国際的なEコマースサイトを運営する場合、利用者にとって最大の体験は、自国のネットショッピングと同じ体験を国際的なEコマースサイトでも体験させることです。
例えば欲しい商品を見つけても、画面の言語が英語のみや日本語のみですと、最終的な支払い完了までたどり着くことは難しいといえるでしょう。多言語ウェブサイトや越境ECサイト、またはグローバルEコマースと呼ばれることがありますが、ここでは1つのウェブサイトで多数の言語を表示し、異なる地域のユーザーを1つのウェブサイトで対応させることをウェブサイトのハイパーローカリゼーションと定義します。また、1つのウェブサイトで異なる地域のユーザーをサポートするウェブサイトをグローバルEコマースと呼ぶことにします。
そこで、グローバルEコマースに求められるローカリゼーションとして、どのような機能群がEC機能としてのローカリゼーションには必要なのか、また当社が提供しているLive Commerceではどの点がローカリゼーションとしてサポートされているのか、Live Commerce という多言語Eコマースを分解して理解してみましょう。
ECサイトをローカライズする場合、ユーザーが自国のECサイトと全く同じ体験をさせることをハイパーローカリゼーションと呼んでいます。
具体的には以下にあげた項目が完全にユーザーの母語となる国や地域と一致している必要があります。
そして、よりレベルの高いハイパーローカリゼーションを実現するには、言語や通貨以外に決済や住所書式など、完全に言語ごとにコントロールされている必要があります。以下はLive Commerceを例にグローバルEコマース(越境EC)を運用する場合、ハイパーローカリゼーションとして設定できる項目です。
Live Commerceにおけるハイパーローカリゼーションの項目
1.言語 | 2.通貨 | 3.Eメール | 4.納品書 | 5.ウェブデザイン (バナー等) |
6.URL | 7.配送方法 | 8.決済方法 | 9.住所書式 | 10.税率設定 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
English | USD | 言語に準じる | 言語に準じる | 言語に準じる | /language/en | PayPal カード決済 |
税率設定に準じる | アメリカ式 | 国別設定可能 |
简体字 |
CNY | /language/zh | 銀聯 AliPay カード決済 |
中国式 | |||||
繁體字 | HKD/TWD | /language/zh-TW | PayPal カード決済 |
台湾式 | |||||
日本語 | JPY | /language/ja | PayPal カード決済 銀行振込 代金引換 |
日本式 |
それでは、Live Commerce のハイパーローカリゼーションに対してどのような動作をするのか1つ1つ解説します。
ハイパーローカリゼーションを理解することで、クライアントの越境ECや国際的なビジネス展開におけるウェブサイトの役割を理解することができると思われます。この機会に是非参考にしてみてください。
1.言語
Live Commerce では利用者のアクセス元端末のデフォルト言語設定を参照して、ウェブサイトの言語を決定します。
例えば、ユーザーがアメリカから簡体字に設定されたMacbook Air からLive CommerceのECサイトにアクセスします。この場合、ウェブサイトの言語は簡体字が表示されます。どの地域からアクセスしても最終的な言語の決定ロジックはユーザーがデバイスで利用している言語に準じる仕様になります。香港から日本語のiPhoneでアクセスすれば、ウェブサイトの言語は日本語になります。
ウェブサイトの言語にはECサイトとしての全体で使われるシステムインターフェース言語以外に以下の言語についても個別に設定を行えます。
以下は、1つのウェブサイトで複数言語の表示を自動的に切り替える例
アクセス端末がタイ語の場合、ウェブサイトの言語は自動的にタイ語になる。ただし予めタイ語がインストールされている場合、タイ語がインストールされていない場合は、デフォルト設定された言語が出力されます。
2.通貨
通貨は言語に紐付きます。もし簡体字に対して人民元を指定している場合は簡体字で表示しているときは人民元が表示されます。簡体字に対して通貨の指定をしていない場合は通貨設定でデフォルト設定された通貨が出力されます。
為替レートは1日1回、システムにより自動更新される。為替レートはGoogleサーバより取得されるが手動で為替レートを指定することも可能。
3.Eメール
注文確認メール、会員登録メールはウェブサイトの言語に準じます。また、注文後にユーザーに送るメール定型文なども注文時のウェブサイトの言語に準じます。
4.納品書
注文時のウェブサイトの言語に準じます。管理画面から納品書を出力する時に手動でどの言語で納品書を出力するのかを選択することもできます。
5.ウェブデザイン(バナー等)
Live Commerceでは基本的にどの言語でも同じウェブデザインです。
言語別にウェブデザインを変えるときは、言語別にデザインを変えたい箇所にバナータグを設置することで、バナー管理機能によって言語別にコンテンツを登録することできます。
6. URL
Live CommerceのURL書式についてはこちらのドキュメントが参考になります。
7.配送方法
Live Commerce は国別に配送方法を制御することができます。
1つの配送方法で全世界をカバーすることもできますし、国ごとに全く別に配送方法を指定することもできます。
国指定は税率設定と同期しています。国を指定するには税率設定で国を追加します。
8. 決済方法
Live Commerce は国別に決済方法を制御することができます。支払い方法は国や地域ごとにその商習慣に完全に一致したものを提供することができるようになっています。
例えば、日本国内には銀行振込や代引きを提供し、国外のユーザーにはクレジットカード決済を提供するように国別に制御します。
国指定は税率設定と同期しています。国を指定するには税率設定で国を追加します。
また、クレジットカード決済を導入する場合、決済通貨がウェブサイトの通貨をフォローできるような多通貨決済機能が実装されていることはコンバージョン率増加のポイントとなります。
9. 住所書式
日本の都道府県→市町村 の書式とアメリカのStreet Address → City の順番は異なるように、国に応じて住所書式は異なります。ウェブサイトの言語と住所書式は完全一致している必要があります。Live Commerceはどの言語にどの住所書式を指定するのか、詳細な設定を行えます。
10. 税率設定
アメリカでは州ごとに税率が異なり、 日本でもまもなく導入される消費税の軽減税率をサポートしています。地域によって軽減税率の考え方が異なるため、一律の税率ではなく、税率を複数登録することで商品毎に消費税を動的に変化させることができる機能です。
例えば、イ ギリスでは日本のように一律の消費税ではなく、品目毎に消費税が細かく指定されています。税率を細かく登録することができる機能によって、どの商品にどの消費税を適用するのかを指定します。
ユーザーの母語に完全一致させるため、ウェブサイトのローカリゼーションには多数の項目があることがわかったと思います。
今後は国境に関係なく、オンラインショッピングの体験はますます増えることを考えると、日本語だけのEコマースから、こうした多言語でのEコマースサイトを持つようになることも検討してみてはいかがでしょうか。
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