経済産業省は5月29日、 「平成26年度我が国情報経済社会における基盤整備」 (電子商取引に関する市場調査)の結果を発表した。
この調査は2014年の我が国のBtoB 及び BtoC の電子商取引市場動向、利用実態を調査したもので、平成10年度より実施され、今回で17回目の発表となる。
今回はこの調査発表を基に越境EC市場と米国と中国消費者の特徴について整理してみた。
今回の「平成26年度我が国情報経済社会における基盤整備」よると、昨年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、12.8兆円で前年比は14.6%拡大している。(図-1)
また、日本・米国・中国の3カ国間においての越境電子商取引の市場規模についての調査結果も発表した。(図-2)
それによると2014年(平成26年)の日本消費者の中国、米国越境ECサイトからの購入額は2千億円で前年比は8.9%の拡大。
米国消費者の日本、中国越境ECサイトからの購入額は8千億円とこちらも前年比は13.0%と拡大している。
中国消費者による日本、米国からの購入額は1.2兆円、前年比は53.0%の拡大と、中国が著しい伸びをみせていることが示された。
(図-3)は発表された2014年の越境EC市場規模(図-2)を基に、日本、米国、中国の越境EC市場規模、購入額の流れを図化したもの。
また、(図-4)は2012年~2014年(2015年は予測)までの米国、中国の消費者が日本の越境ECからの購入額の推移を示したものだ。
これら数値をみると、国内のECは毎年、着実に成長しており、越境ECにおいてもますます、拡大を続けている。特に中国市場において規模の拡大が著しいことが示されており、越境ECはさらに、国の垣根を越えグローバル化し、市場を広げてゆくと思われる。
(図-5)は2013年の米国消費者と中国消費者の越境ECの購入品目(物販系)を図にまとめたものだ。
米国消費者に関しては、「AV機器」、「パソコン、通信機器、周辺機器」、「衣類、アクセサリー」がそれぞれ28.1%で上位にきている。この事例にあげたもの以外に米国の消費者は日本刀や甲冑といった美術品、ロリータファッションなど衣類など実に多くの商品を購入している。
米国越境ECユーザーの特徴としては、総じて所得が高いということ、ITリテラシーが高い場合が多いということ。さらに越境ECからの購入動機としては国内で買うより、越境EC価格のほうが安いということや、国内商品より品質が良いからなどが理由としてあげれている。
中国消費者の越境ECにおける購入商品は「食品、飲料、酒類」が38.1%と最も多く、以下「衣類、アクセサリー」32.9%、「生活家電」27.8%となっている。中国製品で問題になっているのは相変わらず、コピー商品が蔓延しているという現実である。
中国越境ECユーザーは値段が国内より高く、配送日時が多少かかっても国外の信頼できるECサイトから購入し、正規品を入手するということが重要なポイントとなっている。対中国に関しては越境ECでは正規品を扱っているということと、品質保証がしっかりしていることをアピールポイントとすべきである。
今後は、小売業においては、越境ECの構築をはじめとして、海外に目を向けその施策に取り組むことの重要性は、ますます、強まるだろう。特に今回の結果からは中国、アジア地域を中心としたEC市場の拡大が目を引いた。このアジア市場は今後のEC市場の最大のマーケットとなることは確実である。
出典:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました~国内BtoC-EC 市場規模は12.8 兆円に成長~より