今回は、今年9月にブランドローンチ兼ねサイトオープンしたライフスタイル提案型のファッションメゾン「HERSIP(ハーシップ)」のブランドディレクターである、申(シン)さんにブランドの商品やLive Commerceについての感想などお話を伺った。
―――本日は、お忙しいところ、インタビューをよろしくお願いいたします。
まず、最初に今年、9月にオープンしました「HERSIP」の商品についてお話を伺えればと思います。
「HERSIP(ハーシップ)」は”The passion secret in coolness (クールさの中に秘めた情熱)”をコンセプトに、パリで3種類のフレングランスからスタートしました。
既にフレグランスはパリのコンセプトストアで販売されており国内の販売店でも話が進んでいます。
今は国内外の商品をSNSやインターネットを通じて販売・ショッピングできる時代なので、自社商品も国内外で販売するための手段として越境ECで販売することを決めていました。
―――そこで、Live Commerceを選んでいただき、サイトを構築したわけですが、
越境ECを作るうえで、なぜ、当社のシステムを選ばれたのでしょうか?
何社か、越境ECサイト製作会社の方とお話しましたが、”こんなことができる”という機能的な話しだけではなく、お互いにどんな想いや気持ちでECサイトを製作していけるか、という点も大事にしたいと思っていて、これは商品開発のうえでも大事にしていることです。
そこでLive Commerceのサイトを拝見した時、特に板橋社長の熱いメッセージを感じ、実際にお会いした時も単にサイトを製作するだけでなく、今後のビジョンに沿った越境ECサイトでのビジネスポイント等についても詳しくお話しを聞けたことが大きかったです。
今回新規ブランドを立ち上げるうえで、サイトを製作して終わりではなく、その後のサイト運営やビジネス面などいろいろ相談できると思いました。
―――ありがとうございます。サイトを作るとはブランドの構築でもあるで、密にコミュケーションを取れる会社かどうか、いろいろサイト構築以外のことでも話ができるということは重要なことですね。
今後も、ビジネスパートナーとしてよろしくお願いいたします。
―――実際に越境ECサイトを作るうえでのこだわった点などお聞かせください。
サイトはブランドや商品について知って頂く場所であり、一瞬で目に留まるようなブランドの世界観を表現するために商品開発の期間と同じくらい細部までデザインを詰めて頂きました。
海外では”余白もデザイン”と考えるのですが、「HERSIP」も特に余白のバランスを大事にしてこだわりました。
―――デザインは非常にショップサイトと思えないほど、ミニマムでシンプルですね。デザイン以外に機能面などの要望された点はどこですか?
ECサイトの機能についても、いろいろリサーチし「HERSIP」のサイトではどんな機能が必要かを考えてお願いしました。
デザインも「HERSIP」のプロダクトデザインと共通に「洗練された美しさ」を大事に、トップページはメインビジュアル、メニュー、フッターだけとシンプルにしました。
トップページに新着商品や売れ筋商品などが並ぶサイトも見かけますが、「HERSIP」のサイトは単にショッピングをする場所ではなくブランドサイトとしてブランドの世界観を伝えることが1番の目的でしたので、それらは一切無くしたトップページになっています。
―――デザイン面でも機能面でもシンプルで見やすく、使いやすくを考え、商品を売ることより、ブランドイメージを大切にしたということですね。
はい。ブランドサイトもブランドの”顔”なので、はじめの3秒で印象が決まってしまいます。
情報多過の時代にブランド側が伝えたいことと、お客様が感覚的に欲しいと思う情報がビジュアルで一瞬でわかりシンプルで見やすいというのは大事なポイントだと思います。
―――サイト構築の工夫などお聞かせいただき、ありがとうございます。
それでは、「HERSIP」についていろいろお聞きしたいと思います。
「HERSIP」ブランドの経緯や商品の魅力、強みについてお願いいたします。
「HERSIP」はライフスタイル提案型のファッションメゾンですが、ファッション=服ではなく、生き方(スタイル)が軸になっています。
フランス人作家が描いた有名な小説「星の王子様」には”心で見なくちゃ、ものごとはよく見えない。大切なものは、目に見えないんだ。”という台詞があります。
「HERSIP」が考える現代女性の生き方も、その時々の感覚と情熱を大事に心から望む人生を歩むことにありました。 五感の中で、”香り”は唯一ダイレクトに感情や本能を支配する脳の海馬に直結しています。
そこで「HERSIP」はファッションのプロローグとして香り=フレグランスからクリエイトしたいと思い、本物のフレグランスを求め、シャネルやディオールのフレグランスも生み出している香りの都グラースに飛びました。
そして現ビジネスパートナーのVirginie氏とご縁があり、女性調香師としての顔ももつ彼女と色々お話しする中で “香りは女性を成熟させてくれるものよ。” という言葉にインスピレーションを受け、女性たちの内に秘めた感覚を呼び覚ますだけではなく、美しさを引き立て、アクティベートさせる3種類の香りが完成しました。
それらを合わせて「サークルコレクション」と名付けたのですが、”サークル”は始まりも終わりもない、永遠と完璧さの象徴です。女性には、身体をオフにしてリセットしたい時、いつ訪れるか分からないチャンスを掴みたい時、好きな人と過ごし愛するものから学ぶ時があると思います。
そんな多面性をサークルの象徴として捉え、”どんな自分であっても完璧であること”をメッセージとして伝えています。
今回、HERSIPのフレグランスを商品化するにあたり、香りのクリエーションにはHERMESなどビッグメゾンの香りも手掛けるNathalie氏、デザインはGIVENCHYのフレグランスも手掛けるJerome氏が携わって下さり、HERSIPのファーストフレグランスとして、私自身も、とても光栄な経験をさせて頂きました。
―――ありがとうございます。サイトを拝見すると香水以下外に、ジャケットやパンツなども販売されていますが、アパレル関連も販売しているんですね。
服はあくまでファッションの一部ですが、私も働く女性として普段からジャケットを着る機会が多く、個人的にも好きなアイテムです。
ジャケットは元々男性の仕事着でテーラーのイメージがありますが、今は働く女性も増えてきているのにリクルートスーツではつまらない、もっと働く女性の個性、美意識を表現できるようなジャケットが欲しいと思ったことがきっかけでした。
ラグジュアリーブランドの何十万するジャケットより肩肘はらないオンオフいつでも着られるジャケット、だけど既製品のデザインやシルエットでは満足できないアッパーミドル層のお客様に向けて提案しています。 「HERSIP」のジャケットは、体に流れるようにフィットする美しいラインにこだわっていますが、主張しすぎない程度に襟や切り替えなどにちょっとした個性を加えたデザインになっています。
体に合っているジャケットはとても綺麗にラインを魅せてくれるので、ドレスアップとしても格好良くジャケットを着こなしている女性はカッコイイと思います。
―――既製品にはないオリジナルなところ、そして価格帯もそんなに高くは無い。 ベーシックなデザインなんだけれど、ちょっとしたオシャレな部分がある。
今までに、ありそうでなかったジャケットと言えますね。アパレル商品はプレオーダーでの販売とありますが、こちらについてお聞かせください。
今は必要以上に在庫を抱えて薄利多売の時代ではなくなりましたし、結果大きな環境問題にも直面しているので、モノ作りの在り方もどんどんパーソナリティーが求められる時代になっていくと思います。 「HERSIP」のアパレル商品も、なるべくお客様の体に合う形で提供していけたらと思っています。
―――サイトでも、そのようなプレオーダー商品の強みをもっとアピールしていきたいですね。
それでは最後になりますが、「HERSIP」の今後の目標、夢などお聞かせください。
先日、ヨーロッパの某大手百貨店から嬉しい申し出がありとても光栄でした。
ブランドとしては掛け出しの身ですが、今後は国内外で体験型ビューティー&ライフスタイル空間やブティック型のアパートメントホテルのプロデュースを企画しているので、「HERSIP」の商品はそんなホテルに置かれることをイメージして作っています。(笑)
今後も国内外を拠点に女性のライフスタイルに喜びや感動を与えられる商品開発やプロジェクトを進めていき、社会や地球のために実現していきたいです。
―――ヨーロッパで一番大きな百貨店から引き合いがあったことはすごいことですね。ニーズは大きいということですね。
「HERSIP」独自のシンプルでスタイリッシュなオリジナルな家具や商品があるブティックホテルの実現は素晴らしい夢だと思います。
是非、実現していただきたいと思います。
本日は貴重な時間のなか、いろいろ伺うことができ楽しかったです。
今後ともよろしくお願いいたします。
香りをEコマースサイトで、その素晴らしさをビジュアルだけで表現するのは難しいところである。まずは試香できる少量サイズの商品販売やSNSなど口コミなどを施策し、徐々に広めて行くのが正攻法だ。
だが、「HERSIP」のブランド香水はヨーロッパ大手百貨店から出品の要請があるほど、認められた素晴らしい商品なのである。是非、百貨店出品を実現し、パリのみならず、全世界にその香り、「HERSIP」ブランドを流布させていただきたい。
申 允貞 (シン ユンジョン)
株式会社マスター商事
「HERSIP」ブランドディレクター
略歴:
大韓民国出身。Venus Academyファッションスタイリスト&プレス学科卒業。
トータルビューティーを見据えエステティシャン、総合セラピストを得て2014年よりニューヨークを拠点にアメリカ、ヨーロッパ、アジア各国のファッション、ビューティー、ライフスタイルを専門とするクリエイティブエージェンシーとアライアンスを組み、日本とニューヨークを拠点に企業の商品開発やブランディングなどクリエイティブディレクションに携わる。
2015年には南カルフォルニア大学のエイジング学ジェロントロジーの学位を修了し、指導員の資格を持つジェロントロジストとしても活動をスタート。
2018年9月よりパリ、ニューヨーク、東京を拠点に現代女性をアクティベートするライフスタイル提案型ファッションメゾン「HERSIP(ハーシップ)」をローンチ。現在に至る。
URL:https://www.hersip.com