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2018年の日本のEC市場規模は緩やかに上昇

   投稿者 : 2019年6月18日 By

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今回は、以前のブログに引き続き、経済産業省の「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」報告書に基づき、日本国内のEC市場の状況を中心にまとめた。
報告書によると、2018年の日本国内のBtoC-EC市場規模は、17兆9,845億円となっている。この数字は2017年比、8.96%の増加と発表されている。
各分野では物販系分野で9兆2,992億円、前年比で8.12%の伸び、サービス系分野は6兆6,471億円、伸長率は11.59%。デジタル系分野は2兆382億円、伸長率は4.64%という内容であった。
2017年からの伸び率を見ると、全体の伸び率8.96%に対し、伸び率が高いのはサービス系分野の11.59%が大きいと言える。サービス系分野の中でも特に大きな伸び率を示しているのは、飲食サービス(伸び率41.61%)に関する、予約サービスである。これは、近年、ネット予約可能な店舗が急増していることを裏付けている。
今回は報告書から、2018年の日本国内EC市場の現況、EC化率、各カテゴリー別の状況などについて詳しく見ていこう。

2018年の日本のBtoC市場は8.96%の伸長率

2018年のBtoC-EC市場規模の全体は17兆9,845億円という推計結果であった。
2017年の16兆5,054億円から取引額は1兆4,791億円増加し、伸び率は8.96%である。
また、物販系分野のEC化率は2017年の5.79%に対し、2018年は6.22%に上昇している。
2018年のBtoC-EC市場規模は緩やかではあるが、取引額の増加、EC化率の増加など、確実にEC市場は拡大傾向である。

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2018年の国内BtoC市場の主な傾向

この報告書では2018年、国内BtoC市場の特徴的だったトレンドも整理されている。
内容としては、日本の2018年EC業界の特徴、スマートフォンの利用の拡大、SNSの拡大、ライブコマースの可能性、DtoCによる販売手法の拡大、QRコード決済サービスの動向、求められる情報セキュリテイ対策、EC事業と物流の連携、AIの活用、などを記載されている
ここでは、日本のEC業界の特徴、スマートフォンの利用の拡大、ライブコマース、DtoCによる販売手法の広がり、AIの活用について抜粋し報告書の内容を整理した。

●ネットの方が安いという事実は日本だけ?

まず、下の図表を見ていただきたい。図は日本を含む10か国において、ECとリアル店舗の価格比較を行った調査内容である。
日本の場合、調査対象国10カ国の中では “ネットの方が安い率”が45%と最も高い数値である。つまり、45%の商品はリアル店舗で買うより、ECサイトで買ったほうが安いのである。さらに、対象国10カ国の中でこの”ネットの方が安い率”45%はトップである。
これは、ネットVSリアル店舗の図式だが、ECネット(BtoC-EC)同士で価格競争を生じやすいということである。ECネット同士の価格競争により、価格値引きが発生すると、取引回数は増加するが、全体の取引額としては増加しないという悪循環が起こりやすいと指摘している。
ネットVSリアル店舗では、どちらで買っても同等価格というのが、あるべき姿ではないだろうか。

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●スマートフォンのEC利用は引き続き拡大している

2018年もインターネット利用全般にわたりスマートフォンの利用がさらに拡大した1年であった。
下の図表は、スマートフォン経由の物販のBtoC-EC市場規模とスマートフォン比率に関する直近4年間の推移である。
2018年は3兆6,552億円の取引がスマートフォン経由で行われ、割合としては39.3%に相当し、2017年の35%から確実にスマートフォン経由によるBtoC-ECの利用が増加していることを示している。EC市場が拡大する中、確実にスマートフォンへの移行が進んでいる。
また、細かいスマートフォン比率については物販系のカテゴリーについて触れている。
「物販のカテゴリー」の中でスマートフォン比率が高いのは「衣類・服飾雑貨等」であり、50%強としている。次に多いのは、「書籍、映像・音楽ソフト」「化粧品、医薬品」「雑貨、家具、インテリア」が約30%台としている。
これは、女性や若年層といったファッション・アパレルに関心の高い消費者層がスマートフォンを利用していることを示している。

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●ライブコマースは今後、期待できる販売方法である

2018年は「ライブコマース」という新たなマーケッティングが取りざたされた年でもあった。
中国では、商品の購入には信頼あるインフルエンサーの動画を見て、購入するというスタイルが定着しつつある。
「ライブコマース」とは、商品の宣伝をインターネットでライブ配信し、視聴者が配信画面から商品を購入できるスタイルの販売方法である。
つまり、テレビショッピングのEC版である。この販売方法は、2017年頃より注目されはじめたが、2018年はさらにそのトレンドが強まった感がある。
現に、当社販売のLiveCommerceシステムと混同し、問い合わせの電話が当社に何本もあった。
「ライブコマース」はライブ形式での販売にため、生の声で商品の良さを熱く語るなどにより、視聴者に訴求力のあるリアルな情報発信が可能である。
また、視聴者からのコメントをリアルタイムで受け付ける双方向の機能も備えており、視聴者から見れば、情報不足の解消とともにテレビショッピングではできない買い物体験を得ることができる。
中国では著名人やインフルエンサーがライブ配信を行ってているが、日本ではまだ中国ほど浸透していない。商品を販売するといより、ライブコマースを通じた商品認知度のアップ、ブランディング向上といった面に限定されているようだ。

●「DtoC」という新たなビジネスモデル

以前のブログ「押さえておきたい! アメリカEC市場の新たな潮流」でも書いたが、アメリカでは「DtoC」ビジネスが今後成長すると見られている。
「DtoC」とは「Direct to Consumer」の略であり、メーカーが自社の商材の販売を、ECモールを通さず自社ECサイト上で直接消費者向けに販売するモデルとして近年注目をされている。
元来、自社商品を販売する場合、ECモールと自社独自ECサイトを併用して販売するという方法は行われていた。
ECモールのメリットは、集客が大きいという点、デメリットは自社商品が埋没するという点である。
自社独自サイトで収益を上げるというのは、集客ノウハウがない、運営コストがかけられないなどと難しいのが現実があった。
しかし、ここで「DtoC」が注目されている背景は、特定のECモールへの消費者の利用集中によって、状況を打開したいと考えるメーカー側の思惑に加え、SNSやブログを使用したマーケティングで、メーカーであっても直接消費者とコミュニケーションをとりやすい環境になっている点がある。
自社でマーケティングは簡単ではないが、ハードルが下がっているという事実はあるだろう。
自社商品が素晴らしいもので、マーケティング(SNS,YouTube動画などの活用した集客)により、自社独自ECで実績を上げることができれば、さらに国内向けECサイトを越境ECサイトへと拡大し、越境「DtoC」へと展開することも可能である。

●ECサイトに活用されるAI

今回の報告書ではAIのEC事業での検討や活用が着実に進捗されていることについても触れている。
スマートスピーカーなどの人間の声を認識し検索や経路案内ができるスマートフォンのアプリケーションや実店舗で店員の代わりに顧客対応を行うAI技術などだ。
具体的には①出品、②誘導、③顧客対応、④受注、⑤物流、⑥アフターサービスといった一連の事業フローの各フェーズにおいて、それぞれAIを活用した取り組みがなされている。AIが各フェーズでどのように活用されようとしているかをまとめたのが、下記内容である。

①出品

  • ECサイトや実店舗の購入履歴、在庫状況に基づく需要予測
  • テキストファイルの形で入力した商品データの多言語翻訳

②誘導

  • 商品の画像解析に基づく類似商品のレコメンデーション
  • ファッションアイテムの写真をベースとしたコーディネート提案
  • メールコンテンツのパーソナライゼーション
  • ネット広告におけるターゲッティング、セグメンテーション等

③顧客対応 ⑥アフターサービス

  • メークの仕上がりをAR(拡張現実)で表示するアプリケーション
  • 顧客の質問を24時間受け付けることが可能なチャットシステム

④受注

  • 対話型の音声操作に対応したAIスピーカー

⑤物流

  • 再配達削減に向けたAIによる配達先のルートの最適化設定
  • 過去の出荷情報をもとにした倉庫内の商品在庫の最適配置
  • 過去の入出荷履歴、商品価格、新製品の発売、気象情報等のデータ等に基づく物流センターにおける荷物の入出荷量予測

物販系分野は2018年も「ファッション関連」が高い数値

2018年の物販系分野は9兆2,992億円、前年比、8.12%の伸長率である。
物販系分野の商品毎のEC市場規模およびEC化率は下図の通りである。
市場カテゴリー規模は大きい順に、
「衣類・服装雑貨等」で1兆7,728億円(前年比7.6%)、
「食品、飲料、酒類」の1兆6,919億円(前年比8.6%)、
「生活家電・AV 機器・PC・周辺機器等」の1兆6,467億円(前年比7.4%)、
「生活雑貨、家具、インテリア」は1兆6,083億円(前年比8.55)、
「書籍、映像・音楽ソフト」は1兆2,070億円(前年比8.39%)、
となっている。
これら5カテゴリーは全て、1兆円以上の市場規模である。そして、これらの5カテゴリー合計で物販系分野の85%を占めている。
また、EC化率については、高い順に「事務用品・文房具」(40.79%)、「生活家電、AV 機器、PC・周辺機器等」(32.28%)、「書籍、映像・音楽ソフト」(30.80%)、「生活雑貨、家具、インテリア」(22.51%)となっている。

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2018年はサービス系分野では「飲食サービス」が大きく伸びた

前段で記した通り、2018年の国内BtoC-EC市場におけるサービス系分野は、6兆6,471億円、前年比11.59%の伸長率となっている。
物販系分野が前年比8.12%の伸長率と比較すれば、サービス系分野の11.59%伸長率は物販系分野より拡大の勢いが強いと言える。

サービス系分野の中でで最もBtoC-ECの市場規模が大きいカテゴリーは「旅行サービス」である。
「旅行サービス」の市場規模は3兆7,186億円であり、対前年比で10.27%の伸びとなっている。
次いで、「飲食サービス」は6,375億円、前年比41.6%と大きな伸びとなっている。
さらに「金融サービス(前年比-0.79%)の6,025億円、「理美容サービス(前年比17.67%)」の4,928億円、「チケット販売(前年比6.34%)」は4,887億円と続いている。

サービス系分野の中で、最も伸び率が高いのは「飲食サービス(41.61%)」である。
「飲食サービス」とは、レストラン等へのネット予約のことであり、近年、ネット予約可能な店舗数が急増したことが要因である。
ネット予約に対応している飲食店は1割を超えており、“ネット予約を活用する”という消費者の行動様式は定着化しつつある。

次いで、「理美容サービス」が 17.67%とこれも高い伸び率を示している。「理美容サービス」とは、ヘアサロン、ネイルサロン、エステサロン等へのネット予約を指す。
近年、このカテゴリーも市場規模が拡大しているとしている。

また、「サービス系分野」については、新しい発想のサービスが登場し、今後の市場規模拡大するだろうと予測している。
例えば、UberEatsのような既存タクシー会社とネット予約の融合サービスである。
このような新しいサービスの登場が「サービス系分野」の市場拡大をさらに後押しするとしている。

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デジタル系分野は「オンライゲーム」が大きなシェアを占めている

デジタル系分野で最もBtoC-ECの市場規模が大きいのは、「オンラインゲーム」の、1兆4,494億円で前年比3.0%の伸びである。
次いで「電子出版」で2,783億円の前年比7.57%の伸長、さらに「有料動画配信」の1,477億円の前年比12%の伸長、「有料音楽配信」の645億円で前年比12.51%の伸長となっている。
「デジタル系分野」ではオンラインゲームが71.1%と圧倒的なシェア率である。
2018年は、海賊版サイトの存在が社会問題化し、違法サイトの取り締まりなどの対策が施されたことによって、市場規模の拡大が維持されたようだ。
特に、2018年11月30日から「ABJマーク」の運用が開始され、このマークによって、利用するコンテンツが適正であることを認識したうえで、消費者は電子出版物を利用することができるようになった。
「ABJマーク」とは、掲示した電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す商標である。

abjmark「ABJマーク」

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有名・大手ECサイト・ネット通販売上高ランキングTOP20

2019年1月1日発売の日本流通産業新聞で「2018年最新のECサイト・ネット通販売上高ランキングTOP400」が発表された。ここではそのベスト20を取り上げた。
ランキングではBtoC,BtoBも含むが、BtoCのみ見ると、トップはアマゾンの8,500億円、次にジャパネットたかたの1,920億円、ジュピターショップチャンネルの1,630億円、ヨドバシカメラの1,140億円、ディノス・セシールの1,138億円など続いている。
アマゾンは12年連続トップを独走し、昨年は過去最高益を記録した。また、このランキングには楽天、zozotownなどECモールは含まれない。
トップ10に入っている事業者は前年比平均で9.8%の増加を示している。
前年比で大きく成長している事情者は、化粧品・健康食品を販売している「ファンケル」の36.3%とファッション販売の「ユニクロ」の29.4%である。
ユニクロの増加要因は、アプリ会員の増加や送料無料サービスや店舗受け取りサービスなどのECと全国に展開するリアル店舗を融合させた施策が功を奏したと言える。

2018年ECランキング

図出典:日本流通産業新聞「EC・ネット通販売上高ランキングTOP400」

まとめ

2018年のEC市場規模(BtoCのみ)の市場は17兆9,845億円だった。毎年5%以上を超える成長率で市場規模は拡大推移しており、今後も右肩上がりで成長すると予想される。
また、今回の報告書を見てわかることは、今後のEC市場においては、日本でも本格化しそうな「DtoC」、ライブコマースの定着化、AIの活用、ECと実店舗の融合、新たな発想のECサービス登場など、国内EC市場拡大を予感させる伸びしろは、まだまだありそうだ。

経済産業省「平成30年度電子商取引に関する市場調査」:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.html

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