お歳暮、クリスマス、お正月…と消費熱が高まるこの季節、海外では感謝祭(サンクスギビング:11月第4木曜)やクリスマスなど、多くの国がホリデー・シーズンに突入する時期でもあります。
そこで、最近急速な伸びを見せている、タブレット端末やスマートフォンからのEコマース、いわゆるモバイル・コマースにスポットを当てて、今回は「世界のモバイル・コマース事情」をご紹介したいと思います。
アメリカには、サンクスギビング翌日の金曜日、通称ブラックフライデーという、1年間で一番売上を稼げる最大のショッピング・デーがあります。サンクスギビングで一家団欒を終えて、明け方からクリスマス・ショッピングに走る!という日です。サンクスギビングとブラックフライデー2日間で、モバイルから小売サイトを訪れた人は、2011年の14%から2012年の24%と、1年間で10ポイントも伸びました。
また、12月にモバイルユーザーが小売店のモバイルサイトを利用した時間は、2012年には2011年の6倍に増加しました。モバイルによる年間小売売上も、2012年の209億ドルから2013年の342億ドル(推定)と1.6倍に増加するなど、アメリカでもモバイル・コマースは大躍進中です。
中国には、インターネット小売業界が仕掛けた「独身デー」なるものがあります。シングルを表す「1」が並ぶことから、11月11日を独身デーとして、大幅な割引セールが実施されます。2012年の独身デーのモバイル・コマースによる売上は、なんと26億ドル(日本円にして約2600億円!)。
サンクスギビング後のオンライン割引セールデーとして設定された、アメリカのサイバーマンデーの同売上が2億5千万ドルなので、いかに中国での売上が多く、急速にモバイル・コマースが浸透しているかがわかります。
それでも、中国のEコマースユーザーは1億9,300万人と総人口の36%です。小売業界が仕掛けた独身デーの成功にも驚きますが、今後のモバイル・コマースの可能性を考えると、恐ろしいほどの売上が見込まれるのです。
インドには、「ディーワーリー」というヒンズー教での新年のお祝いがあります(10月末~11月初旬)。新年前後で6日間のお休みがあり、ディーワーリーの期間に買い物をすると縁起がよいとされているので、オンライン上でも割引セールが活発に行われています。
ディーワーリーの期間中にモバイル・コマースにてショッピングをした人に、その理由をたずねたところ、モバイルだけの割引がある…78%、ガソリン節約のため…60%、便利だから…61%といった結果が出ています。Eコマース利用者がまだ1,000万人、人口の8%という状況のインドですが、「同じ商品ならより安く、便利に買いたい!」と思う消費者心理から、今後の伸びが期待できます。
最後に日本についてです。インターネットショッピングに占める、モバイル・コマースの割合は、日本では89%であるのに対し、アメリカでは48%なのです。日本では、スマートフォン販売以前から、「おサイフケータイ」による決済システムが普及、浸透していたこともあってか、意外にもモバイル・コマースでは消費者意識、インフラともに消費大国アメリカよりも進んでいると言えます。日本の消費者は電子書籍や服、アクセサリーなどをモバイルで購入する傾向があるようです。
各国とも特にホリデー・シーズンにはモバイル・コマースに力を入れている様子がうかがえます。そして消費者も、店頭でスマートフォンを使って価格調査をしたり、自宅で商品を吟味してからお店に向かったりと、モバイルをうまく活用した消費動向が増えています。こうして、需要・供給ともにますます拡大傾向のモバイル・コマース事情から、今後も目が離せません。
参考:Mobile Commerce Has Completely Explodedhttp://www.entrepreneur.com/article/230066
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