東南アジア最大級のECサイトLazada(ラザダ)を調べてみた

イメージ画像

越境EC市場というと中国が中心と言わざるをえないが、今、急成長を遂げ、中国の次のマーケットと呼ばれているのが東南アジア市場だ。東南アジア市場では、東南アジア6カ国で展開しているモール型ショッピングサイトがあることをご存知だろうか?Lazada(ラザダ)というサイトだ。
Lazadaは昨年、中国のアリババ・グループにLazadaの支配権を10億ドルで買収され、一気に東南アジア市場での注目が高まった。
今回は、この東南アジア6カ国に展開するECサイトLazada(ラザダ)について見ていこう。

 

●Lazada(ラザダ)とは

Lazadaは2011年にドイツのRocket Internet社が設立した東南アジア6カ国に展開している最大級のショッピングサイトである。
マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナムの6カ国で展開し、食品以外にもさまざまな分野のメーカー、ブランドが出店しており、出店数は3,000店以上あり、1日のアクセスは500万以上、Facebookファンは100万以上とその人気ぶりがわかる。
また、Lazadaの年商は10億ドル(2015年)、一日の平均訪問者数は400万人、固定出品者数は15,000人にものぼり、マレーシアだけでも3,000店舗もあり、トップメーカーは、1日に1,000アイテムも売り上げると言う。
Lazadaは「東南アジアのAmazon」とも呼ばれ、AppleやSAMSUNG、CONVERSEやNew balanceなど大手メーカー、TescoやGuardianなど、ローカルの大手企業も出店しており、売上上位100社は、毎月20%の成長しており、今後、さらに成長が期待されるショッピングサイトである。

そして、2016年4月、グローバル展開を続ける中国のアリババグループは、Lazadaの経営権を10億ドル(約1,080億円)で獲得した。
東南アジアのEコマースはまだ、黎明期と言われ、インフラ整備もこれからだが、この時期にLazadaを傘下に収めたことで、地域人口5億6,000万人の巨大なマーケットに強固な基盤を築くことになった。

ラザラサイトhttp://www.lazada.sg/

 

●Lazadaに出品、店舗開設するには

Lazadaは、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナムの6カ国で展開しており、それぞれの国でドメインを分けている。新規出品にはまずマレーシア版サイトに登録する必要がある。
マレーシア「Lazada」での販売状況に応じて、マレーシア以外の他国への出品が許可される仕組みだ。 Lazada(ラザダ)が「東南アジアのAmazon」と呼ばれているは、その仕組みがAmazonによく似ているからだ。
出品方法もAmazon Seller Centralと似ており、商品登録メニューやOrderを処理するメニューで登録し、さらに、アクセス数や売上実績確認機能なども設定する。オンラインショップで出品販売した経験があれば問題なく行うことができる。

Lazadaでの店舗開設に必要な書類は下記の内容になる。

  1. 登録フォーム(企業名、申請者のフルネーム(英語)、住所(英語)を記載)
  2. 新規出品者アカウント情報フォーム
  3. 申請企業の営業許可証、申請者または法人の身分証明書コピー
  4. 登録済の企業と同じ名称でPayoneer企業アカウントに新規登録

 
まず、登録フォームを提出すると、Lazada側で内容確認後、申請で使用したメールアドレスにオンライン契約書および登録リンクが送られ、店舗開設者は2のアカウント情報フォームをダウンロードする。
2の情報フォームを記入し、その記入した内容と3の営業許可証と法人の身分証明書コピーをLazadaプラットフォーム宛へ送付し店舗開設の申請は完了だ。
最後に決済に必要なPayoneer企業でアカウント登録する。
店舗開設にはまず、事前に申請書類を準備し、開設説明書類を熟読し、手続きすることが重要だ。
これまでに店舗開設経験があれば、さほど難しい作業ではない。うまくいけば、わずか1週間で店舗開設が可能である。

 

●Lazadaの4つの特徴

 

1.基本的に同じ商品であれば二重登録がなされない仕組み

各商品にはLazada SKUという固有のIDが付され、同じ商品が複数のカタログにまたがって掲載されない。

2.配送業務をLazadaにアウトソースできるサービス

Fulfillment by AmazonサービスのLazada版。迅速な配送サービスや梱包品質を担保することができる。

3.出品者の利益もきちんと保護する仕組み

Lazadaは出品者の利益について、しっかりとした保護体制があり、顧客からの返品は出品者側に何かしらのミスや不備がある場合を除き、受け付けられない。

4.カスタマーとの連絡が極力少なく済むフロー

Amazon同様、顧客が注文を確定した後、すぐに出荷体制に入れ、その後の代金回収までスムーズに行われる。

 

●モールサイトへ出店するメリット

越境ECを行う場合、モールへの出店か、新規自社サイト構築かで悩まれるケースが多い。それぞれメリット・デメリットはある。
ポイントはシステム開発が継続的に自社、または外部で運営し改善、改良ができるかどうかにある。もし、できない場合は、モールへの出店が望ましいと言える。
また、モール出店といえども、メリットはたくさんある。下記にその内容をまとめてみた。

1.短期間でリスクが最小限

モールサイトへ登録、申請するだけで販売を開始できる点。
とりあえず、現地のモールに商品を出してみて、EMSなどで配送しつつ、しばらくどのような商品が売れるかどうかをマーケティングできる。

2.集客してもらえる

モール出店のメリットはなんといってもその集客力だ。
自社でサイトの場合、集客はゼロからになる。モールではすでに利用者が大量にいるため、店舗集客、商品販売に関してはすぐに結果を得ることができる。

3.モールサイトの信頼度が高い

海外の場合、ネットショップへの信頼度は日本に比べると低いと言える。
例えば、商品は確実に届くのか、返品などの対応は大丈夫か、など不安を持つ人が多く存在する。だが、モールの場合は、そのようなトラブルに対してしっかり補償している。モールサイトでは利用者は安心して商品を購入することができる。

 

●まとめ

中国EC市場は巨大なマーケットには違いないが、個人や中小企業がこのマーケットに参戦するのはコストや労力、時間など、大いにかかものとなる。 だが、目を東南アジア地域に向けると、ここはまだ、ブルーオーシャンである。
そして、東南アジアの人口は2030年には7億人を超え、EC市場は数年後には倍以上に成長するだろう。そのような中、Lazadaは東南アジア地域販売の突破口となりうる。
 
記事参考:

関連する記事

海外販売に関する補助金・助成金情報(2019.January)... 2019年、明けましておめでとうございます。本年もLive Comerceを宜しくお願い致します。 今年、初回ブログは海外展開に関わる補助金・助成金情報をお伝えする。 補助金・助成金とは国や地方自治体から民間企業へ資金支援する返済不要のお金である。補助金と助成金の違いは、補助金には予算があり...
越境EC 韓国の集客ポイントは? 先週2月9日から、4年に一度の”冬の祭典”冬季オリンピックが、韓国、平昌で開幕した。 日本人選手のメダルラッシュが伝えられる中、今回の入場式では、選手団のスマートフォンでの撮影シーンが目立っていた。 これは、韓国Samsung Galaxyが、IOCと共同で出場選手や大会関係者全員に4,0...
越境EC行うなら知っておきたい9つの国・地域のEC決済事情... 越境ECを始めるにあたって、重要なのが対象国の決済方法だ。 日本の場合のEC決済はクレジットカード決済が主流だが、国によってはペイパルなど第三者決済やデビットカード決済が主流の国もある。 新規のお客様を取りこぼさないためにも、できるだけ多くの決済方法があり、それらの中から、お客様が普段か...
アメリカ TPP離脱の場合、越境ECはどうなる?... アメリカ大統領選挙で大逆転勝利したドナルド・トランプ氏。世界はトランプ氏がこれまでに発言したことを、大統領就任後、公約として実行するかが注目している。 これまで、トランプ氏の発言は様々なメディアで取り上げられ、読者も周知のことだと察する。 今回は、そのトランプ氏の様々な発言の中でも「アメリ...
2017年の日本のEC市場、越境EC市場はどのくらい成長した?... 経済産業省は4月25日、「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」 (電子商取引に関する市場調査)を発表した。この内容は2017年の日本の電子商取引市場の実態や日米中3か国間の越境電子商取引の市場動向についての調査内容をまとめたものである。 今回はこの内容をベースに201...
海外販売に関する補助金・助成金情報(2018.October)... 2018年も10月。今年も残り3ヶ月である。10月1日にはノーベル医学生理学賞に日本人としては5人目となる京都大学特別教授の本庶佑氏が受賞した。 この受賞により、日本の基礎医学の分野がさらに助成され、研究が進んで行くことに期待したい。 今月も補助金・助成金のの公募内容をまとめた。補助金・...

タグ: , ,

コメント / トラックバック3件

  1. 西田 より:

    つまりラザダでの出品には法人登記が必要と言う事ですか?
    出来れば個人事業主として出品したいのですが…

  2. […] リババが2018年にラザダに対して、それぞれ10億米ドル、20億米ドルの追加出資を行った。 ラザダについては、以前のブログ「東南アジア最大級のECサイトLazada(ラザダ)を調べてみた」へ […]

  3. 加藤智宣 より:

    日本からでもlazadaで購入して日本に送ってもらえるのでしょうか?

コメントをどうぞ