この記事は以下のような方を対象に書いています。
ブログのタイトルに書いたElasticsearch (エラスティックサーチ)とはElastic社が提供する有料のサイト内検索機能のことです。
当社が運営するDiscovery Japan Mallでは標準機能としてあるLive Commerceのサイト内検索から、一昨年よりElasticsearchに切り替えました。
いくつかの最適化フェーズに時間がかかったのですが、昨年より本格的に運用を開始し、約1年間経過して安定して運用ができています。
そして、さっそくその効果のほどを分析してみると、費用対効果4400%という数値がはじき出されました。
まず、下のGoogle Analytics を見てください。これは当社が運営するDiscovery Japan Mallのサイト内別のイベントの解析結果です。
当社は、ページ内に新しいUIを追加したときに、必ずそのUIがどのくらい役に立ったのかを分析するために、イベント単位で必ず分析をするようにしています。
Elasticというイベント、つまりElasticsearchを利用してサイト内検索をしたユーザーの内、実際に購入した人の割合を示しています。
計測期間30日で、このイベントを利用した人が3,493人、成約率は1.37%、売上は約220万円発生しています。
Elasticの月額費用は3万円~10万円前後(従量課金制)なので間をとってElasticの費用を月額5万円と仮定します。
費用対効果 4,400% = 220万 ÷ 5万 * 100(%に変換するため)
費用対効果は4,400%となり、ビジネスソリューションとしては、十分な効果を出していることが証明できたと思います。
ちなみに、ZOZO Town 公式サイトもElasticで検索が動いています。
ここからが今日、お伝えしたい本丸になります。
今日のブログでお伝えしたいことは、以下の図です。
商品のデータ量を意図的に増やせば、検索体験がさらに向上し、検索経由での成約率や売上がさらにアップするということを意味している図です。
商品のデータとは、商品に関する顧客レビュー、商品画像に含まれる文字情報、FAQに含まれる付帯情報、これらのデータから活用できる文字情報を自然言語処理を行い、非構造データから重要な語句を割り出します。
結果、商品名と商品説明文だけのデータには含まれない、感情データなども検索の対象にすることができ、検索体験がさらに改善するということを狙っています。
分かりやすく説明するために、仮にカラーコンタクトレンズを販売しているサイトを例にします。
以下の商品を、Elasticsearchによる検索体験を最大まで高めるために、上の図の通りに最適化してみます。
商品名 : ReVIA カラーコンタクトレンズ 1ヶ月分 ブラウン
商品画像 :
商品説明文 :
商品名 レヴィア ワンマンス
販売名 レヴィア アイ
使用期限 開封後1ヶ月
カラー Haileyヘイリー(ブラウン)
販売度数 ±0.00(度なし)
-0.50~-5.00(0.25単位)
-5.50~-10.00(0.50単位)
DIA(直径) 14.1mm
着色直径 13.2mm
BC(ベースカーブ) 8.6mm
含水率 38.5%
数量 度なし/1箱2枚入り
度あり/1箱1枚入り
製造販売元 株式会社ElDorado
区分 高度管理医療機器
製造国 韓国製
・再使用可能な視力補正用色付コンタクトレンズ
・医療機器承認番号:XXXXXXXXX
・高度管理医療機器販売業許可番号:第 XXXXXXXXXX 号
商品レビュー :
ワンデーで使っていたヘイリー購入しました。
今のところゴロゴロ感はなく、視力もちゃんと出てますが、
酸素透過率が10もないので、目薬をさしても、やはり目の疲れ、充血が避けられません…
自分は5,6時間が目の健康考えると限界かなと思います。長時間はワンデーの方がまだよさそう。(普段はクリアのシリコンハイドロゲル素材のコンタクトです)
おまけで付いてくるピンセットは装着前のすすぎの時に重宝してます。ありがたいです。
最初の処理として、商品画像からGoogle Vision AI により、以下の単語を抽出することができました。
次に、商品説明と商品名をGoogleの自然言語APIで処理し、非構造化テキストからさらに情報を引き出します。
商品説明・レビュー・商品名から以下の単語を抽出することができました。
商品FAQやレビューの数がさらに多いほど、単語を引き出すことができます。
これらの単語をElasticsearch の検索に含めると、ユーザーはカラコンとは直接的に関係のない、「充血」や「長時間」ユーザーが口語で利用する語も検索の対象に含めることができます。
これらの単語は、 https://www.xxxxx.com/tag/視力 のようなURL形式で単語の全文検索結果のURLをGoogleのサイトマップとして登録しておくと、さらに自然検索からも周辺ワードによる自然検索経由の訪問が増えます。
Elasticsearch を導入する場合、単純に商品名と説明文を検索の対象にするだけのパターンと、今回の事例で説明したように、顧客レビューやFAQも含めて、顧客の感情表現まで含めて検索の対象にするかどうかで、費用対効果は大きく異なるということです。
費用対効果 4400% の結果を出したのは、もちろん顧客レビューやFAQも含めて、顧客の感情表現も検索の対象にしたケースになります。
Live Commerceを利用中の方は、Elasticsearchのオプションページからお問い合わせください。
タグ: Elasticsearch, Google Analytics, Google Vision API, オーガニック検索, サイト内検索, 画像解析, 自然言語処理, 非構造化データ