3月3日、トランス・コスモスは世界のオンラインショッピングの利用状況を探る調査「世界8都市オンラインショッピング利用調査2022」を発表した。
この調査は、2018年からアジア10都市オンラインショッピング利用調査として、ニューヨーク、ロンドン、ソウル、上海、ムンバイ、バンコク、ジャカルタ、東京の8都市の10歳から49歳をネットショッピング利用者(2560のサンプル)を対象に行われている。
その中に「サスティナブル消費の理解・実践度」を調べた内容があり、東京ではサスティナブルという言葉を聞いたことがないとの回答が34%を占め、世界的にはサスティナブルに関して認知度、実施度が低いことが示されている。
サスティナブルとは社会、経済、地球の持続可能性を意味するSDGsのキーワードである。 今回はこのSDGsの日本の認識度やEコマースでSDGs取り組む2つの事例を紹介する。
トランス・コスモスの調査結果とは若干内容は異なるが、日本人のSDGsの認識度は高くなりつつあるという調査がある。
朝日新聞社が2021年1月に行った日本人のSDGsについて「SDGs認知度調査 第8回報告」によると、「SDGsという言葉を聞いたことがある」と答えた人が76.3%に達し、過去最高を更新している。
同調査では、「SDGs」については、確実に社会に浸透しているとしている。
全世代的に見てもまんべんなく、7割超に浸透しており、「SDGsという言葉を聞いたことがある」と答えた男性は78.6%、女性は74.1%と記している。
SDGsに関しては、日本人の認識度は7割強とあり、今後もこの数値は高くなるだろう。
ただ、SDGsは認識度だけではなく、SDGsは2030年までの持続可能な社会とするための開発目標であり、社会全体で取り組むべき課題なのである。
そのためには、企業の参加し取り組むことがが不可欠とされている。
下のグラフは、企業の「SDGsに関する取り組みを行っているか」を尋ねた結果であるが、「特に取り組むことは考えていない」が47.7%に達している。
言葉は、理解しているが、企業として「SDGsに対して何をどう取り組めば良いのか分からない」という現状が浮かび上がっている。
SDGsは、その社会課題に対しては重要に感じるものの、企業として自社ビジネスにどのように結びつけたら良いかを見つけにくいとも言われている。
ここでは、EコマースにおいてSDGsにどのような取り組みを行っているか2つの事例を紹介する。
1つ目が、社会貫献型ショッピングサイト「KURADASHI」。
2つ目が、ANAグループが取り組む「ANA SOCIAL GOODS」。
SDGsの中でEコマースの取り組みで最も関連するのは、ゴール12番の「つくる責任 つかう責任」である。
ここで紹介するのは、フードロスをECで解決するショッピングサイト「KURADASHI(クラダシ)」。
日本は食品ロス大国である。年間食糧廃棄量は年間約612万トン、これは東京ドーム約5杯分、一人当たり、133kgにも相当する。
その半分は売れ残り、規格外などで棄てられる事業から出るものであり、残り半分は食べ残しなどによる家庭から廃棄されてものだ。 このフードロス削減に貢献する代表的なサービスが「KURADASHI」である。
「KURADASHI」では、廃棄予定商品を、定価から最大97%オフで購入することができ、購入金額の3〜5%は子どもや動物、瑛境保護、災害対策など支援する団体に寄付されている。
国はフードロス削減の目標を2030年までに2000年比で半減するという目標を立てており、我々個人レベルでもフードロス半減を意識することから始めるべきだろう。
次の事例は、ANAグループが取り組む「ANA SOCIAL GOODS」である。
2016年にANAは持続可能な生産と消費の方法を実現するために、地方で環境に配慮して倫理的な生産を行なっていいる生産者とANAマイレージクラブ会員をつなげるプラットフォーム「ANA STORE」を立ち上げた。
「ANA STORE」で販売する商品は地域経済、環境問題を解決している商品ばかりで、これら商品をANAマイレージクラブ会員が購入することで生産者をビジネスで支援している。 この「ANA STORE」は、ゴール15番目の「陸の豊かさも守ろう」やゴール8番目の「働きがいも 経済成長も」のSDGs開発目標に貢献している。
今やビジネスにおいては「経営5.0」の時代である。「SDGs17の開発目標」は時代の要請であり、時代の大きなうねりでもある。 この動きを活かすのは大企業ばかりではなく、中小企業もしっかりビジネスチャンスとしてと捉え、ビジネスをアップデートすることが求められている。
参考: