越境ECで年商10億円の売上を作ることができる商材・できない商材

2021年、カスタマーサクセスプランで契約中のクライアントの売上が年商10億円を超えるペースで推移するまでに越境ECサイトを成長させることができました。
今日は2010年から一貫して越境ECサイトの開発・運営で自らが体験し学んだことで、年商10億円規模の売上を作ることができる商材・できない商材について説明します。

まず、前提として越境ECというビジネスモデルで年商10億円を達成するためにマーケティング施策として行ったものは

  • Google広告
  • Facebook広告(Instagram含む)
  • eBay Lazada Amazon(モール出店)

行っていないマーケティング施策は

  • 中国市場全般
  • KOLマーケティング施策(ライブ配信・インフルエンサー系マーケティング)
  • YouTube動画
  • SEO対策
  • SNS対策

となります。

中国市場、KOLによるインフルエンサーマーケティング、SEO対策、SNS対策など、マーケターなら必ず行うであろうマーケティング施策ですが、これらはほとんど効果がありませんでした。
この結果を前提に本稿では越境ECにおける年商10億円の経済圏をどのように構築していったのかを説明します。

なを、このブログで書いた記事は、私自身の実体験に基づくものであり、多くのバイアスがかかっている可能性もあります。そのため、私の経験から得られたものについては、具体的な証拠となる資料や数値が記録されたデータがありません。それでも越境ECで年商にして1億円から10億円クラスのサイトを1つだけではなく、量産することができたのは、少なくともマーケティング施策に共通の再現性があったからです。そういった観点からみれば、バイアスがかかっているとはいえ、あなたの会社の商材でも海外市場で同じマーケティング施策を行えば10億円クラスのビジネスになる可能性はないとは言い切れないのです。

 

日本で知名度・人気にある商品だけが海外で成功する

この記事でも説明していますが、越境ECは日本で[知名度]があり、日本で[人気のある商品]が売れます。これはまぎれもない事実です。
あらゆる斬新なマーケティング施策を行うよりも、まずは日本で売れていることが絶対条件です。

海外で売れる商材というのは、日本のAmazonや楽天でも売っていて、お客様のレビューも豊富にある、ブログやYoutubeなど日本語で検索しても、それなりのコンテンツがある、こうした商品が越境ECで成功する最低条件になります。海外消費者は日本のAmazonや楽天で売っていて、且つカスタマーレビューがあるかどうかをチェックしている傾向が非常に強いのです。この根拠は?と言われると具体的なデータを持ち合わせているわけではありませんが、過去10年間でいろいろな商材を試した結果、Amazonや楽天でベストセラーとなっている商材は海外でも全く同じような動き方であると言えます。

一方で、Amazonや楽天でレビュー数の低い(ない)商品、もしくはまた日本で販売していない商品などは海外では全く売れません。これは商品の品質・素材や機能など全く関係ありません。
例えば、地方創生などの日本の地方政策で日本の伝統工芸品を海外に売るというプロジェクトが、国の補助金などでよく見かけますが、結論から言えばこの類は全くビジネスになりません。社長一人でビジネスをする分にはいいでしょうが、従業員を抱えている中小企業や大企業ともなれば、地方にある無名の地方産品を海外で販路を開拓するというのは、私が越境ECを始めた2010年頃は私も期待に満ちていましたが、現実が分かった今日、こうした商材は越境ECでは売れません。

未だに越境ECを提案するシステムインテグレータやコンサルタントが「日本の伝統工芸品を海外へ」などと謳っている会社がありますが、私からすれば現実のビジネスを知らない人が企業をカモにしているとしか思えません。繰り返しましますが、これから補助金などで地域産品、またはこれから開発する商材を海外向けで売るというのは、起業家の自己満足であり、全くビジネスにならないことを念を押してここに示しておきます。

越境EC系のセミナーでは2021年の現在でもこうした発言をしているコンサルタントが実際にいますが、全くわかっていません。

また補足として、日本ではコスメ・ヘルスケアで定期購読を前提とした単品通販商材、いわゆる中堅企業がするプライベートブランドが多数ありますが、これも海外では全く売れません。海外で人気のコスメは基本的に資生堂やドクターシーラボなどのトップブランドが大半を占めます。この手の商材を日本と同じ売り方で海外に販売しても成果がでません。

プライベートブランドは海外販売に失敗する可能性が高い

日本ではコスメ・ヘルスケアで定期購読を前提とした単品通販商材が人気です。
いわゆるお悩み商材は海外でも同じく人気ですが、私が過去10年で実践してきた経験から言うと、商材の品質・機能性・デザイン性などをどんなに主張したところで「価格」・「納期」で現地セラーを凌駕することが難しいというのが今の所の結論です。

例えば、コスメ・ヘルスケアに代表されるエイジングケアはアメリカではたくさんの商材があります。同類の商材を比較すると、$10以下で送料無料ものが必ず出てきます。こうしたありえない価格帯で販売をしている会社は、背後にベンチャーキャピタルによって巨額の投資を受けているEC会社であるケースがほとんどです。赤字のまま市場から先にユーザーの獲得をガンガン仕掛け、広告をしなくても黒字が見込める分岐点までは赤字のまま市場で知名度を上げようとする新興ベンチャー企業などです。日本の私達の環境とはビジネスのスピードもお金の使い方もまったく桁が違います。ここで下手に広告やシステムに投資をしても日本で売上た規模を海外でも、、というのは相当難しいと思われます。

ただ、これはあくまでも持論なので、まだまだこの先のマーケティングソリューションによってはチャンスはあるかもしれません。

「中国市場」 と考えた時点ですでに負け

中国向け越境ECと考えた時点で、既に負け組だと考えます。
中国向け越境ECは当社でもいろいろ考えた結果、コスパが非常に悪いです。ここで時間とお金を使うなら、さっさとグローバル市場で売上を作ってしまったほうがよっぽど早いです。

中国向け越境ECというのは、そもそも自社サイトで日本から越境ECサイトを立ち上げて国境を超えて売ることではありません。中国向け越境ECというのは、中国の域内に法人を設立して(または現地パートナーと共同)中国企業として販売することです。つまり中国内の国内ECに参入するという意味です。中国で法人を作るためには、業種業界によって資本金が必要ですし、投下資本は共産主義国ですから投資した人(資本家)に戻りません。また、独自ドメイン型のECサイトを作る必要はありませんが、ECサイトの運営にはモールに出店する必要があります。売っても売れなくてもモールを維持する固定費・人件費がかかります。

法人を作るか、現地のパートナー会社と組んで一緒にやるかの二者択一ですが、私の経験した限りですと、ビジネスをするまでに投資する時間とお金を計算すれば、アメリカから越境ECを開始したほうがよっぽどコスパが高いと言えます。アメリカなら日本の法人のままビジネスがスタートできます。またGoogleとFacebookによる非常に透明度の高いマーケティング施策が行えることと、海外で売上た売上代金も1週間で日本の口座に入金できるキャッシュフローがあります。(もちろん、当社もコロナ前に法人設立の手続きを一通り行っていますが、コロナを機に撤退し、現在は越境ECで中国市場を攻めています)

はっきり言って、中国は11月11日の独身の日による売上額ばかりが注視され、その売上額の大きさから中国市場への参加を考える方もい多い傾向にありますが、よほどのトップブランドでない限りは中国向けに越境ECをやるのはコスパが合いません。

そもそも、中国市場への参入を検討するのは大企業がほとんどですが、大企業のサラリーマンは身銭を切ることはありません。極論すれば、事業が失敗に終わったところで自分の給与は1円も傷がつくことはありません。
一方、中小企業の創業社長はまさに身銭を切って市場に参入するので、投資コストの回収が不透明な市場に投資するよりも、冒頭に説明した通り、アメリカなどの方がよっぽど透明性の高い市場で、すぐにコスパが計算できます。こうした理由から、私の持論では中国は大企業などのサラリーマンが参加するのがあっていると思います。失敗しても自分の給与がびた一文傷つかいないからです。中小企業は中国市場で稼ぐよりもアメリカ市場の方がよっぽど健全です。

ただ、日本法人まま中国向けの独自ドメインサイトを立ち上げ、Buidoなどで広告をやる分にはコスパは合います。これは完全な越境ECであって、あくまでもビジネスの拠点は日本のまま中国人が越境ECサイトで買うというスキームです。こちらのネタは後日書こうと思います。

「東南アジア市場」 と考えた時点ですでに負け

台湾・香港・シンガポール・フィリピン・ベトナム・マレーシア・インドネシア これらはLazadaとSHOPEEが主戦場とする市場です。
東南アジアは中国市場ほどのリスクはありませんが、これも先のアメリカ市場(2019年63兆円)と比較すると、2021年の東南アジアの予測値は 67,640百万米ドル(約7000億円)と1/90です。

アメリカと比較すると市場規模は小さいですが、GoogleとFacebookによるマーケティング施策が完全に利用できるため中国に比べれば圧倒的にリスクは低く事業を運用できます。
ただ、日本のハイブランドやハイカルチャーなどの高価格帯商材がバンバン売れるかといえば、売れません。もちろんこのエリアにも富裕層はいますが、Lazadaなどを見ればわかりますが、EC商材のメインストリームは未だに消耗品です。消耗品は品質よりも安く買いたいという傾向があるので、日本の商材でも低価格帯でないと難しいです。

現在、越境ECでは台湾向け越境ECなどのサービス提供会社がありますが、台湾や東南アジアに特化するなら、やはりアメリカを先に攻めた方がコスパがよいというのが私の持論になります。

なぜアメリカが越境ECの主戦場なのか?

英語1言語でGoogleとFacebookをフル活用すれば、東南アジア、北米、南米、アフリカ、ヨーロッパのほとんどの国、しかももっと細かい範囲で消費者のセグメントに広告がリーチできる技術が備わっているからです。この広告がリーチできる技術というのがポイントです。

これは重要なので、もう一度言います。

英語1言語でGoogleとFacebookをフル活用すれば、東南アジア、北米、南米、アフリカ、ヨーロッパのほとんどの国、しかももっと細かい範囲で消費者のセグメントに広告がリーチできる技術が備わっているからです。

今までGoogleとFacebookのマーケティング施策を過去にやってきたにもかかわらず、期待したような結果が得られてない場合は、マーケティング施策を行った会社(またはその担当者)のスキルが低い可能性があります。私が広告アカウントなどを引き継いでGoogle広告管理画面をよく見てみると、顧客セグメントが定義されていなかったり、ROASが2から3前後のパフォーマンスしかあげられないのに、広告費を数百万単位で垂れ流ししている会社なども結構ありました。なので、越境ECという特異なビジネスモデルにおいては、国内市場のスキルがそのまま通用しない可能性はあります。マーケティング施策を行った会社(またはその担当者)はあくまでも広告のオペレーションができるのであって、海外市場で広告をどのように回していくのかといった部分については、素人かもしれません。

ちなみに、私の会社のウェブサイトで告知している海外市場の広告運用のROASの基準は8(=800%)ですから、1万円の広告費で8万円の売上が上がることを記載しています。

マーケティング施策7割 物流施策3割 が成功の鍵

仮に100万の予算がある場合、私がその会社の社長なら70万をマーケティング施策に投資し、30万を物流とカスタマーサポートに投資すると思います。
この理由を説明しますと、マーケティングについては冒頭でも書いた通りGoogleとFacebookを中心としたマーケティング戦略を構築し、70万の予算でROASを「8」とした場合、560万の売上になります。まずはこのぐらいの売上からスタートできれば十分です。

残りの30万を物流とカスタマーサポートに充てます。
商品販売と同時に発生するカスタマーサポートでは、そのメールの9割が物流に関することです。いわゆる配送日時の問い合わせです。
越境ECでは商品そのものの質問や不安よりも、その商品が確実に届くのはいつなのかがユーザーの購買心理として確実にあるのです。

そのために、ウェブサイトでは以下のような商品のお届け日数を、ユーザーの接続元IPアドレスから国をトレースし、DHLやFedexでの配達日数を自動計算しておけば、ユーザーに大きな安心感を与えられます。

 

このような配送見積もり日時を表示しているのは、amazonや日本だとヨドバシぐらいしかありませんが、海外向けに販売をする場合は、配送日時の表記はユーザーの購入ハードルを下げる役割があります。ちなみに、Live Commerceのカスタマーサクセスプランではこの機能も標準で備わっています。

 

 

 

主に越境ECのマーケティング施策を中心に経験談を書きましたが、10年の知見で蓄えたものが、この先5年ぐらいで急に変わるとは思っていません。
日本で人気のある商品は適切なマーケティング施策を行えば、海外市場で年商1億円から10億円までの大きな事業インパクトになるということです。

 

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