マーケティング担当者の多くが、効果の測定が重要だと感じているにも関わらず、うまく測定できていると感じている人はその半数に満たない、というほど難しいのがマーケティング効果の測定です。
しかし、昨今のマーケティング技術の進歩により、自分で効果測定ができる方法がさまざま確立されてきています。そこで今回は、その方法を5つのステップでご紹介していきます。
キーポイントは、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標=目標達成に向かってプロセスが適切に実施されているかどうかを図るための中間指標)と目標を明確に定めること、そして測定結果を更新・報告するプロセスを確立して、データを知識に、知識を行動につなげるしくみを作ることです。
それでは各ステップを具体的に説明していきましょう。
1 KPIを把握する!
まずは、事業にとって最も大切な5個~10個の指標とは何かを考えます。事業の目標と関わりが深く、コンテンツマーケティングにより改善される指標を順に挙げてみましょう。
例えば、B to Bのソフトウェア企業であれば、KPIはウェブサイトへの訪問者数、コンテンツのダウンロード数、ウェブセミナーへの登録者数、商品への問い合わせなどのセールスリード数、実演依頼数、体験版への申込者数、獲得顧客数、短期間で同種のサービスを次々に乗り換える「移り気」顧客率、経常利益などが考えられます。
KPIの把握は、測定結果をマーケティング戦略に生かすための基礎となります。
2 セールスファネルをカスタマイズする
ファネルとは漏斗(ろうと)のことで、マーケティングでは、見込み客から受注へと絞り込まれる様子を例えて、セールスファネルと表現しています。セールスファネルは4つの部分から成り立っていて、漏斗の上の部分からbrand(認識)→leads(誘導)→sales(購入)→loyalty(さらなる成果)と進みます。
漏斗の一番上の部分、brandでは、ウェブサイトへの訪問者やブログを読んだ人を惹きつけて、ブランド価値を高め、リーチを増やします。次のleadsでは、ブログ記事やウェブセミナーなどのコンテンツを使って顧客を呼び込み、顧客情報を集めます。顧客情報が集まれば、次のsales段階においてターゲット別にEメールを送るなど、個々の顧客に応じたセールスを実行できます。そして最後のloyaltyの部分では、顧客の信頼度に訴えかけるよう、売上アップや紹介数を増やすためのキャンペーンなどを実行するのです。
これら4つの部分ぞれぞれにおいて、最も重要な指標を選び(例えば、brandでは訪問者数、leadsでは資料のダウンロード数、salesでは新規顧客のコンバージョン数、loyaltyでは総売上とするなど)、さらにそれぞれの部分に10個までの補助指標を考えます。指標選びでは、1でのKPIを参考にしましょう。
3 データ収集&分析
指標についておおよそのイメージが作れたら、既存の指標データを集めます。1年分あるのが理想的ですが、少なくとも3ヶ月分のデータを集めましょう。次のようなデータが参考になります。
●分析ツール(Googleアナリティクスなど)から
訪問者とその行動、コンテンツのダウンロード数など目標達成度合、トラフィックに関する情報など
●マーケティング用のソフトウェアから
セールスリードの数、コンバージョン率など
●ソーシャルメディアから
フォロワーの数、「いいね!」の数など
●Eメールから
定期配信者数、メールを開いた数、メールからウェブサイトへの流入数など
●電話から
かかってくる通話数など
4 これまでのデータを参考に指標を決定!
ウェブマーケティングの現状がわかるようなデータを集めたら、ステップ1で把握した中から、自社にとって一番重要な指標と目標を設定します。さらに、ステップ2で説明したセールスファネルの各段階における主要指標の設定に力を注ぎましょう。その後補助指標も決定します。
5 解析表を日々記録、アップデートする
会社の重要指標、セールスファネルにおける主要指標、補助指標が決定したら、それらを日々記録していきます。そして、自社のマーケティングに活かすために、月間レポートを作成しましょう。社内で共有する際には、表計算ソフトだけではなく、Power PointやKeynoteなどのプレゼンテーションソフトを利用してもよいでしょう。
主要目標の達成状況、セールスファネルにおけるKPIの状況、分析結果の考察、実施したキャンペーンの概略、次月の優先課題、といった内容のフォーマットを作っておいて、毎月アップデートすれば、ルーティンワークとして定着しやすいでしょう。
すべては効率的なコンテンツマーケティングのために!
上記のようなステップを踏んで目標・指標を定め、記録して分析し、結果をマーケティング戦略に活かすことは面倒なことかもしれません。しかしながら、いったん導入してしまえば、具体的に戦略上何が欠けているのか、足りないのかを把握でき、コンテンツマーケティングにつぎ込む時間・労力を最大限に効率化することができるのです。面倒でもやってみる価値のある仕事ではないでしょうか?
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