国内ネット通販と海外ネット通販のデファクト
国内ネット通販を今から新規で立ち上げるとなると、日本中のどのITコンサルに相談しても「楽天・ヤフーショッピング・Amazon・自社サイトの複数店舗で展開する」ことを薦めるのが一般的だ。規模の大小に関わらず自社サイトと併用してモールへの出店はコストが安いため、多店舗運営は現在一般化している。またこうしたモール間の在庫連携もソリューションがあるため小規模であっても同時展開は全く問題ない。一方、海外ネット通販のスタンダードはまだ「これ」というものはいまいちない。
しかし、Live Commerce利用者を中心に海外販売のデファクトスタンダードが確立しつつある。本日はこの部分を掘り下げて考察してみよう。
海外ネット通販はeBay・Amazon US・自社サイト・Discovery Japan
まず自社サイトをLive Commerceで立ち上げれば、ASPなので安価なコストで最低でも英語・中国語(簡体字)の自社サイトの開設が可能だ。次に、自社サイトをベースにeBayとDiscovery Japanへの同時出店可能になる。自社ECサイト立ち上げ初期の集客はプロがやっても難しいが、eBayとDiscovery Japanを併用することで海外ネット通販の初期売上構築にかかる時間を一気に短縮することが可能になる。
eBayは既に世界に億単位のユーザーにリーチでき、Discovery Japanなら日本ブランドに興味の高いユーザーへ商品情報を訴求できるため自社サイト単独に比べればはるかにコスパはよい。
日本ブランドメーカーが海外展開をするときのデファクト
Live Commerceを6年間運営してきて、大小さまざまなメーカー担当者と商談をしてきた。その中でここ最近のトレンドは上記で紹介したパターンが最も海外販売の初期売上構築がスムーズで、メーカーとして海外売上というのもを自社の事業ルーチンに組み入れる最も自然な形と言ってよいだろう。海外通販はどの日本メーカーにとっても新規事業である。新規事業は例外なくコストはかけられないため、うまくいったケースがないと一切のコスト割当はできないのは言うまでもない。
これが、数年前だったらどの事業戦略コンサルに聞いても海外販売のデファクトはまだあやふやだったであろう。
「これ」という国内通販のようなデファクトが確立されていないため、メーカーとしても発注先を一歩間違えると、たかが海外通販サイトの立ち上げなのに、ウン千万、ウン百万、、チャージされるケースもある。
だが、ここにきて海外ネット通販のデファクトはほぼ確立されたといってよい。
もう一度繰り返すがeBay・Amazon US・自社サイト・Discovery Japanへの同時出店による多店舗展開である。
立ち上げ段階は自社運営よりも外部委託
メーカーは一般的にB2B型の商流である。これが海外ネット通販となると、現在海外向けに流通チャンネルをそもそも持っている国内事業者がないため、海外向けとなるとメーカー独自で開拓しなければならい。国内通販の事業ルーチンに今から海外販売の人を新たに付けることはできないケースが大半だ。そのため国内通販部署の担当にマルチタスクをこなしてもらい、、、と考えがちだが、ここが失敗の原因の1つである、この安易な行動がせっかくの海外販売事業を地獄へ一直線に行ってしまうトリガーになりかねない。
というのは、メーカーは月間で100件~200件の海外新規受注が発生するまでは自社で人を割かないことである。
最終的に自社運営することが目的だとしても、立ち上げ当初は自社でやればやるほど赤字が拡大する。なぜなら、十分な海外販売知識がない担当者がいきなり海外向け自社サイト・eBay・Amazon US、、に加え商品データの翻訳、英語での顧客対応、物流センターへの海外出荷指示、、などあまりにも負荷が多きするぎるためだ。(文章で書くと数行だが、実際の業務はたかが月間の受注件数が100件程度といえども、新規事業の立ち上げの時の担当者心理的負担や不安は半端ない)
そこで月間200件までの立ち上げ初期時の海外ネット通販を全部外部に委託し、この委託費を固定費のみで外部運営するやり方の方が自社運営に比べれてトラブルも少なく赤字幅も少ない。この海外ネット通販導入期のみをB2B取引として、当社が委託し月間受注件数200件を超えたあたりから自社運営(B2C)に切り替えていくパターンである。
なぜ外部委託の方がいいのか
eBayに出品するには法人登録手続き、PayPal口座開設、商品ページ用のテンプレート作成、eBay内の送料設定などこれは慣れた担当者でも数日はかかる。当然素人が手探りで調べながらやれば数ヶ月、、、である。またその間に何らかのトラブルに遭遇すれば絵に描いた餅で終わるケースも考えられる。
自社サイトの立ち上げにしても、クレジットカード決済契約、WEB上のデザイン等、受注処理の連携フローの確認、作業手順書の作成、物流センターのとデータ連携フォーマットのすり合わせなどが必ず必要になる。
これらを立ち上げ初期で自社でやるだけで、それこそマルチタスクで担当者がやれば心が折れるどころか、肝心のマーケティング活動にこぎ着けるまでに数ヶ月を要するだろう。
しかし、外部委託してしまえばメーカーとしては在庫している商品なら物流センターとの海外出荷部分だけをすり合わせておけばよい。最小の労力だけで海外販売現実のものにできる。新規事業にかける予算にもよるが、海外現地展開などはこうしたネット通販でまずは最小のリスクで顧客開拓に成功してからでも遅くはない。