中国のEC市場と電子決済市場規模は、驚くべき拡大を遂げている。2016年、インターネット人口は7億人を突破し、スマホでネット接続する割合は92.5%、電子決済を利用する人は4億5000万人に達しているとしている。
中国の電子決済市場規模を見ると、2016年では37兆1000億元(約606兆円)とIT先進国、アメリカ(約13兆円)の50倍となっている。 この急激な電子決済サービスの普及は驚きである。
今回は中国の2大電子決済サービス、アリババが提供する「アリペイ(支付宝)」とテンセントが提供する「ウィーチャットペイ(微信支付)」について見て行こう。
中国のスマホ決済サービスは「Alipay(支付宝、アリペイ)」「WeChat Pay(微信支付、ウィーチャットペイ)」が二大勢力である。
2016年のアリペイとWeChatペイのシェアは、アリペイが50%、WeChatペイが38%と 2015年と比較すると、アリペイが70%の減、WeChatペイが180%の増となっている。
中国は電子決済では、EC市場の拡大とともに、世界第一位である。 この電子決済普及の要因となるのは、スマートホンの普及率の高さとクレジットカードなどの決済手段の普及が遅れたこと、また、現金を持ち歩くには、最高紙幣が100元までと大金を持ち歩けないなどが指摘されている。
つまり、中国は電子決済はQRコードひとつで、ショッピング、タクシーの支払い、公共料金の支払い、ネット料金、市の税金まで、すべてをスマホひとつで済ませることができるという、合理性、利便性、効率性が中国スマホ利用者に支持されたと言える。
アリペイはアリババグループのアリペイ(支付宝)が提供している、世界最大級のモバイル決済サービスである。 アリババが2004年、タオパオの決済簡便化のために立ち上げたもので、ペイパル型電子決済サービスで、システムはPaypal(ペイパル)によく似ている。
ネットショッピングだけではなく、実店舗、飲食店、公共料金(水道・電気代)、電話やネット料金、マンションの管理費、市の税金などあらゆる支払いに対応している。
さらに、アプリでお財布の中身を知ることができ、家計簿などつけなくでもアリペイアプリで管理できる容になっている。 アリペイの使い方は下記のように簡単だ。
WeChatペイの電子決済のしくみは、QRコードを読み取るアリペイと同様だ。 WeChatペイは中国版LINEと言われているメッセージアプリの「WeChat」を活用した電子決済サービスである。
WeChatはユーザー数9億人以上のユーザーを持つ巨大アプリでそのうちの4億人が利用していると言われ、今後はユーザー数の増大とともにアリペイとのシェア争いが激化しそうだ。
アリペイにしろ、WeChatペイにしろ第三者型オンライン決済はネットショップでは有効に機能する。 中国のネットショップは注文した商品が偽物だったり粗悪品だったり、そのような商品を送りつけられることが、しばしば起こる。
このような時、粗悪品を送り返し、正規品が届くまで第三者決済サービスから、販売者への支払いを保留することができる。
中国ではアリペイやWeChatペイを使えば、安心してネットショッピングを楽しむことができる。
中国では急速に電子決済が普及している。中国は世界で一番最初のキャッシュレスの国となるだろう。
日本でも徐々にはあるが電子マネーが普及して「キャッシュレス化」しているとはいえ、現状はまだまだ、現金決済が多い国、”日本”である。
日本は現金が主流でクレジットカードでさえ、決済比率は16.7%という低い数値である。外国人観光客にとってタクシーですら、クレジットカードが使えないなど日本は遅れているという印象は拭えない。
中国人観光客にとっても同様だ。インバウンド需要で買い物しても、アリペイが使えないでは、不便な国、”日本”となってしまう。
2020年、観光立国を目指すなら、現金が無いと買い物ができないなど、機会損失にならないためにも、日本政府はこれまで以上に「キャッシュレス決済」の普及を推進する必要があるだろう。
キャシュレス化の世界的な流れに日本が出遅れないためにも、迅速で効率的な決済テクノロジーは導入され、進化してゆくことが望まれる。
未だに、レジでは現金支払いのため、長い列を作り、クレジットカード支払いでは署名が必要である。 このまま、生活者の「現金主義」が抜けなければ、あっという間に世界的な潮流に乗り遅れてしまうだろう。
中国ECサイトの大手アリババは2018年春にも、アリペイの日本版サービスを開始するとし、日本への攻勢を本格化させる動きもある。
時代を先読みし、企業として、個人として「キャシュレス化」の波にどのように対応すべきか考える時期に来ている。
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