2018年のEC(BtoC)市場規模は17兆9,845億円だった。その中で物販系部門は9兆2,992億円であり、前年比8.12%と伸長率は高い割合となっている。
物販系部門とは、「衣類・服装雑貨」、「生活家電・AV 機器」、「雑貨、家具、」、「書籍、映像・音楽ソフト」、「食品、飲料、酒類」である。
この部門で、EC市場規模が高いのは、「衣類・服装雑貨」の1兆7,728億円である。
また、9月に物販系を中心にした2019年版、EC売上高ランキングTOP30が通販新聞より公表された。
トップは相変わらず、Amazonが独走しており、検討したのが2位のヨドバシカメラであった。
また、10月2日には博報堂買物研究所から支持される「買物チャネル」についての調査動向も公開された。今回は、最新ECサイト売り上げランキングや、消費者がECサイトに求めるものなどをまとめた。
9月25日発売の通販新聞の「月刊ネット販売」では300社の売上高ランキングを掲載した。
トップテンを見ると、1位はアマゾンジャパンで1兆5281億円、2位はヨドバシカメラで1212億7700万円、3位はZOZOで1184億円500万円、4位はビックカメラグループで860億円、5位はユニクロで630億6300万円、6位にイオンが620億円(月刊ネット販売推計)などとなっている。
増減率ではユニクロ、ビックカメラ、ZOZOの増加が目立っている。ユニクロは前年の10位圏外から躍進である。
ECサイトは総合系のAmazonを以外に目を向けると、20代、30年代を中心に、ファッションカテゴリー、家電、電化製品カテゴリー商品が購入されていることが推察される。
ECサイトの利用もパソコンではなく、スマートフォンでの商品購入が一般化しているようだ。
10月29日公表された、ニールセン デジタル株式会社が行なった消費者調査によると、商品購入に利用されるディバイスは、パソコンからスマートフォンに移行したようだ。その内容を見ていこう。
下図は総務省による2018年の年代別インターネット利用機器についての統計内容であるが、70年代、80年代以外、どの年代でもスマートフォンのインターネット利用が最も多くなっている。
全体の割合としては、2018年のスマートフォン利用者は79.2%でトップ、次にパソコンで74%、タブレットは40.1%となっている。
2017年にはスマートフォン(75.2%)はパソコン(72.5%)の利用を追い越している。
下図はニールセンの調査によるもので、パソコンとスマートフォンのディバイスの利用目的に関するものである。
内容はショッピングカテゴリーに関する集計で2017年と2019年を比較したものだ。
「商品やサービスに購入する」ために利用するディバイスについては2017年はパソコンがスマートフォンを上回っていたが、2019年はスマートフォンがパソコンを上回っている。
さらに、買い物に関する情報に関しても、「スマートフォンからの情報を得る」が高い伸び率を示している。パソコンとスマートフォンの利用の差はますます、広がってゆくだろう。
ECサイトを使った商品やサービスの購入は20〜29歳が一番利用率が高い。
ニールセンでは、この30歳以下のショッピング動向について、ECサイトで購入経験の多いカテゴリーと実店舗で購入する際にあらかじめ、オンラインで検討しているかを調査している。
この内容によると、オンラインで購入経験の多いカテゴリーでは、実店舗で購入する際にもオンラインで検討していることがわかる。
ファッション関連商品、化粧品、電化製品などは実店舗で購入する際には、約半数の消費者はオンラインであらかじめ調べて実店舗で購入している。
博報堂買物研究所では10月2日、「チャネル別買物体験調査」の分析結果を公表した。
これは、国内、20代~60代の生活者1,000名に対し、全25種のチャネルにおける生活者の買物体験や選択意識を調査し、分析を行ったものだ。
調査対象チャネルは、「テナント型ECサイト 」、「マーケットプレイス型ECサイト」、「食品スーパー 」、「ドラックストア」、「コンビニエンスストア 」、「ショッピングセンター・総合スーパー 」など25種に分かれている。
利用したい買物の場ランキングでは、トップが「テナント型ECサイト」、2位に「マーケットプレイス型ECサイト」と、どちらもECモール型サイトが上位である。
次に3位に「食品スーパー」、4位に「ドラッグストア」の実店舗が支持されている。
ECサイトと実店舗の割合が4対6に分かれ、商品購入にはチャネルにあまり偏りがないことがわかる。
この代表格が「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」である。現実世界のショッピングモールそのもので、多数の小売ECサイトが乱立するモール型ECサイトである。
この代表格が「Amazon」である。マーケットプレイス型とは商品データのみを掲載するタイプのモール型ECサイトを意味する。
消費者は、ECチャネルを利用するとき、または、実店舗で買い物をするとき、「何を感じているか?」を博報堂買物研究所では調査分析を行っている。
分析結果によると、「テナント型ECサイト 」、「マーケットプレイス型ECサイト」、などECサイトに関連するものには「楽しめる」というイメージがあり、ECサイトには「買物の効率化、重視」の傾向ではなく、「利用、購入する際にワクワクできる仕掛けがある」、「この売り場の情報に発見や驚きを感じる」、「ここで商品(サービス)を選ぶことが好き・楽しい」など、ECサイトチャネルには「楽しい、驚き、発見」などの体験に対して評価されている。
一方、実店舗(食品スーパー、ドラッグストア)には「選べる」というイメージがあり、「直感的に選びやすい」、「深く検討せず、前向きにこれでいいと納得している商品(サービス)がある」、「ここで商品(サービス)を選ぶのは、大した手間ではない」など、評価されており、実店舗の利用イメージは、欲しいものをあまり迷わず、直感的に選べるところに利便性を感じているようだ。
この分析結果を見ると、ECを中心とした買物体験では、「楽しめる」が重要な時代になっていることがわかる。
「楽しめる」コンテンツには、「売筋商品ランキング」や「レコメンド商品」、「商品レビュー」などがそれにあたるだろう。
例えば、ファッション関係の商品の場合、様々な商品コーディネートアイデアの提案やカラーシミュレーションなど、その商品を見るだけで楽しめる、体験できるユーザーエクスペリアンスが必要な時代なのである。
スマートフォンの普及により、いつでもどこでも買い物できる機会が増え、ECサイトは利便性もさることながら、ユーザーエクスペリエンスも求められる時代になった。
ただ、商品情報を掲載するだけでは、消費者のニーズを満たすには難しい時代になったと言える。
商品を見てるだけで楽しませる工夫や商品開発のコンセプト、オーナーの商品に込めた熱い想い、消費者の商品利用シーンなど、様々な商品に関する情報を掲載することで、消費者の心を掴み、消費者は行動を起こすのである。
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