昨年、2016年の中国国内において、越境ECを利用して日本から商品購入した総額は1兆366億円と過去最高で、その額はアメリカの1兆1,371億円に次ぐ額である。2020年には 日本からの購入額は1兆9,000億円に達成すると見込みである。
その中国BtoCで圧倒的なシェアを占めるのが「Tmall」という巨大ECモールサイトである。(Tmallについてはこちらでも記事にしている)
昨年11月11日(独身の日)のTmallを含めたアリババグループの1日の売り上げは約1兆9,400億円というから驚きである。そして、Tmallの中にはTmall Global(国際天猫)という越境EC専用のサイトがあり、このサイトを介して中国人は日本商品を買うことが多いようだ。
多くの日本のEC事業者もTmall Globalに出店登録し、自社商品を販売している。しかし、中国の越境ECで商品を販売できるTmall Globalの出店ではあるが、その出店ハードルは高く、在庫リスクや、現地ニーズの把握などもろもろ、事業参入へは容易ではない。
先日、アリババグループはこのTmall Globalの出店の鍵ともなるTPつまり、Tmall Partnerの企業リストやその評価内容を公開した。
今回はこの「TP」Tmall Partnerについて調べてみた。
Tmallは、アリババグループが展開する高品質、高付加価値商品を求める中国の消費者のために2008年、設立された中国で最もアクセス数の多い、オンラインショッピングモールである。
その中の「Tmall Global」は中国に販売拠点のない海外ブランド商品を中国ユーザーに向け、展開しているオンラインモールである。 そのTmall Globalに海外から出店する場合にはTmall Globalが設けた基準があり、その基準をクリアしなければ、Tmall Globalで商品を販売することはできない。
例えば、
などである。
それぞれに審査、評価が行われ、クリアしないとTmall Globalへ出店は許可されないのである。 そして、TP(Tmall Partner)とは、最後に記した「越境EC専門チームを持っている」の部分の越境EC専門チームを意味し、越境EC専門チームとはオンラインショップの運営をサポートする運営代行会社を指している。 そして先日、このTP(Tmall Partner)=運営代行会社の企業リストや評価基準内容が先日、公開された。
Tmall GlobalのTP:https://goo.gl/CDcZn5
Tmall Globalへ出店するにはTP、つまり、日本であれば、EC運営を代行する専門会社を設置するということが義務付けられている。
中国の場合、越境ECで販売されている商品についての問い合わせは必ずあり、商品内容や購入方法など、中国語の話せるEC事業に精通しているカスタマーサポートをしっかり整備し、設置する必要がある。
今回、発表されたTP企業は105社で、Tmall Globalで運営代行サービスを行っている、中国企業や日本企業、その他、海外資本の企業がリスト化されている。
上記の評価内容をクリアし、TPとして認定されたサポート会社105社がサイト上で発表されれいる。
この105社の認定されたTP企業と契約することで、Tmall Globalでの出店が可能となる。
非認定のTPではTmallに出店することはできず、非認定のTPを設置した場合、Tmall Globalでの運営はできない状況となり、最悪の場合、退店処理なども行われるようだ。
このような中で、日本の株式会社エフカフェ、EC運営代行サービスはTPの評価で、最高評価の12点満点(5つ星)を獲得している。
エフカフェは日本と中国で越境ECで運営支援サービスやECサイトデザイン制作、ECコンサルティングなどを行う企業で、この12点満点、5つ星評価の獲得は、日本企業では初めてではないかと推察する。
中国の越境ECに関連して、先月9月20日に、中国政府、商務部は会見を開き、越境ECの小売り輸入品に関する新制度(新越境EC制度)の一部スタートを2018年末までに延期するとした。
新制度とは、中国の関税に関わる行郵税に変わる課税制度で、詳しくはこちらでも書いているので見ていただきたい。
この新制度に移行すると、化粧品や健康食品、雑貨など商品は増税となる見通しだったが、今回、2018年まで延ばされることとなったのだ。 延期される詳細な内容はわからないようだが、前回、延期になった内容がそのまま2018年まで延長されるのではないかと見られている。
おおよそ、2018年まで延期される内容は以下の3点となっている。
中国から越境ECでよく購入される日本の商品は、化粧品などの美容関連商品やマタニティグッズや粉ミルクなどである。
仮に新制度が導入されると、これら商品価格に大きな影響が出るだろう。越境ECユーザーは中国の経済活性化に大きく寄与しているため、中国越境EC市場の安定的な成長を減速させるような新制度は、先送りした方が良いと考えたのではないかと見られている。
TPの評価基準はかなり細かく評価項目が別れ、内容も厳密なものとなっている。
Tmall Globalへの出店する際はTPに業務を委託する必要があるため、TP企業として公開されている企業評価を確認し、運営会社を選定することで、しっかりと中国で事業展開することができるのではないかと思われる。
また、中国の越境ECに関わる新制度についても、ここ3年の間に2転、3転しているので2018年も、この新制度に関しては翻弄されるかもしれないが、なんといっても中国は15億人という巨大マーケットである。今後も注意して見て行く必要がある。
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