本日、1月24日サッカーアジアカップ準々決勝が行われる。
日本の対戦相手はベトナムだ。 ベトナムと言えば、フォー、生春巻き、パインミーなど、ベトナム料理が有名だ。
今、ベトナムでは空前のサッカーブーム。そして、サッカー以外でも、昨年、2018年は経済的にもGDP成長率は6.81%と高水準を維持し、さらに貿易では2018年上半期の貿易黒字は約33億ドル、過去最高となり、目覚ましい発展を続けている国である。
インターネットも整備されつつあり、ネット通販(EC)市場も経済の成長と同様、前年比35%増のペースで成長している。
今回は、越境ECの参入が難しいと言われているベトナムのインターネットやEC事情について調べてみた。
ベトナムの正式国名は「ベトナム社会主義共和国」。
細長いS字型の国土は、北に中国、西北にラオス、西南はカンボジアと接している。
ベトナムの人口は約9,556万人で、日本からの時差はマイナス2時間。日本からの渡航時間は約5時間。夏が長く高温多湿の気候が特徴である。 下記に基本情報をまとめた。
ベトナムは国を挙げて情報通信技術へ注力しており、インターネット利用者も毎年30%近く増加しており、スマートフォンの所有率は約53%と、こちらもインターネットの利用とともに拡大している。
日本と比べて充実しているのは、無料Wi-Fi環境である。 パソコンを買うより、スマートフォンを買って、カフェでSNSやオンラインゲーム、テレビ電話などを楽しんでいるようだ。
下記にインターネットの関連のデータをまとめた。
昨年Amazonがベトナム参入を発表した。 そして、2020年にはEC市場規模が1兆円に達するとの試算もあるベトナム。そのEコマース事情はどうなっているのだろう。
ベトナムの情報技術電子商取引庁の幹部、ライ・ベト・アン氏によると、「ベトナムのEC市場は年35%のペースで成長している。これは日本の約2.5倍に相当する」と指摘する。
また、市場調査会社カンター・ワールドパネルのデータによれば、2017年はベトナム主要4都市のネット通販利用者の割合は、前年の5.4%から8.8%に増加したと発表している。
2017年のEC市場規模は推計で、約5,000億円であり、これが2020年には100億ドル(1兆940億円)規模までになると予測されている、ベトナムEコマースは大きな可能性を秘めている市場と言える。
このように、ベトナムのEコマースは発展が進む中、問題点も指摘されている。それはキャンセル率の高さである。
EC購入者の35%がキャンセル経験があると答えており、製品やサービスに対する消費者の信頼の低さ、オンライン決済の安全面など課題がある。
背景にあるのは、決済が「配達時の現金代引き」を利用している消費者が85%もいるということ。「代引き」購入のため、代金を支払わないことで、キャンセルが容易にできる点が考えられる。
ベトナムのインターネット利用の特徴して、SNSの利用率が高いということがある。 日本のSNS利用が70%に比べ、ベトナムでは100%に近い利用率なのである。
ベトナム人のSNSの利用時間も2.3時間(2時間18分)と高い。 日本人の場合は0.3時間(約18分)であるから、相当高いことがわかるだろう。
また、端末のアクセス利用もモバイルからがほとんどで、ベトナムではインターネットユーザー≒モバイルユーザー≒SNSユーザーなのである。
利用が高いのはFacebookの85.3%で、Facebookは友人知人とのコミュニケーションとして利用されるだけではなく、CtoCとして商品の売買にも活用されているようだ。
ベトナムでECサイトを利用して購入されている主要商品は、スマートフォンである。
次に家電製品、衣類と続く。ここではベトナムで代表的なECサイトを調べてみた。
ベトナム最大のECサイトと言えば、LAZADA(ラザダ)だ。中国のアリババ・グループが経営権を持っており、LAZADAはベトナム以外にもタイ、マレーシア、フィリピン、インドネシアなど東南アジア諸国で事業を展開している。
主要商品は健康関連商品、美容・理容関連商品、インテリア商品、スマートフォンなどである。
Sendoはベトナム最大のIT企業FPTが運営するオンラインショッピングモールである。
メンズ、レディースファンション関連商品、スマートフォン、パソコンなどを扱っている。製品に関する質問はチャットで受け付けている。
ここ1〜2年で急速に伸びているのがShopeeオンラインショッピングモールである。
ファッションから家電、理容・美容、マザー関連商品、オートバイまで幅広い商品群を取り扱っている。
Vatgiaは日本の三井物産とサイバーエジェントなどが出資している、オンラインショッピングモールである。商品は家電製品がメインだが、トップページに自動車関連のカテゴリーも表示されているのには驚いた。
ベトナムにおけるAmazon的な存在のTikiサイト。書籍、美容、スマートフォンなど10のカテゴリーで12万点の商品を販売している。
日本の住友商事、サイバーエージェント・ベンチャーズ、中国の京東商城(JDグループ)などが出資している。30日以内であれば返品に応じ、ベトナムでは「最も信用されるECサイト」と評価が高い。
ベトナムには中国のTmallように、海外製品を直接出品できるような越境ECに特化したECモールはない。
国内ECモールで販売されている海外製品はすべて、ベトナム企業が輸入したものである。
ベトナムで人気の日本製品は、家電、時計、化粧品、ベビー用品などとなっている。 なぜ、直接販売がされていないかというと、税関の煩雑で不合理な体制が問題であると言える。
たとえば、書籍や、文書一つでも輸入時に所管省の許可が必要とされ、輸入製品の税関での返品率は平均30%というから驚きだ。
さらに、化粧品や美容健康カテゴリー品を販売するには、ベトナム保健省からライセンスの取得が必須となっている。 許可書は、輸入販売認可と広告認可が必要で、この許可書を取得には6ヶ月ほどかかり、認可がないまま商品を販売すると、罰金などペナルティが課せられる。
さらに、児童用玩具、ベビーカーでは、輸入前に児童用玩具規制適合認証の取得。健康食品(サプリメントなど)には、規制適合性の宣言または食品安全基準適合性の宣言書を登録などが課せられている。
その他、国内配送には通常4日から1週間ほどかかり、時間を要すること。クレジット決済が浸透していないことなど、越境ECに日本からベトナムに販売する際の課題は多く、越境ECモデルが簡単ではないことが理解できる。
ベトナムにおいては、まだ、日本企業が越境ECモデルとして成功を収めた事例はない。 そういう意味では、ベトナムはブルーオーシャン市場であるとも言える。
ベトナム国民の平均年齢は30.4歳と若く元気な国である。街は高度経済成長に向け活気に溢れていおり、商業施設や高層ビルなど建設ラッシュである。
そして、ここ数年でベトナムネット通販事業は急速に拡大、整備されるだろう。 2019年は物流業界がベトナムのEC市場を大きく変えるとみられ、Amazonの本格的進出とともに、既存ECサイト事業者も通販事業に力を入れ、さらに拡大が期待される。
これからのベトナムの時流、変化にアンテナを張りつつ、越境EC参入のチャンスを狙っていただきたい。