2022年11月15日、YouTubeは「YouTubeショート」にショッピング機能を追加すると発表した。 YouTubeは広告収入の低下を受け、打開策としてショッピング機能拡充に着手しているようだ。
2022年7月には「YouTubeショッピング」にShopify(ショッピファイ)を連携し、Shopifyで商品を販売しているクリエイターや企業はYouTubeショッピングでPRしたり、Shopifyの商品ページに誘導できるようにした。
ここでは、今、進展が目覚ましい、「YouTubeショッピング」、「YouTubeショート」、「YouTubeショートのショッピング機能」など、YouTube最新動向をまとめた。
YouTubeは世界最大の動画共有サービスである。
下の図は、国内と海外の主なSNSの月間アクティブユーザー数(MAU)をまとめたものだ。 国内における月間アクティブユーザー数は最も多いSNSはLINEで、9,200万人になる。
次に多いのが、YouTubeで国内月間アクティブユーザー数(MAU)は7,000万人 (2022年10月)である。 YouTubeは海外でもユーザー数は多く、Facebookの29億3,000万人に次ぐ、20億人(2020年3月)となっている。
YouTube利用者は、若い世代の方が利用率は高い傾向にあるが、アクティブユーザー数は40代が最も多く、次いで50代、30代となっている。
YouTubeの利用は「暇つぶしだ」などと揶揄されるが、有益なコンテンツも多く、最近の小学生や中学生はYouTubeを勉強のために使う需要も高まっており、ある調査によると9割以上が「YouTubeは自分にとってより良いコンテンツを見つけることができる」との回答結果もある。
さらに、YouTubeの利用者の71%は「YouTubeの影響でもともと買う予定のなかったものを買ったことがある」とも回答しており、YouTubeは購買行動にも強い影響力をもつことも解っている。
YouTubeショッピングとはYouTube内で商品を宣伝することができる機能である。
YouTubeショッピングでは、YouTuberがショッピング機能を利用して、自身のストアや他のブランドの商品をYouTube上で宣伝することができる。 また、通常の動画に限らず、ライブ配信の動画内に商品のタグ付けをして、ライブコマースを実演することも可能となっている。
つまり、YouTuberが自身のオリジナルグッズを販売したり、通販サイトを持つ企業の商品をライブコマースでPR、販売としても活用できる。 現在、YouTubeショッピングの運用者はまだ多いとは言えないが、YouTuberの収益化手段として注目されている。
自身のYouTubeチャンネル運用者は、ショッピング機能を利用して、次のことが可能となっている。
また、YouTubeショッピング機能を運用するには2つの資格要件がある。
そして、ショッピング機能は、どのような商品でも表示できるわけではない。
「YouTubeの収益化ポリシー」や「YouTubeコミュニティガイドライン」などに準ずる必要がある。
詳しくは以下サイトでご確認いただきたい。
例えば、許可を得ずに他者のロゴやキャラクターを使用した商品(著作権侵害)やドラッグや爆発物などの危険な物を掲載することは禁止されている。
YouTubeショートとは、日本では2021年7月13日から利用できるようになったものでご存じの方も多いだろう。
YouTubeショートでは最大60秒の縦長動画を投稿、視聴ができるYouTubeのサービスである。 TikTokやInstagramのリール機能と同様で、通常のYouTubeとは異なり、スマホに合わせ、縦型or正方形でスクロールするだけで、次の動画をサクサク視聴することができる。
ここではYouTubeショートのメリットと注目されている理由を以下に整理した。
YouTubeショートは、特にZ世代からの支持を集めており、通常のYouTube動画とは異なり、不特定多数のユーザーに次々とレコマンドされた動画が再生されるため、ちょっとした休憩中や通勤通学途中にサクッと見られるためTikTok同様に人気がで始めている。
また、TikTokやInstagramリールの視聴ユーザーが若者に限定的されているのに対して、YouTubeショートは10代〜60代と幅広く視聴回数を稼ぐことができているところが魅力となっている。
問題は、YouTubeショートではYouTuber自身の収益化が難しい点である。
YouTubeショートは再生数を増やしやすいため、動画の収益化について関心があるYouTuberも多いだろう。
しかし、YouTubeショートでは、通常のYouTube動画のように広告が掲載されないないため、収益化が困難だった。
しかし、2023年、新たに登場したのが、YouTubeショートにショッピング機能が導入されるニュースとYouTubeショートの広告収益化の開始のニュースである。
2022年11月15日(現地時間)、Financial Timesによると、YouTubeが「YouTubeショート」にショッピング機能を導入するとに報じている。 YouTubeの新しいショッピング機能により、ユーザーはショートをスクロールしながら、商品を購入できるようになる。
アメリカの一部のYouTuberには、自分のオンラインショップの商品にタグ付け機能を試験運用できるようになっているとのことだ。 YouTubeのショッピング機能と同様のショッピング機能が、YouTubeショートにも追加されるのだろう。
今後、アメリカ・インド・ブラジル・カナダ・オーストラリアのユーザーは、タグを見て、ショート動画を見ながら、買い物ができるようになるようだ。
YouTubeショートのショッピング機能は、YouTuberにとって収入源であった広告収入、チャンネルメンバーシップ、企業のPR案件収入などから、さらにもうひとつ新しいビジネスの場が広がることとなる。
2023年1月9日(現地時間)、YouTubeはYouTubeショートでの広告収益の分配を2023年2月1日から開始すると発表した。
2月1日から、YouTubeパートナープログラム参加クリエイターは、長尺動画の広告、視聴者ファンディング、商品の販売など、その他の収益に加えて、ショート動画の間に表示される広告からも収益を得られるようになる。
さらに、2023年1月中旬よりYouTubeパートナープログラムが大きく更新(改善)され、より多くのクリエイターがパートナーシップを活用できるようになる。
YouTubeパートナープログラムの更新内容は、チャンネル登録者数が1000人以上、ショートムービーの視聴回数が直近の90日間で1000万回以上のクリエイターとなる。
また、チャンネル登録者数1000人以上で公開された動画(ショート動画は除く)の総再生時間が直近1年間で4,000時間以上のクリエイターでも同じく参加できる。
YouTubeショートはスマートフォンなどから手軽に動画をアップロードしたり視聴したりできるなど、TikTok同様、若い世代を中心に人気の高いSNSのためのショート動画である。
今回のYouTubeショートのショッピング機能の追加予告、ショートムービーからの広告収益化、さらに、それらに伴うYouTubeパートナープログラムの更新は、YouTubeショートの最大のライバルであるTikTokを圧倒する勢いである。
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タグ: YouTubeショート, YouTubeショートのショッピング機能, YouTubeショッピング, 広告収益化