コロナ禍で加速 東南アジアのEコマーストレンド

 

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今、日本では安倍氏から首相のバトンが菅氏に渡され、菅氏は現在、首相として初の外遊となるベトナム、インドネシアを訪問中である。
東南アジア諸国は、現在、新型コロナの封じ込めに成功している国として、経済は回復に向かっているとしているが、感染者数は減少しておらず、経済基盤の取り戻しに苦戦している。
そのような中ではあるが、東南アジアではEC利用者が急速に増加している。
アメリカFacebookとベイン・アンド・カンパニーの調査によると、東南アジア6カ国のEC利用者は今年末までに、前年比11%増の約3億1,000万人に到達する見込みとしている。
今回は、このコロナ禍でデジタルシフトに加速する東南アジアのEコマースの現況について見てみよう。

コロナ禍が変化を起こす東南アジアの消費行動

現在、東南アジアではECの利用が急速に拡大している。株式会社NNAの発表によると、利用者は年内には3億人を超える見込みで、これは2025年に達すると予想されていた3億人の水準に5年前倒しで到達することになるという。
EC拡大は、新型コロナ禍の影響で消費者に購買行動に変化が起きたことによるものである。
アメリカFacebookとベイン・アンド・カンパニーの調査による東南アジア6カ国の消費者1万6,491人アンケートでは、「買い物の主要チャネルがEC」と回答した割合は44%となり、2019年の30%から大幅に拡大した。
特に増加したのが、マレーシアで25%から48%へと2倍近く増えたとしている。

また、日経リサーチの5月発行調査「東南アジアの消費者のおカネ・お財布リポート」によると、ロックダウンや不要不急の外出自粛を反映し、「友人/知人に会う機会が減った」が6割を超えてトップであった。
さらに、日常の変化の一つとして、「ECでのショッピングの機会が増えた」とあげた人がベトナム、タイ、インドネシア、マレーシアで5割を超えたとしている。

ECで買い物をする機会が増加している背景は、日本や欧米と同様、新型コロナ禍での「巣ごもり消費」が増加したためである。
アメリカFacebookとベイン・アンド・カンパニーの報告書によれば、東南アジアのEC市場は今後も大きく拡大するとしている。
特に、東南アジアでは生鮮食料品、デリバリーなどの料理宅配サービスの利用が急増しているようだ。
次に、この東南アジアで急増する食品Eコマースについて見ていこう。

東南アジアの食品Eコマースは拡大している

東南アジアでは、コロナ禍の影響で食材の買い物や、パーソナルケア商品、美容商品などがECで売買されることが当たり前になってきている。
そして、野菜など緊急の買い物がすぐ届くように、次の日、またはその日に配送されるオプションを用意したりするEC事業者が増えている。
ベトナムのECサイトの1月〜6月の月間平均訪問数の伸び率をカテゴリ別で見ると、家庭用品・食品が前年同期比42%増となり最高の拡大を示した。
また、シンガポールのネットスーパーであるRed Martはこのコロナ禍の期間、食品Eコマース売上が急拡大し、ある食品カテゴリーでは従来の10倍の売上げに至ったという。

Roland Bergerの「飛躍」によると、東南アジアではその特有な業界構造や商習慣から、東南アジアの食品Eコマースは、今後の市場拡大において、以下の4つ可能性について述べている。

(1)ディストリビューター(中間流通事業者)によるEコマース展開
(2)B2B型食品Eコマースによる中間流通のディスラプション
(3)オンラインデリバリーの躍進
(4)食品D2Cの本格化

の4点であるが、各詳細をまとめると以下の内容である。

(1)ディストリビューターによるEコマース展開

ディストリビューターとは、メーカーと小売の間を取り持つ中間流通事業者だ。
この中間流通事業者がEコマースという舞台で小売領域に進出している。

(2)BtoB型食品Eコマースによる中間流通のディスラプション

インドネシアのBukalapakは、2018年、新サービスとして小売商店を主なターゲットにしたBtoBモデルを開始し、急拡大した。
これは、リアルな中間事業者が担っている機能をオンライン(BtoB EC)に置き換えようというビジネスである。
小売商店がBukalapakのアプリで商品を注文すると、頼んだものは同日中に届くというように、これまで卸業と小売間の中間流通していた事業者の存在価値が無くなる可能性がある。

(3)オンラインデリバリーの躍進

狭義のEコマースとは異なるものの、東南アジアで浸透した「Grab」などの配車サービスを用いたオンラインデリバリー(買い物代行等)が拡大している。
オンラインデリバリーは生鮮等、短時間デリバリーが必須となる商品については、Eコマースに対してアドバンテージも高く、普及が濃厚となってきている。

(4)食品D2Cの本格化

食品Eコマース(上記のオンラインデリバリー含む)の浸透率が大きく上がっていくと、リアル店舗での食品購買割合が減り、必然的にメーカーはチャネルとしてEコマースをより重視するようになる。結果、中間流通を排除したD2Cモデルに進展する可能性がある。

上記内容は、仮説の域を出ないが、今後、上記に示した要因などから東南アジアにおいては食品Eコマースの成長は間違いないところだ。
この変化に目をつけ、上手く東南アジアの時流に呼応することが重要である。
東南アジアの市場拡大に向け、株式会社「We Agri」では、9月24日、シンガポールの消費者へ日本産生鮮食品を直接届けるECサイト「Tokyo Fresh Direct」をスタートさせている。

Tokyo Fresh Direct画像

急成長しているECサイト「Shopee」とは?

東南アジアのECコマースプラットフォームといえば、当社も連携を強めている「Lazada(ラザダ)」であるが、このコロナ禍で急成長しているのが、「Shopee」である。
6月30日の発表によると、2020年第1四半期の売上高(調整後)、受注件数がいずれも前年同期比2.1倍に拡大した。
この拡大要因は、MaybankカードやVisaカードなどのカード会社との戦略的パートナーシップによるものである。
この提携により、これまでEコマースを利用していなかったカード保有者が、Shopeeで買い物し、順次、Shopeeのユーザーに移行していると述べている。

Shopeeはシンガポール企業「Seaグループ」によって2015年にシンガポールで最初に立ち上げられ、2017年にはNASDAQ株式市場にて10億ドルで上場している。
Shopee株は中国のテンセント(Tencent)社が株式の39.7%を所有している。
このテンセントの資金力を背景に、事業を展開し、シンガポールの後、マレーシア、タイ、台湾、インドネシア、ベトナム、フィリピンへと事業を拡大した。

これまでの東南アジアEコマース市場は「Lazada」がトップを堅持していたが、このトレンドは2019年に入っても続いていたが、2019年第2四半期になると、「Shopee」がこれまで首位だったLazadaを初めてMAU(月間アクティブユーザー数)で追い抜いた。
トップになった要因としては、「Shopee」はスマートフォンアプリ、特にSNSと相性が良いことである。
東南アジアではパソコンが日本や欧米と違い、あまり浸透していない。その代わりにスマートフォンが普及しており、特にSNS、FacebookやInstagramの利用が盛んである。
このスマートフォン、SNSの利用の加速がShopeeの急成長となったようだ。
現在、Shopeeアプリの総ダウンロード数は、1億を超えており、SNSのフォロワーは1,000万人を超えている。

Shopee画像

増加している東南アジアの越境EC利用者

東南アジアではこのコロナ禍の影響で、越境ECでの買い物も増加しているようだ。
当社が運営する「Discovery Japan Mall」においても東南アジアからの注文が増えている。
7月8日、日本好きコミュニティサイト「FUN! JAPAN」を運営する(株)Fun Japan Communications『新型コロナウイルスによる訪日旅行への影響について調査』の公表した。
下記図表にあるように、「新型コロナウイルスに感染拡大後、越境ECサイトの利用頻度は増えましたか?」の問いに対し、約50%以上の人がコロナ禍以降、越境ECサイトの利用が「増えた」もしくは、「普段と変わらない」と回答している。
特に、ベトナムでは約50%の回答者が利用頻度は越境ECでの利用が「増えた」としており、国内でのEC利用だけではなく、越境ECも日常になりつつあるといえるだろう。

越境EC消費者の増加

まとめ

コロナ禍による東南アジアのEコマース市場はかなり盛り上がっている。
そして、「読売新聞 東京朝刊」2020年7月18日の記事によると、日本政府は、企業の東南アジアへ拠点の分散化に関して、補助金(総額574億円)で後押しすることを発表した。
既に、アイリスオーヤマのマスク工場の移設をはじめ、医療機器や医薬品など医療関連企業が採択されている。
日本企業の東南アジアへの移設が増加しているこの時期こそ、東南アジア、新しい市場への参入というチャレンジに一歩踏み出す時かもしれません。

参考:

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