色が何らかのサインを送りだしていることは誰もがよく知っている。誰がどんな色を選ぼうと、共通しているのは、その色に対して人は反応するということだ。私たちは色に条件反射し、気づくこともない。
色に対する反応は直観的反応とも言われ、個々の色は人の本能的な反応と密接に関係し、その反応は生理的、感情的、環境、文化的な意味合いと密接に関係している。
10月もすでに中旬、秋深しといったところだが、今回は色のなかでも秋の夜長のミステリー小説に合う色、”紫”について見ていこう。
紫は洋の東西を問わず、高貴で優雅な色として扱われた。日本では聖徳太子が確立した「冠位十二階」の制度では、最高位の色が”紫”として定められた。以来、紫は高位のシンボルカラーとなっている。また、紫は癒しの色でもあり、スピリチュアルの象徴でもあり、占いのサイトなどのメインカラーとして良く見かける。
紫は“赤”の昂揚と“青”の抑制を併せ持つ色である。正反対の2色が混ざり合った色である。
青と赤、両者の色がぶつかり合った時にそのバランスを整える色して“紫”があり、疲れた時にこの色を見ることで癒されたり、心を平静に保つヒーリング効果が高い色でもある。
赤と青の中間となる紫は「パープル」が“赤っぽい紫”。「バイオレット」が“青っぽい紫”なる。
欧米では一般的に紫というと「Purple」、赤っぽい紫を言うことが多い。
また、このパープルという色は欧米ではあまり人気がない色でもある。イメージが老婆に結びついたリ、血液の変色、病弱や秘密などネガティブイメージが喚起されるからだ。
一方で“バイオレット”、青紫は神秘な色、王や神、宇宙と結びつけられ、特に明度が低くなると、権威、厳粛、崇高等のイメージが強くなる。
紫は、贅沢、高級、高貴、高価というイメージを醸し出すのに適した色である。紫は他の色とは違う、別格な色である。
それは、染物で濃い紫に染め上げるには大変な労力と時間が必要とされたことからくるのかもしれない。
日本の紫のイメージは優雅、上品、高貴、女性的といったところと結びつく。
自然界を見ると、紫と言えば、ブドウ、茄子、プラム、花では藤、ラベンダー、すみれ、などの名前が思い浮かぶ。自然界には紫はあまり、多く存在する色ではなく、どちらかというとアクセント的に存在するのが紫という色の特徴でもある。
西洋でもプルプラ(パープルの語源と考えられている)と呼ばれた貝の体液から紫を採取され、2000個の貝からたった1gの染料しか採れなかったため、大変貴重な染料としてあったのが紫である。紫を使ったサイトにどのような特徴があるのか見てみよう。
白ベースに繊細なイメージのロゴ、マークとポイントカラーに淡い紫を使われている。
淡い紫は高級感、和、麻の品質をメッセージしている。
こちらもリンク色、ナビボタンなどのポイントカラーとして淡い紫を使っている。
女性、優雅、高級感といったイメージをこの淡い紫でイメージしている。
スクールカラーのパープルをメインカラーとした、同志社大学のサイト。
このパープルは日本の古代紫と江戸紫の中間に位置し、大学の創始者新島襄が学んだ米国アーモスト大学のスクール・カラーと同色でもある。
メインビジュアルやロゴに紫が使われ、和の高級感がメッセージされる。
食べ物にはあまり使われたりすることが少ない紫だが、紫を使うことで、逆に神秘性などが加味され、印象的なサイトして認識される。
こちらも和風で高級、高貴をイメージさせる青に近いの紫をメインカラーとして、使っている。
紫は他の色との相性があまり良くない色である。ほとんどの場合、紫と白、グレーの無彩色とのかけあわせが多い。
高級、高貴、上品、和といった紫のイメージも背景全体のベースカラーに使うと失敗する色である。紫は使いすぎないこと。アクセント色、ポイント色として用いると効果的な色である。
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