Google(グーグル)のサービスは日々進化しており、情報検索サービスにおいては、Googleなしでは社会生活が成り立たないくらい、その恩恵を受けている。
そのGoogleが10月20日、アメリカ司法省から、インターネットの検索や広告の分野で独占的な地位を利用して公正な競争を妨げているとして、日本の独占禁止法にあたる反トラスト法違反の疑いで提訴された。
これは、マイクロソフト社の訴訟以来、巨大IT企業を狙い撃ちした訴訟として、今後の動向が気になるところだ。
今回は、このGoogleの屋台骨であるGoogle広告。その中の「Googleショッピング広告の無料化」について見ていきたい。
Googleは情報検索において欠かせないツールとして、大きなシェアを占めている。
ネットショッピングにおいても同様で、商品をネットで買おうと思ったら、まず、Googleの検索窓に商品に関する情報を入力するという人が多いだろう。
そして、その商品の入力ワードによって、検索結果の上部または左側に表示される商品一覧が、「Googleショッピング広告」である。
株式会社フィードフォースが2019年10月に発表した内容によると、Googleショッピング広告は、Facebook広告やInstagramショッピングに使うことができる「Facebookカタログ」などを抑え一番利用されているとしている。
Googleの収益の半分以上は、「Google広告」であり、Googleの大黒柱である。その「Google広告」には、以下の5種類のものがある。
そして、Eコマースの商品広告に特化した広告が、3つ目の「ショッピング広告」なのである。
「ショッピング広告 」の特徴としては、クリック単価が安価であること、テキストだけではなく、画像や価格、色やサイズなどの情報も一覧で掲載されるため、ユーザーも、比較検討を行いやすく、より、購買意欲の高いユーザーを集客できるというメリットがある。
では、次にその他のメリット、デメリットなどを見ていこう。
以前のブログ、「GOOGLEショピング広告で新規ユーザーを獲得しよう」でも書いているが、ショッピング広告の最大のメリットは、クリック単価が安価で費用対効果が高いことと、広告出稿設定が複雑なので、活用している店舗が少ないため、競合が少ないところだろう。
通常の検索連動広告(リスティング広告など)と比較しても、クリック単価は約1/4程度。さらに、ROASと呼ばれる、広告運用における売り上げ指標は通常の広告の2倍となっている。つまり、少ない予算で成約率をアップできるのである。
この「ショッピング広告」がアメリカでは4月末から無料化され、日本を含めその他の国、地域では10月中に「無料」となった。
だが、「ショッピング広告」にもデメリットはある。
それは、商品フィードデータをまとめ、Google Merchant Center にアップロードする必要がり、これがけっこう大変なのである。
商品の数だけタイトルや説明文、商品特徴などを用意しなくてはならないため、商品の数が多ければ多いほど手間がかかる。そして、在庫情報など逐次更新しなければ、広告を止められるなど、運用面で人的リソースが必要である。
そして、検索キーワードの調整は全てGoogleまかせであり、広告予算などに左右されることや、消費者ニーズのあまりない商品には不向きと言われている。
2020年4月21日、GoogleはGoogleショッピング枠に商品情報を無料で掲載できるようにすることを発表した。まずは4月末、アメリカから開始され、日本では10月16日より無料のGoogleショッピング広告が表示された。無料広告枠は、有料掲載のショッピング広告枠の下に掲載されている。
現在の日本の無料掲載枠は下画像にもあるように、「ショッピング」タブのみの掲載となっているが、アメリカではすでに、「すべて」タブにも無料掲載枠があり、表示されている。いずれ、日本でも同様の仕様になるものと予想される。
Googleは、なぜ、このタイミングで無料のショッピング広告掲載サービスを始めたのか。
その理由は、一つは新型コロナで影響を受けた小売店の救済と、もう一つは今、非常に勢いのあるアマゾン広告への対抗策と考えられる。
「Googleショッピング広告」を始めるには、ショップ情報と広告の出稿設定を行う必要がある。
ショップ情報や商品フィードは「Google Merchant Center」に登録し、「Google 広告」では広告出稿設定を行わなければならない。
これまでは、「Google 広告」での一つのキャンペーンに対して広告予算・入札単価を設定を行う必要があったが、無料広告枠の場合はその設定の必要が無くなる。
そこで、問題になるは、有料広告枠での出稿か、無料枠での出稿か、どちらに枠で出稿を行うかと言うところである。
有料枠、無料枠、それぞれについて、どの程度集客力に違いがあるのか、両方に出稿して、表示回数とクリック数、CPAなどレポートを解析しなければ、なんとも言いがたいところだ。
仮に、ある程度棲み分けを行うとすれば、無料枠では全ての商品を登録、管理運用し、有料枠には、最も売りたい主力商品のみを掲載するなど考えられる。
また、通常は無料枠での掲載のみを活用し、繁忙期やイベントセール時期には、予算を集中して、有料枠で広告掲載を施策するなど、戦略的な棲み分けが行うことなど、考えられるだろう。
「Googleショッピング広告」は、日本と同様にヨーロッパ、アジア、中南米の国や地域においても「ショッピング」タブに無料で広告表示が可能となった。
日本以外のアメリカを含め、ヨーロッパ、中南米、アジア諸国などでも無料広告が出稿できることで、越境EC販売でこれまで、広告に対して消極的だった事業者も、おおいにこの無料のショッピング広告を活用し、海外消費者の集客に施策すべきだろう。
海外への広告出稿には、商品データとランディングページにおいて販売先の言語、通貨などの要件を満たす必要があるが、「ショッピング広告」の集客力は非常に大きいものがあり、商品露出を無料で拡大させるチャンスであり、是非、活用していただきたい。
ショッピング広告が無料で出稿できる国と地域は以下となっている。
Live-Commerceではこの「Googleショッピング広告」の商品フィードを管理画面から設定できるシステムに改修した。
日本の無料枠で掲載される「Googleショッピング広告」は、現状では「ショッピング」タブのみであるが、今後 は「画像」検索や「すべて」の検索結果などでも、無料の商品掲載枠ができるようになる予定である。
Googleは、このショッピング広告の無料化でEコマースに比重を置きつつあるのがわかる。
すでに無料化が公開されているアメリカでは、クリック数、インプレッション数ともに大幅に増加するなど、大きな効果をあげているようだ。
そして、あらゆる規模の小売業者、特に中小事業者において、広告無料化によるトラフィックが増加していると聞く。全て無料の「Googleショッピング広告」は、やらない理由はないだろう。
参考:
タグ: Eコマース, Google AdWords, ショッピング広告