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インバウンド対策の鍵と言われる「MICE」とは?

   投稿者 : 2019年8月7日 By

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日本政府観光局によると、2019年6月の訪日外国人(インバウンド)の数は前年比の6.5%増の288万人で、6月では過去最高を更新した。今年はラクビーワールドカップの開催、来年は東京オリンピックを控え、インバウンドの訪日客数は好調に増加している。
2018年には3,000万人を突破したインバウンドの数であるが、インバウンド消費額も4.5兆円と増加した。
しかし、インバウンド数の増加率(108%)に比べ、インバウンド消費額の増加率推移(102%)は鈍化傾向を示しており、2020年の8兆円という目標額達成は困難と言う見方が強い。
今回は、このインバウンドの消費額を上げるための施策として観光庁が推進する「MICE」について取り上げ、日本の観光産業に「MICE」はどのように活用できるかなど調べてみた。

伸び悩むインバウンド消費額

2016年3月30日に催された「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」にて、2020年、2030年までの観光に関する目標が決定されている。同会議では目標値以外に、訪日外国人観光客の拡大に向けた具体策の検討や、今後のインバウンド市場に関することなども協議された。
日本政府の会議で決定された目標値は、訪日外国人観光客数は2020年には4,000万人。2030年には6,000万人の誘致とした。
さらに、訪日外国人観光客の消費額は2020年には8兆円。2030年には15兆円を目標として設定された。
下記(図表-1)は、年別の訪日外国人観光客数についてまとめたものであるが、表からは2011年以降、日本を訪れる外国人の数が右肩上がりに増加していることがわかる。
この増加が継続し、2020年、東京オリンピックを迎えることができれば、インバウンド数4,000万人は十分達成可能であるだろう。
一方、訪日外国人客数に比べ伸び悩んでいるのが、外国人の個人消費である。
2020年に8兆円、2030年には15兆円と言う、訪日外国人消費額は訪日外国人客1人あたりの消費額は15万円程度であるが、8兆円にするには、1人あたり20万円まで増加させる必要がある。
さらに、15兆円にするには、一人当たりの消費額を、25万円まで引き上げる必要がある。
下記(図表-2)を見てもわかるように、全体の訪日外国人の観光消費額の増加率の推移を見ても鈍化傾向が現れ、この2020年の8兆円と言う目標値はかなりハードルが高いと思われる。

図表01

図表02

 

昨年6月14日に「観光ビジョン実現プログラム2019」を策定

日本政府は、2020年の目標達成に向け、2018年6月14日には「観光ビジョン実現プログラム2019」を策定した。つまり、2020年の訪日外国人観光客数、4,000万人、インバウンド消費額8兆円に向けての対策である。
主要な内容は、以前のブログでも取り上げたが、ここでもう一度、その4項目を整理した。

1.外国人が真の意味で楽しめる仕様に変えるための環境整備

訪日外国人観光客の訪日旅行の際の不便や悩みを解消するための環境作りとして、多言語対応、Wi-Fi環境等のスピーディな整備やMaaS(鉄道・バスなどを一体的に検索・予約・決済できるシステム)、さらに、観光地までのアクセス(バス・タクシー・レンタカー等)の充実。

2.地域の新しい観光コンテンツの開発

観光コンテンツの充実として、リビング・ヒストリー(文化財について、歴史的な出来事や当時の生活を再現する新たなコンテンツを開発)・城泊・寺泊、グランピング(規制緩和、好事例の横展開)など、「コト消費」に代表されるコンテンツを企画、実施する。

3. 日本政府観光局と地域(自治体・観光地域づくり法人)の適切な役割分担と連携強化

政府は自治体や地域創生を目指す法人との連携を強化することによって、地方レベルだけでなく国家レベルでの訪日外国人誘致を目指すとしている。

4. 出入国の円滑化等

空港の搭乗関連手続の自動化や顔認証による一元化など、出入国の円滑化やビザの緩和を戦略的行う。
さらに、空港の発着回数増(羽田:4万回、成田:4万回)、那覇空港第2滑走路新設、海外からの地方空港への直行便の就航促進。

参考:観光ビジョン実現プログラム2019

そして、ここでもう一つの取り組みとして今、重要だとされているのが、ビジネス目的の訪日外国人の需要である。
一般の訪日外国人観光客ばかりではなく、ビジネス目的の訪日外国人の需要にも目を向けるべきと言うのである。
そのキーワードとして、「MICE(マイス)」の強化があり、「MICE」を拡大することで、一人当たりの訪問外国人の消費額を増加が可能であるとしている。
それでは、「MICE」とは何か?次にまとめた。

「MICE」とは様々なビジネスイベントの総称

「MICE」とは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称である。
それでは、「MICE」関連のビジネスにはどのようなものがあるのか下記にまとめた。

miceの概念図

■M(Meeting/ミーティング)

主に企業が行う「様々な形態のミーティング」を指しており、セミナーや研修、役員会議、内定式、入社式なども含まれる。
また、企業がグループ企業やパートナー企業をなどを集めて行う、企業会議、大会なども含まれる。
例:海外投資家向け金融セミナー、グループ企業役員会議

■I(Incentive Travel/インセンティブ)

企業が従業員やその代理店等の表彰や研修などを目的で実施する旅行を指し、
報奨・研修・招待旅行などを総じた「インセンティブ・トラベル」とも言う。
成績優秀な社員に対して報酬としてプレゼントされる「報奨旅行」を例にするとイメージしやすい。
例:営業成績の優秀者を集めた旅行

■C(Convention/コンベンション)

いわゆる国際会議であり、学会や産業団体、さらには政府等が開催する大規模な会議を指す。
首脳会談やサミット、2019年に日本開催されるG20等の「政府系会議」がこれに該当する。
例:北海道。洞爺湖サミット、国連防災世界会議、世界水フォーラム等

■E(Exhibition Event/エキシビション・イベント)

国際見本市、展示会、博覧会といったエキシビションや、スポーツ・文化イベントなど大小様々なものが含まれる。
エキシビションは「展示会」を意味し、具体的には各種EXPOやトレード・ショー、博覧会などを指す。
例:健康未来EXPO 2019、東京国際映画祭、世界陸上競技大会、国際宝飾展、東京モーターショー

上記「MICE」のイベントビジネスをインバウンド観光ビジネスにつなげ消費を拡大しよう試みである。
つまり、「MICE」関連のイベントビジネスを拡大することが、インバウンド消費額を増加につながり、今後のインバウンド対策の重要なものとなるのである。

特徴的な「MICE」ビジネス訪日外国人

日本に来ている外国人には、「MICE」ビジネス目的で訪日している外国人も多い。
大きなものでは国際サミットから、日本で開かれる国際見本市などの展示会などに参加するためや、リサーチするための訪日である。
「MICE」ビジネス目的の訪日外国人は一般の訪日観光客と同じように、ホテルや旅館に宿泊し、レストランで食事をとり、電車やバス、タクシー、レンタカー等の交通機関を利用する。
一般のインバウンドと違うところは、「滞在日数が長い」、「配偶者等の家族同伴率が高い」さらに、「訪日時の消費金額が高い」と言うものだ。
これは2016年の統計であるが、「MICE」による訪日外国人数は57万人と推計され、この人数から、MICE関連の訪日外国人の一人当たりの消費額を算出すると、26.3万円であった。そして、この消費額は、全体の訪日外国人の一人当たりの消費額より7割高い水準なのである。

想定される「MICE」の経済効果は?

「MICE」とは簡単にう言うと、企業の会議や国際機関などによる国際会議、展示会など集客交流が見込まれる、グロバールなビジネスイベントの総称と言える。
これら「MICE」イベントを活性化させることで、インバウンド数値をさらに上げようとするものである。活性化による経済効果を下記にまとめた。

1. 開催地域への経済波及効果が高まる

一般的な観光と比較して見ると、「MICE」は規模が大きく、期間も比較的に長くなることから、「MICE」の主催者、出展者、参加者による消費支出および事業支出が高くなると思われる。そのため、地域のもたらす経済波及効果が高いとされている。

2. ビジネスチャンス・ビジネスイノベーションの創造

国際的なイベントを開催によって、世界の様々な地域・国から多くの人々が開催地に集客する。そのため、「MICE」を起点とした新しいネットワークが生まれ、新しいビジネスやイノベーションの創造など期待できる。

3. 国・地域のブランディング効果・国際競争力の向上

「MICE」が促す新たなビジネスチャンスおよびビジネスイノベーションはそのまま、開催地域や都市、開催国のビジネス環境を向上させ、さらに国際的ブランド価値も向上する。

観光庁では「MICE」の強化を推進

観光庁は「MICE」関連の訪日外国人消費相当額を2030年に8000億円とする目標を立てた。
2016年の1500億円から、2020年には3000億円を達成し、さらに、2030年まで年平均500億円の増額を図っていくと言うものだ。
また、観光庁では毎年「MICE推進関係府省連絡会議」を開催している。
「MICE推進関係府省連絡会議」の目的は、「明日の日本を支える観光ビジョン」に基づき、MICEの受入環境整備や誘致拡大に関係府省が一丸となって支援するための枠組みとして、設置されたものだ。
昨年の「MICE推進関係府省連絡会議」では、

  1. 政府一体となった総力を挙げた取り組み
  2. 開催地としての魅力向上支援
  3. 誘致力のさらなる強化
  4. 関係府省施策におけるMICE活用強化

の項目を設けた。
その中で特に主眼となるのは、「MICE」の誘致強化には地方部の開催件数を増やすといものだ。
国際的なイベントとなると、三大都市圏で開催されるケースが多くなるが、そのような大型のイベント会場には数に限りがあり、「MICE」以外の他のイベントでも利用されており、稼働率が高い。開催件数を増やすためには、三大都市圏以外の地方での開催に視点を移す必要がある。
そして、地方部へのさらなる「MICE」誘致に向けては、官民が一体となって密に協調する体制の強化が求められる。

まとめ

「我が国のMICE国際競争力の強化に向けて(提言)」では、MICE関連の訪日外国人消費額の目標として、2020年には3,000億円、2030年には8,000億円と設定されている。
2016年から目標達成への必要な増加率は、2020年の3,000億円に対しては、毎年18.9%の増加が必要であり、2030年の8,000億円に対しては、12.7%の増加が必要である。
この増加率数値は、一般のインバウンドの目標増加率とほぼ同じであり、推定では、MICE関連の訪日外国人消費額は、これ以上のペースで伸びる余地があるとしている。
今後、政府目標のインバウンド消費額を増加させるためには、「MICE」が大きなカギを握っているといえるだろう。

ブログ記事参考:

 

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