越境EC マレーシアのポテンシャルは?


イメージ画像

9月3日、東京都は越境ECで中国向け販売、マレーシア向け販売を支援する事業を開始した。
これは中国とマレーシアの現地モールに特設サイトを開設し、販売するというものだ。中国では、「寺庫(スーク―)」モールサイトで、マレーシアは「11street(イレブンストリート)」での販売となる。 東京都が越境ECで支援する中国向け販売と、マレーシア向け販売だが、東南アジアEC市場は2年前と比べると大きく様変わりしている。
マレーシアの人口は3,100万人、国民1人あたりのGDPは9,945米ドルとASEANの中ではシンガポール、ブルネイに次ぐ第3位。そして、地理的にもASEANの中心に位置し、インドや中国と隣接しているため、今後、最も発展が望める国とされている。
今回は、この東南アジアでも成長著しい、マレーシアのEC事情について調べてみた。

 

●マレーシアはどんな国?

2018年5月9日、マレーシアで行われた総選挙で、マハティール・モハマド氏が率いる政党連合の希望連盟が過半数議席を獲得し、政権が交代した。
これまでの権威主義的な政権が打破され、政治が刷新され、マレーシアは新しい国として生まれ変わろうとしている。 マレーシアの基本的情報は下記にまとめたが、マレーシアの人口は約3,205万人の多民族国家である。
国民一人当たりのGDPは9,945米ドル、年平均4%~6%の安定した経済成長を続けている。
1991年にマレーシアの30年後の未来像として発表された「VISION2020」は、マレーシアが 2020年までに経済、社会、文化、精神のあらゆる側面で先進国入りすることを目標としている。

マレーシアの基本情報

 

●マレーシアのインターネット事情

マレーシアは2020年、先進国の仲間入りのために、様々な施策を講じている。その一つが、デジタル産業の誘致である。
90年代には優遇措置であるマレーシア・スーパーコリドー(MSC)ステータスを導入し、IT関連企業が集まる「サイバージャヤ」を建設した。
2012年には「デジタルエコノミー」のイニシアティブである「デジタル・マレーシア」を策定し、企業のデジタル化サポートや子どもたちへのデジタル啓発活動も行われている。
この「デジタルエコノミー」により、Eコマースがマレーシアでは盛んになりつつあるようだ。

2018年1月時点でのインターネット利用率は人口の79%で2,508万人。2017年時点では、71%で2,200万人だったので14%も伸びている計算になる。
利用ディバイスはPCより、スマートフォンの利用が高い。

  • インターネット利用率は人口の79%、人数にすると2,508万人
  • 利用ディバイスはスマートフォン88%、PC41%、タブレット18%
  • インターネットの利用時間は1日のうち8時間27分とヘビーユーザーである
  • SNS利用時間は1日のうち3時間
  • SNSユーザー数は2,400万人 ・Facebookの利用者人数は1,900万人

 

●マレーシアのEC市場の動向

マレーシアのEC市場規模は、2015年から47%拡大し、24億1,000万米ドル(約2,744億円)規模に達していると、国営ベルナマ通信が2017年10月31日、フェイスブック・マレーシアで述べている。
また、Lazadaマレーシアによると、マレーシアではオンラインショッピングの主力は既婚(30歳以上)女性で、購入する商品の種類は電化製品からライフスタイル、サプリメント、美容、ファッションなどの商品であるとしている。
マレーシアのEC市場成長率は、23.7%に達し、今後も大きな成長が見込まれている。 マレーシアののEC市場は発展しているように見えるが、EC化率はまだまだ低く、小売市場の2~3%となっている。現実は商品の約80%は実店舗での買い物である。
EC市場での取引額は小額だが、2016年11月に11ストリートがマレーシア国内の3,507人を対象に実施したアンケート調査よると、オンラインショッピング経験者は83%と高く、換言すれば、EC市場の発展はこれから進展する要素が高い。
同アンケートではECサイト売れ筋商品も紹介され、人気商品はファッション・美容、電子機器、スポーツ・ホビーなどで、今後は室内装飾・家具、家庭用品・雑貨、サプリメントに人気が高まるとしている。

 

●マレーシアの人気ECサイトベスト5

●Lazada Malaysia アリババ(中)系

ラザダ

https://www.lazada.com.ph/

LAZADAは東南アジア最大級のモール型ECサイトである。東南アジア主要6カ国で事業を展開し、「東南アジアのAmazon」と呼ばれている。
中国アリババが2018年にラザダに対して、それぞれ10億米ドル、20億米ドルの追加出資を行った。
ラザダについては、以前のブログ「東南アジア最大級のECサイトLazada(ラザダ)を調べてみた」へ。

 

●11street Malaysia マレーシア・韓国企業の合弁

11ストリート

https://www.11street.my/

今回、東京都がECサイトで出店し、マレーシアでの販売を支援するのが、この11streetモールである。
11streetモールは新しいモールサイトで新興サイトであるが急成長中で、出店料は無料で現在約13,000のショップが出店している。

 

●Lelong.my 地場企業

lelong

https://www.lelong.com.my/

Lelongは、1998年創業の老舗モール型ECサイトだである。7,000社以上のメーカーやブランドが出店しており、商品は日常品からファッション、電化製品など取り扱いは多岐にわたる。

 

●Shopee Malaysia Sea(シンガポール)系

 

shopee

https://shopee.com.my/

Shopeeは、2009年に設立された”Sea”という会社が提供するECサービスである。日本からは、孫氏がアドザイザーとして加わっており、2017年10月にNASDAQに上場を果たした。

 

●Zalora Mallaysia ロケットインターネット(独)系

https://www.zalora.com.my/

Zalora Mallaysiaは、Zalora Groupが東南アジアで展開するザロラ、マレーシアECモールサイトである。ファッション系ECサイトで世界の比較的高級なアパレル・ファッションECモールである。

 

●マレーシアの越境EC取引の動向

マレーシアのネットショッピングユーザーの多くは、自国のECサイトより、越境ECサイトを信頼している傾向があり、Lazada(ラザダ)に代表されるグローバル・マーケットプレイスを頻繁に利用している。
また、11street Malaysiaでは少数ではなるが、日本の商品を扱っており、2016年はマウスウオッシュなど美容・健康関連商品が人気があある。

越境ECで売れ筋商品は下記商品となっている。

1位:粉ミルク
2位:スチール製の収納箱
3位:MILO[飲料]
4位:携帯型充電器(モバイルバッテリー)
5位:折り畳み式アルミニウム机

越境ECでの問題点は、マレーシアは多国籍国家のため、特定の文化圏の人々にターゲットを絞るのでなければ、ECサイトでは多言語(英語、中国語、マレー語、ヒンドゥー語)に対応する必要がある。

Eコマースの決済手段については、クレジットカードと銀行振込(インターネットバンキングを含む)が52%と最も多く、続いて、オンラインバンキングが42%、代金引換が12%、ペイパルが6%となっている。

 

●まとめ

世界有数の親日国として知られているマレーシアは、国家プロジェクトでもある「デジタル・マレーシア」が進んでおり、ASEAN地域を代表する経済大国になる可能性を大いに秘めている。
また、訪日観光客数も2012年から2016年の3年間の推移をみると、2012年の3倍の394,268人と増加し、その親日性を把握できる。このように日本との友好関係も深く、親日国ため、日本製品へ信頼も高い、マレーシアへはEC市場参入しやすい国の一つである。

関連する記事

補助金・助成金の申請はどうすればいいの?... 補助金・助成金とは「新しい設備を導入したい」「新規に事業を進めたい」「人材育成に投資したい」など、会社が国や地方公共団体、民間団体などからお金をもらうことができる制度である。 大きな特徴は融資ではなく「返済不要」という点である。 お金は公的な資金から出されるものなので、誰でももらえるわけ...
中国の「インターネット安全法」は越境ECにどう影響する?... 越境EC事業者ならご承知のことと思うが、中国ではGoogle検索はもちろん、Facebook, YouTube,Twitter,LINEも使えない厳しい情報規制が敷かれている。そして、新たに2017年6月1日より、ネットに関する新しい法律「インターネット安全法」が施行された。 この法律は中...
越境ECサイト・国内ECサイトのCMSを比べてみた... 経済産業省が発表した2017年の日本の国内BtoC市場は、16兆5,054億円と前年より9.1%上昇し、さらにEC化率も5.79%(物販分野)と伸長している。 しかし、EC化率(ECの売上が小売全体の売上に占める割合)は世界に比べるとまだまだ低いという現況がある。 ちなみに、EC化率の高...
春節のこの時期 中国の越境EC利用状況はこうなっている... 中国は2月4日より、春節(旧正月)に入った。今年は来週2月10日までの大型連休である。この時期中国は、正月ムードでいっぱいになるが、今年は環境対策のための花火や爆竹など規制され、北京中心部は、わりあいひっそりとした新年を迎えているようだ。 春節のこの期間、中国ではのべ30億人が帰省などで移...
EコマースとMコマースの違いとは? 最近のショッピング事情と言えば、従来の店舗に行って実際に商品を手に取ってレジで並んで購入するスタイルではなく、オンラインで好きなものを自由な時間に購入するスタイルにシフトしているようだ。 各個人ののショッピングスタイルの好みによるが、まず、オンラインで購入する場合、一般的に知られているEC...
越境ECサイトをスタートする前に考えるべき10のこと... 著者: Practiclogy社 シニアコンサルタント Bianca Mercer イギリス、オーストラリアのEコマースコンサルタント会社”Practiclogy”のシニアコンサルタントのBianca Mercerは、販売業者やブランド会社が海外販売に踏み切るときのチ...

タグ: , ,

コメントをどうぞ