ファッションブランドのGAP(Gap Inc.)。子ども・大人、メンズ・レディース問わず幅広い顧客を獲得している世界第3位の売上規模を誇る(1兆3609億円、2011会計年度)アパレルカンパニーです。日本でも多くの店舗を構えていることから馴染みのあるブランドですが、あまりECを活発に運営しているというイメージは少ないかもしれません。
しかしながら、世界的にECが大きく成長していることもあり、近年EC戦略に積極的に投資を行っています。GAPのCEO グレン・マーフィー氏は、次の3年間(2014-2016)で、全世界におけるEC経由の売上を1000億円規模で上積みし、2500億円規模に成長させると発表しました。
出典:GAP(http://www.gap.com/)
オンラインショップで在庫切れ、あるいは在庫検索を使って商品のある店舗に駆け込んだがすでに売り切れ……という経験がある方もいるかもしれません。GAPはこのようなユーザー体験をなくすべく、ECと実店舗の融合を目指しています。
2013年6月にまずアメリカでスタートした「reserve in store」という新サービス。「オンラインショップで見つけた服を在庫のある実店舗で予約して取りに行く」という「オンラインショップで欲しい商品を探し買い物をする」という従来のEC機能に、O2Oの要素を加えたサービスです。
これまでは、「今すぐ欲しい!配送を待てない!!」という商品の在庫が、店舗に行くまで残っているか(オンラインでチェックした後に売り切れていないか)が、ユーザーにとっては不便なポイントでしたが、これであれば売り切れを心配する必要はなく、ユーザーも気持ちよく買い物をすることができます。
出典:Reserve In Store | Gap (http://www.gap.com/products/reserve-in-store.jsp)
日本でも94年以降多くの店舗を展開してきたGAP。2012年の10月には公式のオンラインショッピングサイトをスタートさせるなど、満を持して日本のEC市場にも進出しています。
出典:GAP Japan Official Online Store(http://www.gap.co.jp/)
「reserve in store」はまだ導入されていませんが、外部のサービス(ポイントUPモール(http://mall.smbc-card.com))を導入するなど、O2Oの視点を日本でも大事にしていることが伺えます。その他にも日本人の体型に合わせたサイズ表をサイト内に設けるなど、ECサイトのローカライズ化にも注力しているのは、海外ECサイトを運営されている方にも参考になるのではないでしょうか。
どうしてもECと実店舗は運営の方法が違うため、別々のものとして取り扱ってしまいがちですが、グレン・マーフィー氏は「顧客にシームレスな購買体験を」と語っています。
「実店舗があるからこそできるサービスはないか?」という視点で新たな取り組みに挑戦するGAPは、実店舗も2016年までに1000店舗増加させる計画を立てています。ECサイト・実店舗を含めて「1つのブランド」としてユーザーに対する満足度を高めるかはますます重要になりそうです。
参考:
世界のアパレル業界 売上高ランキング TOP10(2012年)世界ランキング統計局
http://10rank.blog.fc2.com/blog-entry-226.html
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