圧倒的に強い!世界を牽引する中国EC市場 その強さの理由とは?

タイトルイメージ

7月8日、三菱UFJ銀行 国際業務部は「MUFG BK CHINA WEEKLY」公表した。その中では、2019年の中国の越境EC輸入額についても報告されていた。
中国の越境EC小売額は前年比38.3%の1,862.1億元となっている。伸び率は2018年の49.3%増から鈍化したものの高成長が続いている。
そして、7月22日には経済産業省から「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事(電子商取引に関する市場調査)」も公表され、その中でも中国のEC市場に関してまとめられている。今回はこの2つの資料から、中国の越境ECの現況と中国EC市場の拡大成長の理由などまとめた。

中国の越境ECでの購入は日本がトップ

三菱UFJ銀行 国際業務部は7月8日公表の「MUFG BK CHINA WEEKLY」によると、2019年の中国の越境ECによる輸入額は、1,862.1億元(約2兆8,500億円)となっており、前年と比べ、38.3%増と、高成長が続いている。

図表01

最も良く利用された越境ECはトップの国は、日本で20.8%、次いで、アメリカの16.0%、さらに韓国の10.7%と続いている。
一方、越境EC輸入額の前年比伸び率では、韓国がトップで前年比55.1%の増、次にアメリカの29.8%、そして日本は3位の12.3%増となっており、現況では韓国の越境ECが最もよく伸長しているようだ。

越境ECは日本がトップ

越境EC小売輸入額を売れ筋商品別カテゴリーで見ると、化粧品が34.6%、次に食品の27.1%、さらに日用品の11.2%などが高くなっている。
また、越境EC輸入額の前年比伸び率を見ると、化粧品が前年比46.2%増と最も高く、次いで通信機器が33.1%増という内容となっている。

越境ECで購入されているもの

資料では、中国消費者の越境ECによる購入が好調の背景として、中国の物流企業によるグローバル物流網の構築が加速していることを指摘している。
例えば、アリババ系物流大手「菜鳥」では、海外の100社以上の物流会社と提携し、世界の200以上の国・地域に中国製品を輸出し、さらに、世界の80近くの国・地域の商品を、中国の消費者に届けるサービスを提供していることなどをあげている。

2019年の中国EC市場規模 前年比27.3%増

経済産業省が公表した、「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事(電子商取引に関する市場調査)」によると、世界のBtoC-EC市場規模のトップ10は、1位は中国の1兆9,348億ドル(約204兆円)、続いてアメリカの5,869億ドル(約62兆円)、イギリスの1,419億ドル(約15兆円)となっている。日本は4位で1,154億ドル(約12兆円)となっている。
下の図を見ると、中国はEC市場規模は2位の米国とは3倍以上の差がある。
また、前年比でも中国は27.3%の増、アメリカの14.0%増を上回る伸びを記録するなど、世界のEC市場は今や、中国が牽引しており、中国市場の重要性が分かる。

世界のEC市場ランキング

拡大し続ける、中国のEC市場

下の図表は中国のBtoC-EC市場規模とEC化率の拡大予測を表している。
中国のEC市場規模は2019年時点で1.93兆USドル(約204兆円)、EC化率は36.6%とされている。
EC化率においては、36.6%という数値は、日本(EC化率は6,76%)の5倍以上で、いかにEコマースが活発に利用され、生活の中にネットショッピングが浸透していることを示している。
今後も、中国のEC市場は拡大し、2023年には4兆1000億ドル(約433兆円、現在の約2倍以上)、EC化率は63.9%と非常に高くなると予測されている。
中国では今後、農村部を中心にオンラインショッピンが活発化するとみられ、中国にはまだまだ、地方農村部という伸びしろがあり、EC市場は今後ますます発展、拡大するだろう。

拡大する中国EC市場

中国EC市場を刺激する「WeChatプログラム」と「中国インフルエンサー」

経済産業省の資料によれば、中国のEC業界トレンドとして、中国EC法の改正施行による、中国EC市場の高度化、効率化。そして、「WeChat」アプリの進化、中国インフルエンサーの影響力、インバウンドECについても触れている。
ここでは、「WeChatプログラム」と「中国インフルエンサー」について紹介する。

「WeChatミニプログラム」はEC拡大を加速させた

中国EC市場の拡大の要因として、アプリの進化が大きく影響している。
中国では世界共通のSNSアプリ、Twitter、Line、Facebook、Instagramなどは使えない。中国14億人が共通に利用できるSNSアプリは、「WeChat」といアプリである。
2019年、中国のインターネット業界ではSNSツール「WeChat」上で動作する「ミニプログラム(中国語:微信小程序)」が大きな話題となった。

「WeChat」は、2019年10月末の報告では、月間アクティブユーザー(MAU)は11億に達しており、中国最大のSNSプラットフォームとなっている。
日本で例えると、LINEとFacebookを掛け合わせたようなSNSである。
「WeChat」は、「WeChat Pay」を搭載し、商品・サービス購入、電気・ガス・水道、公共サービスなど決済が行える。
そして、さらに「WeChat」が爆発的に利用価値を高めたのが、「ミニプログラム」という機能である。
この機能は、「WeChatのミニプログラム」を使って、ゲームやEコマースなどアプリ開発ができるというところだ。
IT事業者でも、一般の個人でもプログラム知識さえあれば、WeChat内に自由にアプリを開発し、提供することができるのである。

wechat

「WeChatミニプログラム」では、「WeChat」アプリ内でアプリを開発でき、ユーザーはアプリをインストールする必要もなく自由に活用でき、しかも軽量で、WeChat内でシェアすることもできる。
中国のIT系調査会社、QuestMobileの発表によると、2019年4月末までに、WeChatのミニプログラム開発件数は230万件とその数は通常のアプリ以上の多さである。
中国ECで今、爆発的に拡大している、「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」も「WeChatミニプログラム」により2017年にアプリを公開すると、ユーザーは前年対比で1億人も増加し、売り上げも驚異なスピードで拡大したという。
「WeChatミニプログラム」はアプリ内でアプリを開発する機能で、アプリは「簡単に利用」、「すぐに開始」、「すぐに終了」、「気に入ったら友達とシェア」とユーザーニーズに答えている。

中国は今やアメリカと同様、ソーシャルECの時代に突入している。
これからは、日本の商品を中国市場向けに販売するには、WeChatの「ミニプログラム」によるECサイトの構築が必須と言えるだろう。

中国消費者に大きな影響を与える中国KOL

中国インフルエンサー、つまりKOL(Key Opinion Leader)については、このLive Commerceブログでも何度か紹介している。
2019年も中国では、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれる、SNS上で多くのフォロワーを持ち、中国消費者の商品購入に大きな影響を与えるインフルエンサーは大きな存在感を示した。
中国では、KOLによる動画やライブコマース形式で商品を紹介し、その動画やLiveを視聴した消費者が、商品を購入する購買行動が一般化している。
経済産業省の資料によれば、2018年時点でKOL経由でのEC市場規模は約1,000億元(1兆5,310億円)に達しているという。
この傾向は2019年以降もその勢いは衰えておらず、2020年のコロナ禍にあってはさらに、ライブコマースによる商品購入が進んだ。

下の図表は、中国KOLの紹介の紹介によって購入した商品カテゴリーに関する結果である。
最も多いのは、「食品、飲料」の47%、次に「衣料、靴」の45%、さらに、「化粧品、美容関連製品」42%となっている。
一般家電などではなく、女性が嗜好する食品、衣料、美容関連など、身につけるものに関しては、インフルエンサーの意見が重要であることが推測できる。

中国インフルエンサー

Withコロナでも拡大している中国EC市場

報道によると、現在の中国EC市場は、2020年1~6月の中国ECの小売り額は、前年同期比7.3%増の5兆1500億元(1元=約15円 約76兆円)、伸び率は4カ月連続で拡大している。
その拡大の要因は、ECセール・クーポンなどによる消費喚起、インフルエンサーなどライブコマースによるECの拡大、越境ECの急成長、中国農村部への貧困対策などが、功を奏しているとしている。
そして、2020年の下半期(7~12月)もこの傾向は続くとしている。
下の図表は、中国のロックダウン中とロックダウン解除後の土日の休日の過ごし方を表したものだが、「インターネットショッピング」はロックダウン解除後でも56.6%と高水準で利用されている。
中国EC市場は、今後もWithコロナにおいても拡大し、消費促進、貿易の安定化、雇用拡大、民生改善などの面でより大きな役割を果たしていくとしている。

中国のロックダウン後の過ごし方

まとめ

中国のEC市場は、世界で最も市場規模が大きく、今後も発展が期待できる。
同時に越境ECにおいても、今や日本商品は中国消費者から絶大な信用を得ており、最も購入されている。
日本のEC事業者は、海外販路拡大のためには中国EC市場を見過ごしてはならないだろう。
自国のECで取り扱う商品が、衣料、美容関連の商品であれば、中国市場に向けても販売すべきである。
今回の資料を見ると、その中国進出でもっとも効果的は方法は、「WeChatミニプログラム」によるECサイトの構築と「中国KOL」による集客であることが見えてくる。

参考:

図表は「MUFG BK CHINA WEEKLY」「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事(電子商取引に関する市場調査)」より作成した。

関連する記事

ebayが日本再上陸 勝算はどこにあるのか?... 2月27日(現地時間)米ebayはアジア各国で展開するECサイト「Qoo10(キューテン)」を運営するジオシスから、日本事業を買収したと発表し、実質、ebayは日本EC市場に再度参入することとなった。 ebayは1999年にヤフーオークションと同様のネットオークションサイトとして、日本に進...
【越境EC】2021年日本・アメリカ・中国間の市場動向まとめ... 経済産業省は8月「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 」の結果内容を公表した。 経済産業省の発表によると、2021年の国内のBtoC-EC市場規模全体は20兆6,950億円(前年比7.35%増)と、前年比で1兆4,171億円の増加となり、初めて20兆円の大台に乗った。 また、本調査で...
知ってて損はない 中国とアメリカのプライバシー保護法... 2018年5月より、EUでは「GDPR」が施行された。「GDPR」とはヨーロッパの個人情報に関するデータの処理と移転に関して法律化したものだ。 世界的な個人情報保護に関しては、中国のサイバーセキュリティ法があり、中国国内でのインターネット上の個人情報保護を強化している。アメリカには、個人情...
インバウンドECサイトから越境ECサイトへ... 4月27日、電通は2018年1~2月に実施した「ジャパンブランド調査2018」の結果を発表した。 この調査は世界20か国・地域を対象に、日本に対する好感度や訪日旅行意向などをアンケート調査したものだ。 それによると、「日本のことが好きな国・地域」のとトップは同率で台湾、タイ、フィリピン、...
2020年8月19日(水)越境ECオンラインセミナー『成長する海外通販事業の作り方』を開催... 世界的な新型コロナ禍で、Eコマースは加速度的に成長している。越境ECにおいても同様に、新型コロナの影響で海外に販路を求め、越境EC事業に踏み込む企業が増えている。 越境ECとは、インターネットECサイトで海外消費者に向け販売を行うことで、アメリカ、中国、東南アジア、ヨーロッパの消費者に向け...
ヨーロッパのクラウドベース物流サービス... ヨーロッパのEコマースは日々発展している。ヨーロッパはEU圏内といっても他国になるため、距離とは関係なく物流や決済が複雑である。 商品の販売規定もそれぞれの国で異なるため、販売を開始する前に、ヨーロッパの法律を統括する機関European Commissionで内容を調査をしなければならな...

タグ: , , ,

コメント / トラックバック5件

  1. […] 参考:圧倒的に強い!世界を牽引する中国EC市場 […]

  2. […] 参考:圧倒的に強い!世界を牽引する中国EC市場 […]

  3. […] 参考:圧倒的に強い!世界を牽引する中国EC市場 […]

  4. […] 参考:圧倒的に強い!世界を牽引する中国EC市場 […]

コメントをどうぞ