電通グループのデジタル広告を牽引する4社は、3月17日、インターネット広告媒体費の内訳を分析し、その詳細を発表した。
2019年の日本の広告費は、前回のブログでも説明したように、6兆9,381億円であり、前年度から、106.2%成長しており、その中でインターネット広告費は30.3%を占め、2兆1,048億円(前年比119.7%)となっている。
そのインターネット広告費のうち、「インターネット広告媒体費」の内訳、構成比、金額と成長率などが今回発表された。
インターネット広告媒体費は1兆6,630億円であり、前年比は114.8%の成長であった。
今回は、このインターネット広告媒体費の分析結果の4つのポイントと、2019年、大きく成長した動画広告について、その課題やGoogleの追加基準などをまとめた。
インターネット広告費には、「インターネット広告媒体費」と「物販系ECプラットフォーム広告費」と「インターネット広告制作費」がある。
2019年はインターネット広告媒体費は1兆6,630億円、物販系ECプラットフォーム広告費は1,064億円、インターネット広告制作費は3,354億円となっている。
「インターネット広告媒体費」の詳細内容については、様々な切り口があるが、今回の発表においては4つのポイントに絞り、内容が整理されている。
インターネット広告媒体費を、検索連動型広告、成果報酬型広告(アフェリエイト)、ディプレイ広告、動画広告と種類を分けて、2018年からの変化を示したのが下のグラフである。
全ての内容において成長していることがわかるが、最も活用された広告は、検索連動型広告6,683億円(40.2%)であり、成長率が高いのは、ビデオ(動画)広告の3,184億円、前年比は157.1%となっている。
さらに2020年、動画広告は前年比113%の3,597億円になると予測されている。
インターネット広告の取引において、大きくその運用方法を分けると、入札方式で行われる「運用型広告」、非入札方式の「予約型広告」。さらにアフィリエイトなどの「成果報酬型広告」に大別される。
取引手法においては、2018年同様、運用型広告が1兆3,267億円、79.8%と約8割を占めている。成長率を見ても、運用型広告は前年比115.2%、予約型広告も前年比117.4%といずれも2桁成長である。
インターネット広告媒体をソーシャル広告とそれ以外の広告の2つに分けた場合の推移を表したものが、下のグラフになる。
2019年はソーシャル広告は4,899億円でインターネット広告媒体費全体の約30%を占めており、さらに成長率も126%と伸長していることがわかる。
また、ソーシャルメディアを種類別に「SNS系」、「動画共有系」、「その他」に分類すると、「SNS系」が2,280億円、46.5%と最も規模が大きく、「動画共有系」1,139億円(23.2%)、「その他」1,480億円(30.2%)となっている。
最後に2020年のインターネット広告媒体費を予測したのが下記のグラフである。
電通グループでは、近年と比較し成長率は、やや緩やかになるが前年比111%の成長とし、インターネット広告媒体費の総額は1兆8,459億円と予測している。
今年は、新型コロナ感染症が世界的に拡大する中、経済においてもリーマンショックを上回る損失、ダメージが予測され、ここまで成長するかは今後の動向を見守るしかない。
2019年は動画広告が大きく伸長した年になった。
動画広告の成長率は157%とインターネット広告媒体の中では最も高い割合だ。
だが、この動画広告については、ジャストシステムの「動画&動画広告 月次定点調査(2020年2月度)」調査内容をによると、動画広告を見たユーザーよるインターネット広告に対する印象は「不快に感じることがある(31.6%)」、「不快に感じることがややある(35.9%)」と動画広告に対して不快に感じることがある割合は67.5%と不快感が高い。
下のグラフは、テキスト広告、画像広告、動画広告で比較したものだが、テキストのみの広告、画像などバナー広告と比べても動画広告は不快感を感じるらしい。
不快に感じる理由としては、視聴の邪魔をされるが、73.8%。広告をスキップできないが67.2%などとなっている。
動画広告の多くは歓迎されておらず、あまり多用するとイメージダウンに繋がることが予想される。今後は動画広告の配信方法などを考慮し出稿する必要があるだろう。
日本のインターネット広告のメディア占有率は、Googleが約50%を占有している。
Googleの次にYahoo!、Facebook、Twitterと続くが、そのGoogleは動画広告に関する新たな基準を発表した。(上のアンケート内容に合致するところが興味深い)
新たな動画広告基準は2020年8月5日より適応される。
具体的には、下記3点に当たる動画広告は、広告の表示を停止するように、ウェブサイトへ通達し、Chrome上において広告ブロックの適応を開始するとしている。
上記3点は、YouTubeを含む全体の広告プラットフォームの製品規格として更新していくとされている。
Googleのこのようなインターネット広告に関する基準についての改善内容は、電通など広告業界全体のガイドラインとしてルール化してほしいものである。
2019年のインターネット広告費は前回のブログでもお伝えしたように、テレビ広告費を超える結果となった。
これは、消費者のテレビ離れ、活字離れ、ラジオ離れからくる、旧来マスメディア広告市場の縮小であり、逆に多くの消費者がインターネットに時間を費やすようになった結果の表れでもあるだろう。
そのインターネット広告の中でも動画広告は、成長著しい。それゆえ、Googleは動画広告に対して新たな基準を追加した。
広告主は、商品やサービスの訴求のために、広告を施策するが、インターネット広告にはリスティング広告、ディスプレイ広告、動画広告、SNS広告など様々あり、その広告の特徴を理解し、上手く使い分けて行うことが重要である。
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