられる恩恵が大きくなると言うメリットがある。
また、Amazon輸出では出品手数料(FBA手数料)が請求されるが、これらには消費税が加算されれていおり、支払った消費税分も還付対象となる。
※FBA手数料とは月間登録料、販売手数料、カテゴリー成約料、基本成約料、その他返金手数料、大量販売手数料などの販売手数料のことである。
デメリットとしては、税務調査に入られやすことである。
日本で事業を行なっている事業主の大半は消費税を収めているが、輸出ビジネスの場合、税務署からの後日、還付金を受けることなるので、どうしても目立ってしまい、税務調査に入られやすくなる。
越境ECでは、消費税について理解し、越境ECビジネスでは消費税が還付されることを正しく理解しておく必要がある。
また、「消費税還付」を受けるには、還付を受けるための条件があり、還付を受けられるのは商品の仕入れ、経費にかかる消費税である。また、還付を受けるには「還付申請書類」を用意しなければならない。
この「消費税還付」は、越境ECビジネスでは「消費税分=利益」となるのが大きな魅力である。
参考:
タグ: amazon.com, 海外販売, 消費税還付, 越境EC
参考になる記事をありがとうございます。
1点質問があります。
現在、中国輸入⇒米国Amazon販売を行っております。
日本で仕入れた商品に対する消費税還付は理解できますが、米国Amazonで発生するFBA手数料等が消費税還付対象になる事が理解できません。
海外での取引で発生する消費税(VAT)はアメリカに納税すべきものではないのでしょうか?
私の顧問税理士に確認したところFBA手数料等は消費税還付対象にならないとの事でした。
どちらが本当なのか迷っております。
お手数ではございますが、コメント頂けますと助かります。
おっしゃる通り、FBA手数料については、消費税還付にならない可能性が高いと思われます。
詳しくは、顧問税理士にご相談ください。